貴方にあえるのなら

僕はもう死んでも構わない

その一縷の願いを手に僕はこの塔を登ってゆく


蝋燭の炎が照らす汚れ知らない白磁の壁

全てを阻むように重々しく閉ざされた扉を

ゆっくりと開いた


光り輝く氷のシャンデリア

美しすぎる空の玉座

僕はそっと唱えた


時計の針の音が止まり

空から雪の花が降り注ぐ

それをそっと口に入れた

目を開けると愛おしいあの人は

困った笑みを浮かべ僕を見つめていた

やっと会えた 今まで何度願ったことだろうか


あなたが存在しているだけで

僕の世界は鮮やかになったんだ

だからどうか泣かないで 

あなたに堕ちてしまった僕が悪いのだから

涙を拭おうにももうこの身体は動かない


重く響く柱時計

時は動き出し夢は現へと変わる

意識が雪に染められてゆく

消えてゆく意識の中

君はゆっくりと口角をあげた


"あなたと一つになれるなんて僕は幸せだ"


そして僕の意識は雪となった





空から舞い落ちる脆く儚い白の花

それはとても冷たくて

それでいて何故か懐かしくて

来訪を告げる風に

ゆっくりと目を開けた


とうとう来てしまったのね


何かを探すように視線を迷わせ

切なげに空を見上げ

願いを唱えた君に

そっと雪の花をそえよう

それが私の勤めなのだから…


(君に出逢えてから この白と黒だけの世界が 鮮やかに色付いて見えたんだ。何でだろうね 分からないけれど)


止まった時を打ち砕くかのように

重く響く柱時計

夢は終わり現へと戻っていく


純白に染まる君のあたたかい手

対価はその身体

嗚呼 君も…君も雪になってしまう…


もう触れることさえ出来ない君に

そっと聞いてみる


"あなたは幸せでしたか?"


貴方はとても幸せそうな笑みを浮かべ

透明な雫を残し シロに消えていった。


残った小さな雫をそっと口に入れた

それは少しほろ苦く

それでいてとてもとても甘い

この身を溶かすほどに…


冷たく硬い生垣に閉ざされた氷の城は

優しい春風によって開かれた

空を切り裂くその塔は崩れ落ち

後に残るは ━━━。





やぁおはよう

気分はどうかな?

昨日はごめんね

途中で気絶させちゃって

いやぁ僕もまだまだだな〜

今日は君を退屈させないようにするよ

さて また尋問を始めようか

君の組織にあの情報を売ったのは誰だい?

知らない…ねぇ 

まだ話す気になれないのー?

ちゃーんとホントの事言わないと

また痛い目みるよ?

そっか…いわないんだ

なら 君の綺麗な蒼い目 もらうね

あは あはは

痛い?痛いよねぇ 苦しいよね

あーあ 早くいえばいいのに

言わないならこっちも貰うね?

あははっあはははは


いい加減にしないとこんなに優しい僕でも怒るよー

そんなに話したくないんだ

じゃあ 喉なんて要らないよね

ほら口開けて はいあーん

はぁ 強情だなぁ

…君に拒否権なんてあると思ってるの?

無いよねだからさ ほら 

はやく開けろよ

あはは いい子だねぇ

いい子には特別にこの薬をあげよう

はい ちゃーんと飲めよ?

声でなくても意思表示くらい出来るんだからさ まだまだ続くよー? 


もしもし 主様ー

あのね 壊しちゃった

この子も何も知らないんだってさー

ねぇ…ホントに情報売ったヤツいるの?

僕は主様がわざと流したと思ってるんだけど… はいはーい 詮索はしないってば

僕はおもちゃが貰えたらそれでいいからさ あはは

次のおもちゃは誰?

…この子の婚約者…ねぇ

次はすぐに壊さないように頑張るー


そっかぁ…この子の婚約者かぁ

ねぇ 愛しい愛しい婚約者がここに来るんだってよ

嬉しいかい?…ってもう喋れないんだよねぇ  

そうだ  折角婚約者が来るんだから お洒落しないとだね  

どうしようかな  これと同じ 蒼いドレスにしようかな?

あ そうだ 純白のウエディングドレスにしよう♪ 

紅く染まっちゃうかもしれないけどさ

きっと彼も喜んでくれるよ

あはは あははははは