Destiny Alive Heaven Love Innocence Always Destroy Aftermath Hell Life Infinite…


X JAPANの4thアルバム『DAHLIA』について少々真面目に語ってみようかと思う。


X JAPAN - DAHLIA

エックス・ジャパン - ダリア

1996年11月4日リリース

オリコン初登場1位


トラックリスト

  1. DAHLIA
  2. SCARS
  3. Longing 〜跡切れたmelody〜
  4. Rusty Nail
  5. White Poem Ⅰ
  6. CRUCIFY MY LOVE
  7. Tears
  8. WRIGGLE
  9. DRAIN
  10. Forever Love(Acoustic Version)
赤字はシングルカットされた楽曲


本作『DAHLIA』は、前作のフルレンスアルバム『Silent Jealousy』から5年、ミニアルバム扱いの『ART OF LIFE』からでも3年の時を経てリリースされた、X JAPANにとってインディーズ時代を含めて4枚目のスタジオフルレンスアルバムである。X JAPANになってから、そしてアトランティック・レコードに移籍してからは実質初めてのスタジオアルバムであり、そして唯一のオリジナルアルバムである。

様々な問題や困難があったのは分かる。しかしトラックリストを見て頂きたい。10曲中、7曲がシングル曲である。SCARSがアルバムからのリカット、Forever Loveがバージョン違いであるとは言え、実質7曲がアルバムリリース前に世に出ている楽曲であり(SCARSもLIVEで披露されていた)アルバムオリジナル曲はたったの3曲、そのうち1曲は1分30秒に満たないインストゥルメンタルナンバーである。

X及びX JAPANが、私は好きであるが、(後追いでありリアルタイムではありませんけど。)これには閉口せざるを得ない。当時のファンは、これをオリジナルのスタジオアルバムだと3000円払ってまともに受け入れることができたのだろうか。勿論受け入れた人がいることは分かっているんだけれども。それは取り敢えず置いときますね。

曲ごとの解説/レビュー

1曲目、DAHLIA

アルバムタイトルトラックでアルバム冒頭を飾るスピードメタルチューン。そしてキラーチューン。


X JAPAN史においても屈指のメタルソングであろう楽曲。そして、バンドのサウンドがこれまでに比べて凄くデジタルになっている。(ここは好みの別れるところであろう。)

TOSHIのボーカルにもめちゃくちゃエフェクトがかかっているし、ドラムも打ち込みを多様している。

オーケストレーションも器用されていて、早速シンフォニック・メタルである。

とは言えそこはX JAPAN、YOSHIKI印の美しいメロディが舞う。

間奏部分も踏まえて凝りすぎくらいには凝っている楽曲であり、もしかしたら詰め込みすぎているのかもしれない。(でも大好き)


Destiny Alive Heaven Love Innocence Always Destroy Aftermath Hell Life Infinite…(運命、生、天国、愛、純粋、いつも、破壊、余波、地獄、命、無限)


YOSHIKIによるこのセリフ、意味が解りませんよと。私もわかりませんけど、なんとなくそれっぽい感じでいいんじゃね?知らんけど

一応、それぞれの英単語の頭文字を繋げると、DAHLIA DAHLIと繰り返しになります。最後のAがないのは、YOSHIKIの別プロジェクト、Violet UKの『Amethyst』がそれに当たり、実質Violet UKがYOSHIKIにとっての第二のX JAPANを意味すると語っています。


2曲目、SCARS

本作『DAHLIA』からのリカットシングルであり、HIDE作詞作曲によるデジタルロックチューン。


LIVEでは歌い出しをHIDEちゃんが歌ったりしていますが、まぁカッコいい曲ですよね。HIDEのあまりポップではないデジタル路線のロック観が思いっきり出ている楽曲だと思う。ポップではないと言ってもキャッチーではある。そしてあまり言われないですけど、この曲でベースのHEATHは凄くいい仕事してるんですよね。

TAIJIは勿論素晴らしいベーシストだったけど、HEATHも素晴らしいベーシストであり、比べるものじゃないと思うんですよ。


3曲目、Longing 〜跡切れたmelody〜

素晴らしいバラード。X JAPANのバラードの中ではどうしても埋れがちだと思うけどね。


歌メロが美しいこともさることながら、ツインリードギターソロのメロディもなんとも美しいではないか。

そして後半の転調でTOSHIのボーカルのボルテージが増すのもまたよいではないか。


4曲目、Rusty Nail

もはや言うまでもないであろうアップテンポなキラーロックチューン。


イントロのシンセサウンドからしてカッチョイイのである。WEEK ENDの第二章として作られた曲らしい。

WEEK ENDを受けての歌詞になっている他、WEEK ENDのギターフレーズがそのまま引用されていたりする。

HIDEちゃんによるワウペダルを使ったギターソロはメチャクチャロックしているギターソロである。ドラムのフィルでめちゃくちゃドライブしてからのギターソロインが相当にかっこいい。ソロ終わりのサスティンからのピックスクラッチがこれまたかっちょいい!


I can die, I can live I can die to set me free

Day and Night, Night and Day

I wanna live to set me free


と、YOSHIKIさんがソロ前にセリフとして語っております。厳しいスケジュールに拘束されすぎてこのような歌詞が出てくるのかな。それからX JAPANという呪縛にも。


5曲目、White Poem Ⅰ

ここにきてアルバム中最初のオリジナル曲です。デモの段階でYOSHIKIがボーカル以外の全てのパートを担当しており、デモの感じで弾いてほしいとメンバーに要請したところ、そんな無茶苦茶な感じで弾けるか!と断られた結果、ギターもベースもYOSHIKIによるデモのテイクがそのまま活かされた形となっているため、この曲にHIDE、PATA、HEATHは参加していない。

そして大半がYOSHIKIによる語りで大体I feel so blueって言ってるか、Loveって言ってるか、This is the lineって言っており、TOSHIのボーカルが入る一応サビらしきパートは殆どTell me whyって言っているだけである。

なんでしょうかね。怪しいインダストリアスとでも言いましょうか、そんな感じの曲です。

メロディライン及び、その背後のピアノは流麗。


6曲目、CRUCIFY MY LOVE

ピアノ・ストリングスバラードであり、シングル曲である。こちらもいい曲だと思うのだが、なんせX JAPANの中では影の薄い曲だと思う。全英詞。

当然ながら、HIDE、PATA、HEATHは演奏に参加していない。

この曲、X JAPANの曲の中では比較的カラオケで歌い易いからオススメだけれど、カラオケでX JAPANを歌うこと、それ即ち自殺行為であるらしい。(キーがどうこうじゃなくて、空気の話。)


7曲目、Tears

不朽の名バラードの一応アルバムバージョン。


2曲続けてバラードなワケだけれど、内容が全然違うし、まぁいいか。

えぇこの曲は私が最も大好きなX JAPANのバラード曲になります。本当に美しい。何もかもが。もう何も言うことないんですけど、この曲でもね、何気にHEATHさんがTAIJIさんとは違ったアプローチの仕方で、非常に素晴らしいベースを聴かせているんですよ。地味かもしれませんけどね。一度是非耳を傾けてもらいたい。HEATHさんの新しいベースの音源というのも、もう二度と聴けることはありませんしね。RIP…

そしてギターソロも、Longing〜でも同じこと言ってますけど、素晴らしく美しいメロディラインのツインリードじゃありませんか。HIDEちゃんが最も愛した曲だというのも頷けます。

そしてYOSHIKIさんにとっても特別な曲であります。この曲は、YOSHIKIの亡くなったお父様に対するレクイエム、鎮魂歌となっています。歌詞を追っていくと泣けるものがあります。

アルバムバージョンでは、ラストにYOSHIKIによるナレーションが追加されています。以下、そこの部分の歌詞と和訳。


If you could have told me everything

You would have found what love is

If you could have told me what was on your mind

I would have shown yot the way


Someday

I'm gonna be older than you

I've never thought beyond that time

I've never imagined the pictures of that life


For now

I will try to live for you and for me

I will try to live, try to live wite love, withe dreams, and forever with tears


もしあなが全てを私に話してくれていたら

あなたは愛とは何かを見つけていただろう

もしあなたの心の中にあるものを私に教えてくれていたら

私はあなたに道を示すことができただろう


いつか

私はあなたより歳を重ねる

その先のことは考えたことがない

その人生の情景を想像したこともない


今は、あなたのために、私のために生きよう

私のために、愛とともに、夢とともに、そして涙とともに永遠に生きていこうと思う

※『Jealousy』のレビュー記事のSilent Jealousyの解説でも触れていますが、YOSHIKIのお父様は自死によって他界されており、YOSHIKIは亡きお父様の姿を目撃しています。


8曲目、WRIGGLE

HEATHとPATA作曲による完全にインダストリアルロックのインスト曲である。アレンジ、プログラミングもHEATHが担当で、1分25秒と短い楽曲。

演奏にはHEATHとPATAしか参加していない。次曲DRAINへの繋ぎ的立ち位置。


9曲目、DRAIN

作曲HIDE、作者TOSHI&HIDE、編曲もHIDEによる、こちらもWRIGGLEを受けて作ったかのようなインダストリアルロックの様相を呈した楽曲であり、アルバムオリジナル曲としては多分一番まともでありかっこいい。

打ち込みであるためYOSHIKIは参加しておらず、ギターもHIDEが全て弾いているため、PATAも参加していない。実質、TOSHI、HIDE、HEATH3人による楽曲。


10曲目、Forever Love(Acoustic Version)

有名なForever Loveの一つのバージョンであり、また、最初の構想がこのバージョンである。ボーカルとストリングスのみのアレンジのため、HIDE、PATA、HEATHは当然ながら参加していない。


『DAHLIA』の総評

良い曲目白押しの名盤である!と言いたいところだけれど、そのいい曲の殆どがシングル曲であってさながらX JAPANになってからのベストアルバム状態であるため、オリジナルアルバムとしてはどうなんだ?(アルバムオリジナル曲も弱いと言わざるを得ないし)ということと、何よりの話なんですけど、バンドって何だっけ?ってことを考えさせられずにはいられない。

これは、X JAPANである必要性が本当にあるのでしょうか。勿論個々のメンバーそれぞれの特徴無くしては完成し得ないってのは分かっているんですけれども、あの曲にはこの人が、この曲にはあの人が参加してない。アルバムオリジナル曲に関しては、一曲も全員参加している曲がない。シングル曲にしてもForever Loveのアルバムバージョンを含めるなら、7曲中2曲がTOSHIとYOSHIKIのみの演奏であり、実質5曲しか全員で演奏している曲はないのである。

X JAPANって結局なんなんですかね。と、冒頭にも述べました通り私はX JAPAN好きだけれども、そう考えさせられずにはいられない。

YOSHIKIさんの苦労も勿論分かるのですが、果たして、苦労したり悩んだりしていたのは、YOSHIKIだけなんですかね。

これに関してはYOSHIKI自身も自暴自棄的な発言をしているんですけれども。


『DAHLIA』中のおすすめ曲

1.DAHLIA、2.SCARS、3.Longing 〜跡切れたmelody〜、4.Rusty Nail、7.Tears


…これでええんかな?