AKB48の指原莉乃は「モーニング娘。」の子供である。それと同じように、SUPER☆GiRLSの浅川梨奈は「AKB48」の子供である。
浅川梨奈は小学二年生のときにAKB48に出会い、高橋みなみに憧れる。(※1)
2007年頃だから、AKB48が結成して二年、高橋みなみがチームAのリーダーとなったころだ。秋葉原の劇場では盛り上がっているものの、まさかAKB48がのちに「国民的アイドルグループ」と称されるなんて誰も思っていない時代だ。
2007年の年末にAKB48は「NHK紅白歌合戦」に出場する。しかし「アキバ枠」という企画で、中川翔子やリア・ディゾンとひとくくりにされた。会見では記者から「アキバ48(よんじゅうはち)さんは──」と呼ばれ、メディア関係者にすらちゃんとグループ名が浸透していなかった。高橋みなみは悔しい思いをしたと語っている。(※2)
そんな頃から浅川梨奈はAKB48のヲタクだった。やがて「国民的アイドルグループ」と呼ばれるようになり、その初代総監督に就任し活躍する高橋みなみを、彼女はずっと見ていたことになる。
浅川梨奈は秋葉原の劇場公演にも通い、自身も二度、AKB48のオーディションにエントリーするが、二度とも書類審査で落とされた。(※3)
AKB48からはじまって、ほかのアイドルにも目を配るようになっていた浅川梨奈は、エイベックスの「アイドルオーディション2010」にエントリーしていた田中美麗を発見する。最終審査に合格し、SUPER☆GiRLSとなった田中美麗のヲタクとなり、彼女の握手会にまで通うようになる。(※1)
そして、2012年の『avex アイドルオーディション2012』を見つけて──
「──その前年ぐらいにストリート生がお披露目されたじゃないですか。『え、スパガ、後輩できたの? 後輩が羨ましい!』ってストリート生に嫉妬心を抱いていたので、私も入りたいと思って。それで応募したら受かって、『私、スパガの後ろにいるよ!』『無銭で一緒に写メ撮っちゃったよ!』って(笑)。それから月日が経って、気付いたらスパガにいたっていう。…」
彼女はすんなりSUPER☆GiRLSになったわけではない。
ストリート生として活動しながら、2012年12月にアイストの第三弾グループ『GEM』のスターティングメンバーに選ばれている。しかし、グループで半年間活動したのち、2013年6月のアイストカーニバル日本武道館公演のステージ上で、GEMの正式メンバーから落選する。
(このとき共に落選しているのがスパガ二期の内村莉彩と、わーすたの坂元葉月である)
そのときの映像が公式に残されている。横一列に並んだメンバーから、合格者の名前がつぎつぎに呼ばれる。最後まで名前を呼ばれなかった浅川梨奈は、深々とおじぎをして舞台袖に駆け去っていく。(※4)
彼女はステージを降りたあと、泣いた。(※5)
「人生初の挫折を味わい、この世界での夢を諦めようとした──」ほど落ち込んだ。(※6)
彼女はほんとうに辞めることを考えていたようで、親御さんをふくめて話し合うために樋口プロデューサーが地元まで足を運んだという。(※7)
「──私、結構苦しんだんですね。本当にGEMに落ちたら辞める話をしていて…。実は今だから言えますが、私の地元までプロデューサー(avex iDOL Street樋口氏)さんが来てくれて話し合いをしたんです。私の親もGEMに落ちたら辞めると言っていたので。『ストリーグ!!』が終わるまではいようかなという感じだったんですよ」
武道館の時点で、アイストの統括プロデューサーである樋口氏の胸に、浅川梨奈のSUPER☆GiRLSへの加入というアイデアはあったようだ。だが、もちろん本人たちはそんなことを知らない。(※8)
当時、SUPER☆GiRLSは結成から三年、オリジナルメンバーのみで活動しており、二人が卒業していたものの、まだ新加入はなく、メンバーが入れ替わり新陳代謝をしていくグループとの認識はされていなかった。
2013年の9月、未だストリート生として活動していた浅川梨奈に声がかかる。
──スパガに入らないか?
「最初は入りたくないって思ってたんです。『今のスパガを崩してほしくない!』って──」(※1)
スパガに新メンバーが入ることに、浅川梨奈は動揺した。
「いちファンとしては誰も入らないでくれ、という想いもあるし、アイドルとしてチャンスを活かせるのは“今だ”という挑戦したい想いもあって。でもそれが自分でいいんだろうか、という気持ちも大きい。その感覚が変わったのは、さおりーぬ(初代リーダ八坂沙織)さんから『浅川、頑張れよ』って言われたことでした」(※9)
2013年12月のイベントのなかで、初代リーダー八坂沙織の卒業と、浅川梨奈、内村莉彩のSUPER☆GiRLSへの加入が発表された。正式な卒業と新加入は翌2014年2月のイベントで行われることになる。(※10)
このときの発表では、もうひとりの新加入者についてはいっさい触れられていない。
浅川梨奈は事前にスパガに新加入するのは三人だと聞いていた。しかし、ストリート生からは彼女と内村莉彩のふたり。残るひとりは外部の人だと言われて、「え、誰?」となった。(※11)
その「誰?」が渡邉幸愛だった。
2013年の秋に、渡邉幸愛、浅川梨奈、内村莉彩の三人がはじめて顔合わせをした。浅川梨奈は内村莉彩ともほとんど話をしたことがなく、別のグループにいた渡邉幸愛のことはまったく知らなかった。(※12)
ひとつの部屋に三人だけで取り残されたときは、誰も口をきかなかった。ただただ早く帰りたかった。
このとき渡邉幸愛は高校一年の15歳、浅川梨奈は中学二年の14歳、内村莉彩は中学一年の13歳だった。
2014年2月23日にサプライズ登場した外様の渡邉幸愛だけでなく、グループにはじめて加入することになった浅川梨奈と内村莉彩への風当たりも、相当に強かった。
──「1000年に1度の・・・」SUPER☆GiRLS 浅川梨奈【3】につづく
(※1)<連載 第5回>スパガ個別インタビュー:「全てのアイドルが手を取り合って―――」浅川梨奈(グラビア担当/総監督?)の野望 | Daily News | Billboard JAPAN
(※2)「AKBヒストリー」p58
(※3)“1000年に1度の童顔巨乳”かつ重度のアイドルヲタ、スパガ・浅川梨奈が投票したのはAKB48のあのメンバー!? - music.jpニュース
(※4)iDOLStreet/【スト星便り☆ミ 24 アイドルストリートカーニバル】◆2013年6月24日 - YouTube(14分50秒)
(※5)なぁぽん(・_・)武道館 | トーキョー夢ぴよ組(e-Street TOKYO)オフィシャルブログ Powered by Ameba
(※6)浅川梨奈Twitter「ティアラの条件」 人生初の挫折を味わい、この世界での夢を諦めようとした
(※7)浅川梨奈、廣川奈々聖、「コピンク」という転換点 : MusicVoice(ミュージックヴォイス) : ページ 2(2016年02月24日)
(※8)統括プロデューサー 樋口竜雄氏再び! アイストを語り尽くす!! | Special | Billboard JAPAN(p3)
「──2013年の武道館でGEMのスターティングメンバーから選ばれなかった浅川梨奈と内村莉彩、坂元葉月がどうなるのかっていうタイミングでSUPER☆GiRLSの第2章をイメージし始めて、翌年2月に新メンバーを入れるストーリーになっていくんですけど、浅川はスパガに入ってもらいたい人だという思いがしっかりできたのでGEMには選ばれなかった、といってもいいと思います」
(※9)SUPER☆GiRLS | インタビュー | Deview-デビュー
(※10)「SUPER☆GiRLS」リーダー・八坂沙織が来年2月卒業― スポニチ Sponichi Annex 芸能
(※11)史上初のW表紙! 浅川梨奈&渡邉幸愛の野望「スパガのメンバー全員をいつかは脱がしたい!」 (2017年6月12日) - エキサイトニュース(2/4)
(※12)1月13日OA「SUPER☆GiRLSのスーパーラジオ!」ハイライト - YouTube
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