トムソーヤーに絵本読み聞かせ -21ページ目

さよなら桜木町HIPHOPグラフィティー(その11):そのストリート、通称はMOBY DICK

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 YOKOHAMA桜木町の国道16号線沿いにある高架下歩道に行ってみるといい。

 ただただ白くペイントされただだっ長い壁が延々と続いているだけの無機質な場である。


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 今は禁止されているが、


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 かつて、この白い壁肌のうえに、ヴィヴィッドに彩色された幾通りものグラフィティたちが繁茂していた。


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  もとはと言えば、白い巨大な平面にすぎなかったものが、闇の中、ストリートペインターに手を施され、無数の通行人の影を写し取りながら、魔術的に発光し揺らめく熱帯魚のような化け物に変身していた。


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 この界隈に住むひとの一部では、この巨大なキャンバスのことを、「MOBY DICK=白鯨」と呼んでいた。


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 その巨大な壁は、もちろん真っ白なわけではなかったが、真っ白ではなかっただけに、かえって、もともとの白い素肌を思わせたのか、「白鯨=MOBY DICK」という愛称が似つかわしいように思えた。


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 ここを寝床にするホームレス=詩人たちのイマジネーションでは、この歩道は白鯨はまさに胎内のような安心感と居心地の良さがあった。

 また、歩道の上を電車が通る時などは、彼らの妄想が劇的に展開し、まさにそこで、白鯨=MOBY DICKと巨大イカが闘っているかのように実況中継する輩もいた。

 みんな、そんなホラが好きだった。


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 そして、この白鯨の腹の中に、飲み込まれた小魚のようにひそやかに居を構える男がいた。

 男は私立探偵だった。

 探偵は、鯨が深海に長時間ダイブするように、世の中から別世界に逃げ込んでいた。息長く、深度を深めれば、いろいろな思考が可能となり、見えないはずのものも見えるようになった。



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※撮影は、コシナ COLOR SKOPAR 25㎜F4、カールツァイス Distagon 28㎜ F2.8

崩れ落ちる数字「6」:バースデーパーティー

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 うえの息子の6才の誕生日に、数字「6」のロウソクを用意した。

 こうすると、ろうそくは6本ではなく、一本で済む。

 しかし、数字「6」は、上部にひさしというか、屋根がある構造となっている。

 屋根に火が移れば、屋根は溶けて崩れ落ちる。

 可哀想に。息子が吹き消す前に、屋根は溶け落ちた。



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馬上(ロードレーサー)にて、人生のデスゾーンについて考える

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 昨日は仕事だったので、久しぶりに早朝ロードレーサー。

 本日は、横浜駅周辺を鈍走。(信号が多いし、線路があるので‥)

 線路と川を横断する陸橋の上で、ランドマークタワーを遠景にパチリ。

 馬上にて考えたのは、石川直樹『いま生きているという冒険』のこと。




いま生きているという冒険 (よりみちパン!セ)/石川 直樹

¥1,470
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 10月15日ブログで、「驚愕の写真集、石川直樹『NEW DIMENSION』に出会ってしまった!!!」とこの人の写真家としてのすごさに触れましたが、若き冒険家としてのエッセーもだれでも読めて、しかも中身が深い。

 たとえば、七大陸最高峰のチョモランマ(8848メートル)に登頂し、人間が生きるか死ぬかの瀬戸際の環境、デスゾーンに突入した時の話。




 頂上アタックの日は深夜一時くらいに最終キャンプをスタートし、ヘッドランプの灯りをたよりにゆっくり歩きはじめました。空は星で埋め尽くされており、あまりに星が多かったので、空自体が赤紫色に発光しているようにさえ見えました。

「これは本当に自分が過ごしてきた世界の一部なんだろうか」。

 不思議な気持ちで歩を進めていると、少し先に人間の足のようなものが見えます。まさか人間ではないだろうと思って歩いていくと、それは一人の登山者でした。大きな岩の陰に寄りかかるようにして、身体をくの字に曲げて座り込んでいる男性です。ダウン(羽毛服)の上下を着ていたのですが、その表面は色褪せており、靴なども全部履いたままぴくりとも動きません。あとで聞いたところ、1999年のドイツ隊にいた登山者の遺体だったということがわかりました。あたりの気温はマイナス二十度ほどで、しかも湿度がなく乾燥しているために、そのままの状態で何年も残ってしまうのです。




 こんな冒険は、自分で「体験する」ことはできませんが、読書によって少なくとも本質を「経験する」ことは可能なのでは?

 などど馬上で考えておりました。

さよなら桜木町HIPHOPグラフィティー(その10):天使が通る

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 俺がなにかを見ようとして見ているのか?

 それとも、なにかが俺の視神経に飛び込んでくるだけなのか?

 どちらにしても、なぜ、通りすがりのビニール袋のブルーに、これほど鋭く目玉を刺激されるのか?


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 ただ見ることで、自分自身がキリキリとひっかかれたり、どす黒い穴を開けられたりする、そんな身体感覚を被ることが、ほかの人間にも起こっているのか?

 それは俺がなにか精神の病にかかっているということなのか?


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 恋する者が、恋をコントロールしようとすればするほど、恋に翻弄されるように、

 見つめれば見つめるほど、見つめるものから見つめられているのか?



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 探偵は、意味のない自問を繰り返す。

 が、もちろん答えはない。


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 しかし、探偵は知っている。

 カメラのレンズをのぞき、シャッターを切る瞬間、闇が生まれ、沈黙が横切る。

 探偵の脳を包みこんで無感覚にする白い繭も、そのときばかりは不在となる。


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 田村隆一という酔いどれ詩人がうたった。



 ひとつの沈黙がうまれるのは

 われわれの頭上で
 
 天使が「時」をさえぎるからだ




※撮影は、カールツァイス PLANAR 85㎜ F1.4


詩人のノート (講談社文芸文庫)/田村 隆一

¥1,260
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さよなら桜木町HIPHOPグラフィティー(その9):『地獄の季節』とラクダの隊商。ホラ幻視。

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 夕暮れ、探偵はHIPHOPグラフィティの前を歩きながら、ジーンズのヒップポケットから文庫本を引っ張り出す。

 ランボオ作『地獄の季節』。小林秀雄が訳した岩波文庫だ。

 ペエジを開かなくったって、お気に入りの詩は諳んじることもできる。


 聞き給え。この物語も数々の俺の狂気の一つなのだ。

 俺は久しい以前から、世にありとある風景が己の掌中にあるのが自慢だった。近代の詩や絵の大家らは、俺の眼には馬鹿馬鹿しかった。
 
 俺は夢みた。十字軍、話にも聞かぬ探検旅行、歴史を持たぬ共和国、行きづまる宗教戦争、風俗の革命、移動する種族と大陸。俺はありとあらゆる妖術を信じていた。





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 1880年、放浪の天才詩人ランボウは、若くして詩と決別し、アフリカの砂漠で商人となってしまう。

 一方、1997年、探偵はなんの才能も発揮しないまま、自分の虚言癖、ホラ話と決別しようともしない。

 それでも、探偵は『地獄の季節』を諳んじる。


 また見つかった、

 何が、永遠が、

 海と溶け合う太陽が、



 すると、HIPHOPグラフィティの前の国道を走る何台ものトラックが、砂漠を横断するラクダの隊商のように見えてくる。

 見えるものすべてが、砂漠の上に広がる蜃気楼にすぎないのか?とも思う。

 まさにランボウの「言葉の錬金術」が探偵のアタマに錯乱をプレゼントしてくれるのだ。


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 探偵は、ふたたびホラっぽい詩を諳んじる。

 俺は母音の色を発明した。

 Aは黒、Eは白、Iは赤、Oは青、Uは緑。

 最初は試作だった。俺は沈黙を書き、夜を書き、描き出す術もないものを控えた。俺は様々な眩暈を定着した。



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 この生きた詩を諳んじると、気のせいか、探偵の脳を包み込み、感覚を麻痺させている、謎の白い繭のようなものが多少は解除されるような気がした。

 とすると、白い繭の正体は、オレが吐いたくだらないホラの残骸、死んだ言葉が白い化石になったものではないか?と探偵はにぶく思考する。



※撮影はコシナ SUPER WIDE-HELIAR 15㎜ F4ASPHERICAL


地獄の季節 (岩波文庫)/ランボオ

¥483
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ジム・ジャームッシュ『リミッツ・オブ・コントロール』観て孤独な殺し屋を目指す!

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 先月末、渋谷のシネマライズにて、ジム・ジャームッシュ監督『リミッツ・オブ・コントロール』観ました。

 シネマライズの階段で、開場待ちをしながらリコーGR21で巨大広告撮影。


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 シネマライズ‥数少ない渋い映画をやっているところです。


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 で、肝心の『リミッツ・オブ・コントロール』のこと。


 コードネーム“孤独な男”がスペインに降り立つ。

 乾いた空気の静かな部屋の中で、男はひとり太極拳をしながら心と体をコントロールする。

 広場のカフェで男は、必ずエスプレッソを2カップ同時に注文し、エージェント達と情報交換する。

 広場の周囲は、HIPHOPグラフィティが乱雑にペイントされている。

 男は殺し屋なのに、昼は美術館に通い、夜はテラスから夜の喧噪を、上半身を傾けながら眺めている。

 驚くことに、エージェントの女コードネーム“ヌード”に豊満な裸体を見せつけられても、“孤独な男”は動揺しない。「仕事中はSEXをしない主義」

 男のアタマの中で、女の裸体は、美術館で鑑賞した裸婦像と結びつけられる。

 イメージ=映像とイメージ=映像が、単純に繋ぎ合わされる。

 風景画は、本物の街の景色に結びつけられ、変換される。(どこでもドア)

 鏡に映った自分の姿は、自分自身の姿に変換される。(分身の術)

 すべての対象をモンタージュにより、類似物と結合することによって、等価物として扱う映像の魔術。

 この映像を数珠つなぎにする魔術(モンタージュ)によって、殺し屋は、厳戒態勢で防御された砦に住むターゲットに、忍び寄るのだ。


 日本のバンドBORISが、BGMを担当。思わず彼らの曲を3曲、ipodにダウンンロードしてしまった。

氷川丸に思いを寄せ、朝カレーで燃料補給!!

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 今日もクイーンあたりまでロードバイクで快走(??バテバテ)

 ここらは、線路を意図的に残していたり、ウォーキングデッキがあったりして、散歩者、ランナーなどで賑わっている。

 カメラ持って散歩するのがおすすめです。

 そして、観光名物としては廃れてしまった「氷川丸」

 みなさん「氷川丸」を軽くみているかもしれませんが、さまざまな古い記憶と歴史が交錯する偉大な船なのですよ。




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 写真家の田中長徳さんが、「氷川丸」を題材に『チョートク海をゆく』という本を出しているので、気になっています。

 ついでに長徳さんのブログをお気に入りに追加しました。

 KCチョートクカメラ日記 http://chotoku.cocolog-nifty.com/


チョートク海をゆく/田中 長徳

¥3,990
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 帰宅後、朝から昨日のカレーをガツガツ食べましたが、

 「朝カレー」ってはやっているみたいですね。




病気にならない 朝カレー生活 (中経の文庫)/丁 宗鐵

¥560
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アイデアがひらめく!!!ロードバイク思考法

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 朝6時に起床して、みなとみらい方面にサイクリング。

 早朝は車も人も少ないので、快適に走れます。

 海を見ながら大桟橋に行き、アメリカ合衆国のペリー提督が横浜に上陸した場所「象の鼻」でクイーンを背景にパチり。


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 この「象の鼻」あたりは、少しごちゃごちゃしたいい感じだったのが、開港150周年記念ですっきりしてしまっていた。(知らなかった)

 落書きのうえにペイントされた「BLUE」という文字もいやにすっきりしてます。




 ところで、自転車にまたがるといいアイデアが生まれるという話。


思考の整理学 (ちくま文庫)/外山 滋比古

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 外山滋比古さんの『思考の整理学』という本が、“三上”という語を紹介している。


 その昔、欧陽修という人が、文章を作るときに、すぐれた考えがよく浮かぶ三つの場所として、


 馬上、枕上(ちんじょう)、厠上(しじょう)


をあげた。これが三上である。

 

 「馬上」は、文字通り馬にまたがった状態。現代なら車や電車の中。そして、まさにロードレーサーにまたがっている時!!

 「枕上」は、まくらの上ということで、寝ているとき。寝ている時にも脳は働いていて、朝起きたらひらめいたなんてことも。

 「厠上」、これは便所の中でナニしている時。私は便所の中で本を読んだりしてくつろぐタイプではないので、ピンときませんが‥

 この本の中で、そのほかに“三中”という語も紹介されています。ついでに引用します。


 三中という状態も思考の形成に役立つように思われる。

無我夢中、散歩中、入浴中


 これ、わかりますよねぇ。私は特に「散歩中」、いろいろと思いつきます。


情熱イタリアンレッドのロードレーサーとの日々がはじまる!!

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 とうとう手に入れてしまった!!!

 情熱イタリアンレッドのロードレーサー DUCATI × BIANCHI

 かなりスピードが出るし、その分、かなり危険です(ホントアブナイ)

 今日から肉体鍛錬の日々がはじまる‥  ハズ‥

 調子に乗って1時間乗っただけで、かなりバテバテ、アラフォーの哀愁。


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 こんな本を立ち読みして、

自転車会議/疋田 智

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 こんな怪しい本を買って、トレーニングすることに

エンゾ早川のロードバイクドリル/エンゾ早川

¥945
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 しばらくはこれで遊べそうです。

 アメーバブロガーのIIDA氏の家に早朝、おしかけていきましょうかね。

 ちなみに、撮影は桜木町のHIPHOPグラフィティの生き残りの前です。


さよなら桜木町HIPHOPグラフィティー(その8):紙が舞う部屋、繭に包まれた脳

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 風もない部屋の中で、紙がひとりでに幾枚も舞い上がる。

 ひらりひらりと、一枚、二枚、静かに舞う朝もあれば、暗闇の中で、数十枚の白い紙が一瞬のうちにザバッババババババッと凄まじい音を立てて乱舞する夜もある。

 この怪奇現象は、“紙舞”という妖怪の仕業と言われている。



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 紙舞は、“神の舞い”とも読め、神様が出雲に集まる神無月に限って生じる怪奇現象と言われているが、探偵の高架下の事務所では、年中、紙が舞っているのが見えた。

 「これは、本当の紙ではないのではないか?ポルターガイストというよりも、俺のイマジネーションの中で、紙が舞っているということはないか?」

 「ならば、部屋の中に、雪を降らせようと思えばそうなるかもしれない」

 探偵の“実”の存在が、またしても“虚”に食われていく‥



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 「存在自体がウソっぽい」という疑念が頭から離れなくなったのは、探偵が19才の頃だった。

 どういうわけか、自分の脳の周りに、白い繭のような柔らかいものがまとわりついている感覚があり、どんな現実の出来事も、ダイレクトに「ホントのこと」「そこにあるもの」という実感が得られないようになってしまったのだ。

 その症状が進行していくにつれ、自分のことを、幽体離脱をして他人事のように眺めているという奇妙な身体感覚にとらわれてしまう。


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 その一方で、時折、その白い繭をかき破り、脳に直接手を突っ込んで、ダイレクトで直情的な感覚を手に入れようとする激情を感じることもある。

 が、白い繭はなにごともなかったかのように、ゆっくりと破れた穴をゆるゆると埋めていく。

 そして、探偵の部屋の中では、白い繭越しに、紙が舞っているのが見えている。



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※撮影は、カールツァイス Distagon 28㎜ F2.8