村上世彰並びに村上ファンドの功罪についてはこの週末はテレビ各局で取り上げているが、「日経ビジネス」6.12号も緊急特集を組んでいる。
この中でも述べているように、村上ファンドの功績は「投資家が忘れた、あるいは実態が見えにくい上場企業」を標的にし、彼らに経営改革を迫ったことである。
その標的先は、株価が資産に対して割安で解散価値を下回った状態―数値的にはPBR(株価純資産倍率=株価÷純資産)1倍以下―の企業や前向きな投資もせず豊富な現預金を寝かせている企業である。
2003年4月は株価が最安値をつけた時ではあるが、PBRが1倍以下の東証一部上場企業の58%の878社にも上っていた「株主価値の向上がなされていない」時であり、村上ファンドがニッポン放送株を大量に取得した頃でもある。
この村上ファンドの活動が、今まで経営努力を怠ってきたり、能力に欠ける経営者に驚きを与え増配、自社株取得やIR(投資家向け広報)活動を強化に走らせた。
その結果、株価が上昇しPBRが1倍以下の企業の急速な減少をもたらしたという。
その前後、米スティール・パートナーズ、カーライル等の外資ファンドだけでなく、MKSパートナーズ、大和証券SMBCプリンスパル・インベストメント等の国内ファンドもカネボウや三洋電機に投資し「ファンド」が日本にも定着してきた。
つまり村上は投資ファンドで日本企業の「経営改革」を迫った功労者であり、この5月の会社法の施行によりますますM&Aの環境が整ったことを考えると先駆者でもある。
「現在の日本はLBO(相手先の資産を担保にして資金調達し買収する)がブームになった1980年代の米国に似ている」状態にあるといわれ、大企業の国際競争に或いは企業再建にファンドの活用がますます増加してくることは間違いない。
現に今年に入りコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)などの有力ファンドが日本に続々上陸しているという。
儲けの手法を間違って地に堕ちた村上ではあるが、「Fund」は間違いなく日本企業の国際競争力をつける大きな手段であることを認識させたことに間違いなそうである。
- W・チャン・キム, レネ・モボルニュ, 有賀 裕子
- ブルー・オーシャン戦略 競争のない世界を創造する















