各自治体が発効する固定資産評価証明書には,当該不動産の固定資産評価額が記載されています。
不動産に関する訴訟を提起する際に貼付する印紙(手数料)の額は,当該不動産の価額を基準としますが,それは固定資産評価額を基準とすることとされています。
そのため,弁護士においては,訴訟提起するに際して,各自治体に対して固定資産評価証明書の交付申請をすることができます。調停申し立てや借地非訟の申立ても同様です。
申立に際しての手数料を知るために必要となるわけではないものの,仮差押えや仮処分の申し立てに当たっても,押さえる物件の評価額(担保余力)を知る必要があることから,評価証明書の取得が認められています。
これらの場合は,取得するのは比較的簡単で,所定の申請書に記入すれば足ります。
なお,取得したい衝動に駆られることもありますが,遺産分割等の家事調停や家事審判の申立てに当たり,遺産である不動産の価格を知るためという理由で固定資産評価証明書の取得申請をすることはできないことになっています。
面倒なのが,不動産競売を申し立てるために,公課証明書(評価額の他固定資産税,都市計画税の課税額が記載されているもの)を裁判所に提出する必要があるのですが,執行文が付いた債務名義(判決文)の写し,競売申立てのための委任状の写し,競売申立書の写しまで添付する必要があります。
勝つかどうかも分からない訴訟提起の場合には簡単に取得できるのに,裁判で勝った後に執行する段階になってなぜここまで厳重に書類のチェックが必要なのかは謎です。
なお,都の場合,少し前までは都の印紙で手数料を納めなければならなかったのですが,現在では,定額小為替で納付できるようになったので少しだけ便利になりました。