#710 父、兼家を恨んだ道兼 from『大鏡』 ~『光る君へ』を楽しむため | 歴史に遊び!歴史に悩む!えびけんの積読・乱読、そして精読

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父兼家が兄の道隆に関白を譲って亡くなったときの道兼についての『大鏡 全現代語訳 (講談社学術文庫)』での記述です。

父兼家の摂政・関白への道を開いたのは自分のなのに・・・との思いから

  父兼家の政権首班の道を開いた最大の功績は自分なのに

大河ドラマ『光る君へ』で、関白藤原頼忠から、外戚の立場で政権首班と藤氏長者を奪おうと考えていた父兼家のその夢のため、花山天皇を出家退位に導いた道兼さん

 

しかし、大河『光る君へ』で、兼家は初めから、家の本流を道隆に、汚れ役を道兼に、何かあったときの保険として道長にというように考えて振舞うように描かれています。

 

最大の功績からすれば、自分こそと思っていましたが、病に倒れた兼家が関白としたのは兄の道隆で、『光る君へ』でも大激怒する道兼さんが描かれています。

(NHK大河ドラマ『光る君へ』で自分が関白指名されなかったことに激怒する道兼(C)NHK)

 

大鏡』でもこの件についての記述が以下の感じでなされています。

 

道兼さんは、父兼家のご服喪中に、土殿などにもお籠りにもならず、念仏・読経もせず、それどころか、親しい人を呼び集め、『後撰集』や『古今集』を広げて、即興の冗談を飛ばして、遊び戯れ、すこしも悲嘆になりませんでした。

光る君へ』でも、憂さを晴らすかのようにお酒を飲んで楽しんでいる(荒れている)様子が描かれています。

(NHK大河ドラマ『光る君へ』で、父の死後、酒を飲んで荒れる道兼(C)NHK)

 

その理由も『大鏡』には以下の通り書かれています。

「花山院を、この自分がおだましして、ご退位させ申し上げたのである。だから父が逝去に際して、関白の職を自分に、お譲りになるのが当然なのに、兄の道隆公に譲られたのは心外だ」というお恨みから

と、そしてそのお恨みの行為に対しての『大鏡』の評価が手厳しいです。

「まったく世間に通用しない非常識なこと」

と、そのほかにも、いろいろとよくないお噂が世間に伝わったこととも書かれています。

 

一方の道綱と道長の二人について、『大鏡』では、父兼家の逝去に、きちんと法式どうおりに、追善供養を営み申し上げなされたと書いています。道長の評価を高めるための敢えての記述と言えるのかもしれません。

 

関白を譲られず切れる道兼の回はこちら

 

 

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