『BELOVED』以前のGLAYのアルバムレビューはこちら。
名盤と誉高いGLAYなメジャー3rdアルバム『BELOVED』の感想/レビュー!
GLAY - BELOVED
1996年11月8日リリース。
前作『BEAT out!』から9ヶ月の短いスパンでのリリースな上に、『BEAT out!』に伴うツアーや、アイスランドやロンドンでの撮影という多忙を極める中で制作されたアルバムである。
トラックリスト
- GROOVY TOUR
- Lovers change fighters, cool
- BELOVED
- SHUTTER SPEEDSのテーマ
- Fairy Story
- カナリヤ
- HIT THE WORLD CHART!
- a Boy 〜ずっと忘れない〜
- 春を愛する人
- カーテンコール
- 都忘れ
- RHAPSODY
アルバム先行シングルが『BELOVED』と『a Boy 〜ずっと忘れない〜』の2曲のみで、多忙を縫っての制作にも関わらず、全12曲のハイボリューム!
1曲目、GROOVY TOUR。
GLAY大きくなったなぁというスケール感を感じさせる、スタジアムなどの大きな会場での演奏が似合いそうなスタジアムロック的な楽曲。D.I.E.のキーボード音も含めてとても煌びやかでメロディアス。
そのD.I.E.は、いつもGLAYを悩ませるらしい。
“時間通りに待ち合わせに着いたって D.I.E.はいつでも僕らを悩ませるのさ uh”
“人生の主役は いつだって目の前のYOU”
2曲目、Lovers changes fighters, cool。
スピード感に溢れるハードなロックナンバー。
男女間の諍いを歌った曲だけれど、リフもTERUのパッセージの速いボーカルも、HISASHIのギターソロも、その後のオクターブ奏法を駆使しながらのCパート的な展開も全てがカッコいい。個人的には『BELOVED』の中でも指折りの曲。男と女はいつも不条理です。はい。だけれど、初めに好きと言った方が負けなんて、幾千年の男女の法則なのって、基本的にはその通りだと思いますが、それを覆す事例もあるんです。泣こう。
3曲目、BELOVED。
先行リリースされた9thシングルでアルバムタイトルトラック。
グレイテル(違)、GLAYのTERUと言えば、このポーズ!って武井壮もGLAYの倒し方で言うてた!(らしい。)
GLAYの代表曲であり、凄くいいミドルチューンのメロディアスな優しい曲だし、私が初めてギターでコピーしたのもこの曲である。TAKUROによる詩は、多忙の中自分を見失わないよう、また、メンバーに対しての愛や感謝を歌っている。
詩に対する共感もあれば、個人的な思い入れも腐るほどあるんだけれど、ただそんなにビックリするほど好きな曲というわけでもなかったりする。
シングルverのカップリングとして収録されているTogetherが、個人的には強すぎるというのもあったりするのかもしれない。Togetherが『BEAT out!』からのリカットのA面で、BELOVEDがB面でもいいやん?くらいに思っている。ただ…
“やがて来る それぞれの交差点を 迷いの中 立ち止まるけど それでも人はまた歩き出す”
TAKUROはよく人生の岐路についての詩を書くけれど、こんなに分かりやすく普遍性があって共感できてしかもシンプルなはずの歌詞を、メロディも合わせて人の心に沁み込ませるように恥ずかしげもなく書けるのは、やはり天才の所業としか思えない。
4曲目、SHUTTER SPEEDSのテーマ。
JIRO作曲のちょっとパンキッシュでストレートなロックナンバー。出だしのAメロをJIROが歌っていて、ベースソロもフューチャーされるなど、JIROのテーマと言ってもいいような曲でしょう。中学生当時、ベースを弾いていた私の周りはみんなこの曲を練習していたし、JIRO人気も相まって、男女の別なく人気のある曲でもあったと思う。
ただ好きな人には申し訳ないんですけど、私は全く思い入れもなければ、いい曲だなって思ったこともない。JIROちゃんはもっといい曲書けるはず!ベースだってこの曲にはソロこそあるけれど、もっといいベースが弾けるはず!
5曲目、Fairy Story。我が初のギターヒーロー、HISASHI様お気に入りの楽曲。間奏ではHISASHIのエフェクティブでカオスなギターが展開される。なんか冷たさを感じる。冬の男女の物語を綴ってるからそりゃそうである。
6曲目、カナリヤ。
JIRO作曲。ということで、ほら!JIROちゃんもっといい曲書けるやんけ!ミディアムテンポの曲だけれど、凄くいい曲だと思う。歌詞はTAKUROだけれど、なんとなく反戦や平和を感じさせるのもまたいい。
“歌を忘れたカナリヤよ 今僕らは何処にいるのか?”
7曲目、HIT THE WORLD CHART!
JIROのベース、永井さんのベースを筆頭に凄くグルーヴを感じさせる楽曲。ほら!JIROちゃんいいベース弾けるやん!JIROちゃんのベースは完全に過小評価されがちだと思う。元四人囃子のベーシスト、佐久間正英直伝の逆アングルピッキングやぞ!(ラルクのtetsuyaやLUNA SEAのJといった存在のベースプレイが大きすぎるのはあるけど。)
ギターはワウペダルを駆使していたり、カッティングやバッキングもかなりカッコいい。Bメロのコーラスをなんと我がヒーローHISASHIさんが担当!
アルバムの中で、バンドでの演奏難易度は多分最も高い。ドラムについて私は浅薄なのだけれど、特にこの曲の永井さんのドラムは聴いた感じ職人の業だと思う。細かい金物の使い方とか。
8曲目、a Boy 〜ずっと忘れない〜
10thシングル曲。
ずっと忘れない 離れても 挫けない 生きていく今日から…ってこれSPEEDのmy graduationやな。(なんでSPEED出てきたんやと。)
シングル曲だし、やっぱミディアムテンポのいい曲だとは思います。ただ、やはり何故か個人的な思い入れはそんなにない。ハモリをJIROちゃんが担当していたりする。
9曲目、春を愛する人。後の『口唇』のカップリング曲。
TAKROがベストアルバムREVIEWに入れなかったことを後悔するくらいだし、多分GLAYの中でも隠れていない隠れた人気曲&名曲なんでしょう。カラオケで歌ってたり、リクエストしたりする人をよく見た。
しかしGLAYファンを自称する私がこの曲が良いなと思えるようになったのは、ごく近年の話。中学生当時は周りの人気に反してあまり好きにはなれなかった。
生きてくことは愛すること愛されることと歌っているけれど、愛されたいと願うことを諦めてしまっていたのかもしれない←(軌跡の果てかよ。)
つまり春を愛する人ってのは、春からも愛されることを享受するってことで、しかし春は過ぎ、季節は移り変わり、また春が訪れ、出会いと別れのようにそんなことを繰り返し、それが生きていくということで…(?)
10曲名、カーテンコール。
X JAPANのYOSHIKIも大絶賛のバラード。個人的にも大好きな楽曲。
“消えない愛の 道標教えてくれ”
カーテンコール言うくらいだし、幕を閉じて終わりを迎える失恋ソングだとか別れの曲なんだけれどね、Togetherにしろこういう曲が何故か大好き。何故か優しく何故か重く、なんの曇りもない。
11曲目、都忘れ。グロリアスとシングルを争った楽曲。
この曲も中学生当時はパッとしなかったんだけれど、今となっては凄くいい曲に思います。アルバム屈指の名曲と言ってもいいかもしれない。サビとラスサビの歌メロが凄く琴線に触れてくる。
“I can't feel love…Without you”
“愛を感じることができない…あなたなしでは”
12曲目、RHAPSODY。
アルバムラストにしてGLAYお得意の8ビートのアップテンポなビートロック。個人的には何故にこの曲をアルバムラストに持ってきたのかも、REVIEWに収録されたのかもよく分からない。
嫌いというわけじゃないんだけれど、都忘れで終わってた方が綺麗だったように思うんだな。
『BELOVED』の総評!
普遍的なロックナンバーも、ミディアムテンポな曲も、バラードもありとバラエティに富んでいて、更によりメロディアスに洗礼されたアルバムになっているといった印象で、更にGLAYが東京に出てから多忙な日々を送る中で馳せるノスタルジーというものも感じさせる。なんだか、楽しさと忙しさとどこか寂しさと懐かしさとみたいな。そういうのが合わさって、なんだか優しいアルバムになっているのではないでしょうか。尚、V系らしさみたいなものはどんどん薄れていってるように思う。