ハートストーン/狂覗/めだまろん/ウーナ/ローラ/プリズン・エクスペリメント/チェレンコフ光 他 | 映画時光 eigajikou

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浜松シネマイーラの会報にイラスト&コラム連載中。
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先週観た映画の感想

映画の題名クリックで公式サイトへ

 

 

 

 

『ハートストーン』

アイスランド映画

グズムンドゥル・アルナル・グズムンドソン監督初長編作品

田舎の漁村に住む思春期の少年少女達

家庭環境に問題を抱えた2人の少年の友情と恋と葛藤。

ソールとクリスティアンは幼馴染の親友。

2人の関係性の変化と成長が

切なくじんわり心に沁みます。

ソール(バルドル・エイナルソン)

クリスティアン(ブラーイル・ヒンリクソン)

ソールは『スタンド・バイ・ミー』の

リヴァー・フェニックスに見えるカットがよく出てきて

ドキッとしました。これは狙ってるでしょう。

↑まだチョイポッチャリな

『スタンド・バイ・ミー』のリヴァー

↑『ハートストーン』バルドル・エイナルソン

 

左がグズムンドソン監督

↑実際はリヴァーより今風に可愛らしい

バルドル・エイナルソンは

田舎にいそうな男の子になりきっています。

 

定型な!?フワフワヘア美少年にしている

ブラーイル・ヒンリクソンは

ゲイを自覚していき

叶わぬ切ない恋心のクリスティアンを

見事に演じていました。

ソールの姉2人

ガールフレンドの2人の少女、

ソールとクリスティアンの親達の描写も

良かったなあ。

 

『好きにならずにいられない』グンナル・ヨンソン

『ある戦争』『メン&チキン』などのデンマーク人俳優

ソーレン・マリンも出演。

これは1本で書きたい作品です。

(だけど時間がない)

 

ノーザンライツフェスティバル2017で観た

アイスランド映画

「スパロウズ」

突然レイキャビクから

閉鎖的な田舎で暮らさねばならなくなった

少年の葛藤。

こちらも良かったけどLBGT要素がないから

一般公開はなしかなあ。

切ない少年の心情と

アイスランドの自然の光景が

切り離せなくなる2本。

 

 

 

 

 

『ウーナ』

ルーニー・マーラさん主演で

ベン・メンデルソーンとリズ・アーメッド。

『ローグ・ワン』じゃん。

違うよあれはフェリシティ・ジョーンズ!

『2007年に第31回ローレンス・オリヴィエ賞(新作演劇賞)を受賞した

「ブラックバード」を映画化。

13歳の時、父娘ほど歳の離れた隣人レイと許されざる恋に落ちたウーナ。

2人は互いに愛し合っていたが、レイは少女と関係を持ったことで逮捕され、

4年間の服役の末に町から姿を消した。

一方、ウーナは大人になった現在も未だにレイのことが忘れられないまま、

行きずりの男と関係を持ち、抜け殻のような日々を送っていた。

そんなある日、レイの居場所を突き止めたウーナは、

15年ぶりにレイと再会を果たすが……。』

原作戯曲は密室劇。日本では2009年に

演出栗山民也、出演伊藤歩、内野聖陽で上演。

(映画.COMなど参照)

映画は密室劇ではないです。

これはタブーに挑戦的な映画ですが、

モラル的なことなどをごちゃごちゃ

考えてる余裕ないくらい

ルーニー・マーラの鬼気迫る演技と

ベン・メンデルソーンの本心読ませない

上手い演技に見入ってしまいました。

説明されない登場人物の心情を

観客それぞれが想像する作品。

 

 

 

『彼女の人生は間違い じゃない』

福島の市役所で働くみゆきは

東北大震災の津波で母を失い父と仮設住宅で暮らす。

週末には高速バスで渋谷に行きデリヘル嬢をしている。

広瀬隆一監督が自身の小説を映画化。

『さよなら歌舞伎町』のリベンジかな。

震災から5年後の痛々しい福島のリアルな生活の現場と

何事もなかったような賑わいの東京・渋谷の街を行き来する。

安易な共感など寄せ付けない、

浮遊感を湛えたみゆきの生き様を瀧内公美が好演。

 

 

『ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣』

セルゲイ本人の苦悩だけでなく

天才を支える家族の過酷な状況が描かれ

思わず涙が溢れた。

私はバレエ映画、ドキュメンタリーが好きですが、

バレエに関心がない人が観ても

印象的な作品になっています。

本作見た方には

10月28日公開『ポリーナ、私を踊る』

オススメしたいです。

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写真家ハービー・山口

セルゲイ・ポルーニン写真展

 『ビギニング・オブ・ジャーニー』

Gallery X BY PARCOにて

 

 

 

 

「es エス」「エクスペリメント」でも描かれた

悪名高きスタンフォード監獄実験は

被験者として集めた18人の男子学生たちを

それぞれ9人ずつ看守役と囚人役に分けて刑務所生活を再現し

「立場」や「役割」が人に与える影響を調べた。

2週間の予定が暴力が蔓延し5日間で終了。

原作となった心理学書「ルシファー・エフェクト」

を忠実に映像化。

エズラ・ミラー、マイケル・アンガラノ、

タイ・シェリダン、ビリー・クラダップなど。

何度も映画化されてる題材だけど

緊張感のある作品になっていました。

『アイヒマンの後継者 ミルグラム博士の恐るべき告発』

もそうでしたが

「命令」に従っていると

普通に良識のある人間も

残忍な行為を平気でするようになる恐ろしさ。

このテーマは今後も様々な形で映画化されて欲しい。

実話の映画化でもこの2本はよくある

あのもういい加減やめてほしいラストの演出してません。

 

 

 

『めだまろん/ザ・レジデンツ・ムービー』

 

ついにザ・レジデンツの正体が

暴露される的な映画じゃないですが、

40年以上活動している彼らの先鋭的な活動の軌跡や

関係者、影響を受けた人々の証言など充実した内容。

でもレジデンツに興味ない人が

無理して見る映画ではないと思うよ。

余計な御世話か。

 

 

 

『アメリカン・バーニング』

って邦題ついてますが

原題「American Pastoral」

(pastoralは田園詩)

で、同名のフィリップ・ロスがピューリッツァー賞

受賞した小説が原作。

監督降板を受けて

ユアン・マクレガーが

主演と監督兼任した長編初監督作品。

1960年代のアメリカで

絵に描いたような成功と生活が

無残に崩れていく主人公の人生。

ユアン、ジェニファー・コネリー夫婦の娘が

ダコタ・ファニング。

デヴィッド・ストラザーンが作家役。

キャストの演技はしっかりしてるけど

名作である原作を頑張ってうまくまとめようとしすぎたかな。

アカデミー賞狙ったのかもしれない本作ですが。。。

ローリングストーン誌のご意見番トラさんこと

ピーター・トラヴァースの2016年ワーストテン

に選ばれちゃったりしてたなあ。

記事はここ←クリック

でもユアンのことは昔から応援してるので

ちゃんと観ましたよ。

監督業も次はがんばれユアン!

 

 

 

《特集上映》ドゥミとヴァルダ、幸せについての5つの物語

『ローラ』1961年

監督・脚本:ジャック・ドゥミ

撮影:ラウル・クタール

音楽:ミシェル・ルグラン

出演:アヌーク・エーメ

シングルマザーの

キャバレーの踊り子をアヌーク・エーメが

魅力的に演じています。

『ローラ』はオリジナルフィルムが焼失してしまい

本作は見つかったネガからデジタル修復したもの。

初日のトークイベントで

ゴダール「勝手にしやがれ」「女は女である」

ルネ・クレマン「太陽がいっぱい」などをパリで買い付け

50年以上映画に関わって活動している

映画評論家の秦早穂子さんのお話を聞きました。

ドゥミの映画は政治的なメッセージとは無縁そうに見えるけど

実は当時の文化相アンドレ・マルローを

目立たないように批難しているシーンがあったのだが

今回のデジタル修復版では失われていることを教えてもらいました。

製作当時の時代背景を考慮しないで

今、自分が生きているところから

感情的に作品を語ることへの危惧。

若い時には分からなかった作品のことも

時を経て観たら解るようになったりする。

そんな人生の旅とともに映画がある。

映画の観方に関して鋭く深い示唆のあるお話でした。

もうますますこんなブログをなど

どうでもよくなってるんだな。

 

 

 

 

『狂覗』

 

『狂覗』アップリンク渋谷で

藤井秀剛監督と映画の原案「14歳の国」作者

宮沢章夫氏トークを聞いた。

宮沢氏が描いた、生徒が体育の授業でいない間に

こっそり教室で持ち物検査やってる教師達の

思い込み正義感の滑稽さは映画にも生きていた。

予想以上にホラー感溢れるスリリングな演出で面白かった。

 

 

 

 

というリプライを

ツイッターで藤井監督からもらったんだよ。

 

 

 

『朝日が昇るまで』

SKIPシティ国際Dシネマ映画祭2016で

長編部門グランプリを受賞。

太りすぎて引きこもり生活の主人公フェデ、

写真店の息子、妹の尻に敷かれた義弟、

さえない3アミーゴスの友情が描かれた

じんわり素敵な映画でした。

フェデ役のルカ・オルテガ(38歳)

本職は作曲家で本作の音楽も担当してますが

演技も上手かったです。

フェデの妹役マーサ・クラウディア・モレノは

本作の演技で今年のアリエル賞(メキシコ・アカデミー賞)

ベスト・マイナー・ロール(脇役)女優賞を受賞しました。

すごくキツイ性格だけど

本当はとても兄のことを心配しているのを

チョイ見せが上手くてニクかった。

義弟役のマウリシオ・イサクは

助演男優賞にノミネートされました。

 

 

この日はシネマカリテで

『朝日が昇るまで』見た後

原宿の太田記念美術館で

「大江戸クルージング」

見て

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最終日に滑り込み。

お客は7割方

外国人な感じでした。

 

次は新橋へ

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新橋のTCC映写室には

初めて行きました。

 

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荒島監督と『チェレンコフ光』

主演矢崎初音さん

 

シネマヴェーラ渋谷で

映写技術者をしてみえる

荒島晃宏さんの監督映画

新作『チェレンコフ光』と

『フィルム・フェチ』

新橋のTCC試写室で。

荒島さんはアメブロしてみえます↓

自主製作短編映画『チェレンコフ光』公式ブログ

ツイッターで同郷だということがわかりました。

『チェレンコフ光』は

フィルム撮影の光の粒子を感じるファンタジックな作品。

長編小説の序章的な作品でもあり

小説を出版予定だそうです。

『フィルム・フェチ』は閉館した

老舗の浅草世界館で撮影されています。

私はこちらに来る前なので行ったことがありません。

お馴染みの方には懐かしく、

記録映像としても貴重ではないでしょうか。

出演されている谷口正晃監督もみえていました。

(実写版『時をかける少女』『シグナル 月曜日のルカ』など)

西島隆弘がキュート!『シグナル 月曜日のルカ』

高良健吾もいい仕事。主演三根梓は早稲田政経現役学生

↑私の記事

そして実は偶然荒島監督の隣で見ることになった私。

監督の隣には映画ジャーナリストの斎藤守彦さんが。

 

荒島監督は

昨年東京国立近代美術館フィルムセンターで開催された

(私も行きました)

『写真展 映画館. 映写技師/写真家 中馬聰の仕事』

に協力されて、トークイベントもありました。

↓全国の映画館をモノクロ写真で撮影した労作。

素晴らしいです。映画館好きな方には特にオススメです。

記録的な価値も半端でない。

 

↑荒島監督の著書『映画館のまわし者』

映写や映画館の舞台裏について興味深い本ですよ。

 

 

映画見た後

日比谷図書文化会館へ

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ネイチャーズベスト

傑作写真展

見に行ったのですが

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日曜祝日は17時まで

って認識してなくてガーン

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もう、閉まっていたからえーん

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野外音楽堂のライブ

聞こえてきて

日比谷公園の噴水見ながら

しばらく黄昏ていた

日曜の夕方でありましたショボーン

 

 

先週荒島監督の現在の職場

シネマヴェーラ渋谷で観た

羽仁進監督特集の記事↓

羽仁進監督+今陽子トークショー シネマヴェーラ渋谷

『恋の大冒険』『彼女と彼』と最近観た映画の短評