![]() 邪神の天秤 警視庁公安分析班 (講談社ノベルス) [ 麻見 和史 ] |
来年、WOWOWでドラマ放送が決定している麻見和史の“警視庁公安分析班”シリーズ…著者の代表シリーズである“警視庁捜査一課十一係(文庫タイトル“警視庁殺人分析班”)シリーズのスピンオフ的な新シリーズで、十一係で主人公・如月塔子の指導係(相棒)を務めていた鷹野秀昭警部補が、公安に移動になり、新たな仲間と事件に挑む。ドラマが始まる前に原作を読みたいなと思っていたんだけど、なかなか古本で見つけられず、なぜかシリーズ2作目の「偽神の審判」を先に古本で入手(さすがに110円じゃない)してしまい、年内に読んでおきたかったので、思い切ってAmazonで今年の3月に出ていた「邪神の天秤 警視庁公安分析班」の新品をポチる(ちょうどTwitter懸賞で200円分のアマギフをGETしたのもあった)…実は先日、早くも文庫が発刊されたんだけど(ドラマ放送との兼ね合いで文庫化がいつもより早いのだろう)…これまでの十一係シリーズ、そして先に入手した「偽神の審判」とサイズを揃えたかったので、あえて新書で。文庫の方で加筆訂正などがあるかは未確認。ということで、さっそく読んでみた。“警視庁捜査一課十一係”の方の最新刊である「賢者の棘」では、特に鷹野の公安への移動については触れられていなかったんだけど、本書の冒頭では既に異動済みになっていた。シリーズを追いかけてきたファン目線では”別れの挨拶”くらいあっても良かったのになと思う一方で、安易に如月を出さない著者の心情も察したいかなと。途中で十一係時代の上司である早瀬係長は登場し…まったく無関係ではないとう強調も一応している。鷹野の公安異動後、初の事件は…ビルの爆破事件と同時に、近くで起きていた政治家の惨殺事件!もちろん両方の事件に関連があると睨み、公安は動く…そして彼らとは別に殺人事件の捜査として十一係も動いてるらしいが、前述の早瀬係長が出てくるくらいで、ほぼほぼバッティングはしない。部署が違うので、今までとは捜査の手法もまったく違い、作品の印象もだいぶ異なるように感じるんだけど、その中でも…今までは主人公を指導する立場にいた鷹野自身が主人公となり、それでいて慣れない公安で周りの同僚たちから“ひよっこ”扱いされる姿が特に新鮮で面白く感じる。ただし、持ち前のマイペースさで、生粋の公安刑事たちを自分の領分に引きずり込もうとしており、そのあたりがシリーズを重ねていく上での読みどころになりそうな予感。また、後半では同じようにシリーズを通じて強敵になるような“人物”の存在も明らかになる。“十一係”シリーズの方でのお約束でもあった、ミステリーらしい謎解きや意外な真犯人という要素は一応残っていたが、今までに比べると、とってつけた感が否めなく、若干、弱いかなという印象もある。シリーズものとしては充分に面白いので、続けて古本入手済みの「偽神の審判」も読むつもり。
