小林一郎と歩く「ガード下」と「横丁」 -14ページ目

小林一郎と歩く「ガード下」と「横丁」

「ガード下学会」「横丁・小径学会」活動の報告および、予定などをお知らせします。

いま、筑摩書房から郵便物が届きました。どうも中身は本のよう。まぁ、いずれにしても、執筆の依頼? ボクの場合、筑摩さんとの相性が悪いと思っていましたが、こんなこともあるんだな、と思いながらボール紙製の封筒の封を開けると、うん? 文庫本! しかも……。友人からの著者献本でした! そういえば、知り合いが新たに文庫本を出すと言うことから、ボクは、知り合いの本を買うのが楽しみなので(自腹を切ることで得る幸せ、ってのもあります)、新刊本を買う、と宣言したものの、いや版元から送らせますから、とのやりとりをしたのを思い出しました。
今回の本は、これまで筑摩新書から出されていたものの文庫化。昨年出された『知的トレーニングの技術』が爆発的なヒットだったのを受けた、企画でした。


来週の土曜日(10月1日)、「第25回〝横丁・小径/ガード下学会〟旧小菅刑務所+差入れ屋横丁」ミニ遊歩の集合時間決まりました。

午後1時、東京メトロ綾瀬駅東口改札前
これは、東京拘置所の開放時間が午後3時までのためです。

*ミニ遊歩ですが、よろしくお願いいたします。


東京メトロの「Metro Walker(メトロウォーカー)秋号」の特集の監修をいたしました。地下鉄の駅で無料配布されています。

今回の特集は〝建築〟です。ご興味のある方、無料ですので、手に取ってみてください。『ここだけは見ておきたい 東京の近代建築Ⅰ』(小林一郎著、吉川弘文館)のプレゼントもあります。

なお、ネット上でも公開されています。http://www.tokyometro.jp/enjoy/freepaper/metro_walker/














第25回「横丁・小径/ガード下学会」横丁と路地〟
   旧小菅刑務所+差入れ屋横丁〟ミニ遊歩

ナビゲーター:小林一郎
開 催 日:2016年10月1日(土)
時  間:未定(決まり次第お知らせいたします)
集合場所:東京メトロ千代田線「綾瀬駅」東口改札前
内容:〝高度経済成長期のガード下〟と「監獄建築」+差入れ屋
    東京拘置所公開に合わせた企画です。




参加費無料。今回はミニ遊歩のため、所要時間1時間~1時間30分程度。
 遊歩後、茶話会(参加自由)計画中。

24回「横丁・小径学会」荷風からはじめる横丁と路地〝鐘ヶ淵〟遊歩

ナビゲーター:小林一郎

  日:2016910日(土)

時  間:午後2

集合場所:東武スカイツリーライン(東武伊勢崎線)「鐘ヶ淵駅」西口改札前

内容:鐘ヶ淵駅(西口改札前)墨堤通り旧綾瀬川隅田水門堀切駅柳原千草園柳原商店街北千住



* 川と路地を遊歩します。

*参加費無料。一緒に遊歩しましょう!

阪神淡路大震災から20年を過ぎ、関西、東京ともにガード下が大きな変化を遂げようとしています。

阪神では、日本一長いモトコーのガード下での店子の締め出し、東京でも、有楽町から上野駅まで(基本的に山の手線の高架橋は一部を除いて、この区間しかありあません)店子を追い出し大規模再整備へと向かっています。このほか、開かずの踏切を解消するため新たに創り出された高架橋(中央線東小金井―武蔵小金井付近)でもガード下が誕生しています。

これら、新たなガード下の再活用作は、どれも机上の論理のうえに成り立ったもの。そこで、再度、ガード下の再開発について、しっかり遊歩し、見届けていきたいと考えます。

これまでの「横丁・小径学会」(http://yokochogakkai2012.jimdo.com/)のホームページにかつての「ガード下学会」の活動を含め取り組むことにいたしました。

ご興味ある方、一度、ご覧になってください。

第24回「横丁・小径学会」荷風からはじめる横丁と路地〝鐘ヶ淵〟のお知らせ


ナビゲーター:小林一郎
開 催 日:2016年9月10日(土)[予定
時  間:午後2時~
集合場所:東武スカイツリーライン(東武伊勢崎線)「鐘ヶ淵駅」西口改札前
内容:鐘ヶ淵駅(西口改札前)―墨堤通り―(水神大橋)―(千住汐入大橋)―旧綾瀬川―隅田水門―堀切駅―柳原千草園―柳原商店街―北千住


 綾瀬川が入り込む隅田川(鐘ヶ淵)から、右岸の南千住へ。そして昭和が残る〝金八先生〟の堀切、牛田(左岸)を歩きます。
「南千住地区」は「山谷地区」と並び、隅田川が洪水で溢れた際には、他地域に被害が及ばないよう、一手にその水害を引き受けた地域。隅田川から溢れ出た水は南千住の西側に築かれた日本堤で留められ、川と土手に挟まれた南千住は、いわばプール状態。
 とはいえ、南千住エリアは(隅田)〝川〟と(日光街)〝道〟の交通の要衝。今でも、物流の拠点として〝JR隅田川貨物駅〟が営業を続けています。
 一方、この水没地を救済するために新たに掘削されたのが荒川放水路(現・荒川)。この掘削によって分断されたのが堀切と千住。いまだに、さまざまな面で混乱は続いています。
 そして、綾瀬川が入り込む隅田川(ここからが隅田川!?)。
 明治30年代まで運輸の一翼を担った「川」と、それ以降主役となった陸上の「道」と「鉄道」。この街の三題噺に交通機関から治水へと変わり、街を分断させた川をプラスさせて歩きます。
* 江戸の大きな町割り(120m角)は、長い年月を掛け、さらに戦後、街区内に路地などを通して細分化。その細分化された街が再びまとめられ、100mを超えるスーパー街区として生まれ変わり、巨大なタワーマンションが建ち並ぶ。わが国独自の独立住宅群と巨大な摩天楼という時代のせめぎ合いのなか、昭和の街並みとスーパー街区をしっかり遊歩します。


 参加費無料。一緒に遊歩しましょう。





年齢を重ねると、本人はまだまだ現場での取材や原稿書きができると思っていても、そうした仕事は、従来からの知り合いを除いて、まずなくなってしまいます。というか、ボク自身、もともと自分で書きたいというライター志望ではなく、編集者で、その作業のなかで取材をしたり、原稿を書いたりという仕事が発生していただけで、あくまで編集業の一部なのではありますが……。
昨日あるところから、突然電話があり、小冊子の監修を頼まれました。都内の建築の特集をしたいとのことでした。今日、担当者がうちの事務所に訪れ、話をお聞きすると、ボク自身が書いてしまった方が明らかに早いし、効率がいい、と思いながらも、依頼はあくまで、監修。だんだんと、実社会から引き離されていっています。ボクの本の愛読者というのはありがたいんですが……。
いつだったか読んだ『鉄道旅行の歴史――19世紀における空間と時間の工業化』(ヴォルフガング・シヴェルブシュ 法政大学出版局 1982)の話が、ひょいと、現代のパノプティコン(一望監視システム:監視側からは見えるけれども、囚人からは見えないというシステム。鉄と板ガラスの開発によって誕生したといえる)社会に結びつきました。
鉄道旅行の歴史が述べているのは、車窓のパノラマ化。それによって〝前景〟が消失する、というのがその論。自分を含む前景が存在しなくなるということは、見る〈主体〉と見られる〈対象〉が乖離された、ということです。(この〈見る―見られる〉関係性の乖離は交通機関だけでなく、テレビも同じで、見られるだけの者と見られることなく見る者(匿名性をもっています)とに分割され、それになんとも疑念を抱くことがなくなっています)。この〈見られる者〉と〈見る者〉の日常的な乖離は、監視カメラの設置のみならず、都市に対する〝違和感〟や〝疑念〟を生じさせない、一つの大きな要素になるのでは、と考えました。
ちなみに、居酒屋は顔の見える匿名性の世界。ここを起点に論理が展開される?

 『居酒屋ほろ酔い考現学』(橋本健二 祥伝社黄金文庫 2014)、『居酒屋の戦後史』(橋本健二 祥伝社新書 2015)、『日本の居酒屋文化――赤提灯の魅力を探る』(マイク・モラスキー 光文社新書 2014)、『吉祥寺「ハモニカ横丁」物語』(井上健一郎 国書刊行会 2015)――を読みました。これまで、どんなに依頼されても「飲み屋の話は書かないよ! 書き込まないよ!」と突っぱねてきた小生が?(そうはいっても、雑誌ではずっと書いていましたが、個人の単行本では書きたくないというだけだったんですけど)、立て続けに呑み屋の話を読みました(編集長に頼んだわけではなく、ちゃんと書店経由で購入しました)。ただし、このあとの予定は都市社会学の『サードプレイス――コミュニティの核になる「とびきり居心地よい場所」』(レイ・オルデンバーグ みすず書房 2013)へ進みますので、向かう先は赤提灯の魅力を探る――というより、街、街路に向かって開かれた場――がテーマ。
これらの本を読んでいて気付いたんですが、路地は利用者によって意味を書き換えることができるけれど、横丁(ネーミング横丁)は利用者が意味を付け加えたり、書き換えたりすることができない! という発見。でも、(ヤミ市起源の)横丁はその存在自体がアナーキー?(これらはいずれも、読書感想ではなく、ボクの思考に寄せると、というお話です)