交叉咬合(クロスバイト)は、顎に偏位(ずれ)をもたらします。
上下の臼歯が交叉している患側に、下顎のずれを生じることが多いといえます。
交叉咬合を改善するには、
●補綴(被せ物)による改善
●歯列矯正で改善
の二通りの方法があります。
補綴での改善は、被せ物で無理に歯の形態を変えるために、歯にかかる負担は大きくなります。
したがって、歯列矯正で歯の位置そのものを正しい位置に動かすことが理想です。
特に、全く虫歯の無いバージンティースの場合、歯列矯正が望ましいでしょう。
治療前。交叉咬合(矢印)による顎のずれがある。
上下の被蓋(ひがい:重なり)が逆になっている。
3か月後。レべリングワイヤーにて全体のレべリングを行っている。
傾斜歯の整直(傾きを正すこと:アップライト)を行うために、オープンコイルでスペースの確保を行う。
7か月後。TAD(テンポラリ―・アンカレッジ・ディバイス:矯正用インプラント:矢印)にて、下顎の歯列全体の側方移動を行う。
引き続き傾斜歯の整直を行う。上下の臼歯の間には隙間があり、歯が噛み合っていないのがよく分かる。
11か月後。左右の臼歯部の噛み合わせを整えていく。
傾斜歯の整直がほぼ完了したところ。噛み合わせも良くなっているのが分かる。
交叉咬合は、下顎のずれ(顎偏位)を起こすだけでなく、上顎骨の変形も助長します。
このため、交叉咬合を放置すると、成人したときには、額から鼻筋、上顎骨にかけて湾曲がみられるようになり、顔貌の左右非対称が鮮明になります。
上顎骨の変形や偏位が起こると、もはや歯列矯正だけでは、顔貌の非対称は改善できなくなります。
したがって、交叉咬合(クロスバイト)は小児期の早い段階で発見し、早期に治療を行った方が、後々の成長発育にとって非常に有利です。
このような異常をいち早く見つけるためにも、お子様でも定期検診をお受けになることをお勧めいたします。