この一年前の日記には続きがあります。
“エピソード” とすると短い、でもわたしの “人生” と考えると死ぬまで終わらないほど長い続き。
翌日は渋谷でライブでした。事前物販に並んでたらミキちゃんがすごく優しい目で見てくれた。
ぺいちゃんは「どう、だった?」って探偵のような真顔で訊いてきて、がんばったよ、って答えたら「あたしのおかげ!!一生足向けて寝れないね!恩人!!」って目をきらきらさせて子どもみたいに喜んでくれた。
(次のライブでも、わたしの頬を人差し指でつつきながら「顔が晴れ晴れしたね。あたしのおかげ!」ってやっぱり超ドヤ顔しててかわいかった)
わたしは正直、カミングアウトが正しかったのかわからなかった。ぺいちゃんの嬉しそうな顔を見たらそんなこと言えなかったけど。
それから半年が経って、ぺいちゃんの生誕祭があって、その中でぺいちゃんもご両親にカミングアウトをしたことを教えてくれました。
何日かあとの特典会で、「カミングアウト、よくがんばったねぇ」ってぺいちゃんにだけ聞こえる声で言った。髪にふれた。オタクのくせになんか上から目線で偉そうでアレなんですけど、わたしには言わせてよ、って許されたい。
ぺいちゃんは泣く寸前の子どもみたいな八の字眉にして、「.......あなたも」って、わたしと同じくらいの声量で言った。
「あなたの手紙にすごく勇気もらったの。『──────』ってあたしも同じこと思ったの。生誕で言おうと思ってたの」
って、わたしの手紙の一節をそらんじてくれた。
ぺいちゃんはゲイでアイドルで超かわいくてみんなに愛されててファンキーなご両親に育てられてて超かわいくて、わたしはただのどこにでもいるオタクで、全然同じなんかじゃないのに。
この時はじめて、良くないことだけじゃなかった、って思えた。まわりを悲しませた(わかんない、娘の想像です)くせに超身勝手だけど、嬉しくなってしまってごめんなさい。
きょうびセクマイなんて珍しくもないし!わたし程度の人生波乱万丈なんてどこにでも転がってるでしょう!ぜんぜん、どこにでもある話です。そんなちっぽけなものに意味をくれて、本当に嬉しかったの。
「すてきな指輪」
って、最初にぺいちゃんが言ったのはわたしが友人たちに向けてSNSでカミングアウトした何日かあと、人差し指でわたしの薬指の指輪を撫でながら。2017年12月。
2回目がそのちょうど一年後、長文ツイートに「忘れてるとおもうけど」って添えて投稿してすぐ消した。ら、特典会でわたしの手を握りながらニヤニヤ言ってきた。把握が早くて恐縮です。
3回目は今年、『指輪つけたまま実家帰れるようになったよ』って報告した少しあと、まらちゃんこれ言われるの好きでしょ ってからかう決め台詞みたいに。よく覚えてんね!
「すてきな指輪」。
わたしのカミングアウトは大成功🎊💮ではなかったけれど、それでも外さずに家に帰れるようになったのは、“正し” くなくても、せめて無意味ではなかったと、わたしがわたしの好きな人たち、彼女ちゃんやアイドルに誇りを持ちたかったからです。
すてきな指輪でしょ!わたしもそう思う!
わたしが死んだらわたしの棺桶にはあなたの指輪を入れてね、って彼女にお願いしたら、まったく同じことを彼女にも言われた。いい話〜!いつかのライブで推しメンが某ミュージシャンとの4℃のエアマリッジリングを見せつけてきたのにショックを受けて推しメンに押し付けようとしたすてきな指輪!重!これは彼女には内緒にしてます!
なんで今またお得意のポエム書いてるかというと、も〜そうそう大きな心悩ますイベントはないだろうな〜と思ってたら、最近になって結構重めのあるある案件が来たしてまた眠れぬ日々を過ごしているからなんですけど(推しメンはクリアストーンで手紙回収してね!)
わたしたちはたとえば結婚をしたり、子どもを育てたりみたいなライフステージの変化ってほとんどないんだけど、毎日を重ねながらより良いほうへ進めたらいいなあと思います。
次に会えたら、なんて言うかな?
泣きそうでも、得意げでも、わたしの大好きなあの声で4回目の合言葉をくれたらいいな。