『愛国百人一首』の選定された49首目は新納忠元です。
(著者所持の『愛国百人一首』の新納忠元の絵札)
あ ぢ き な や
も ろ こ し ま で も
お く れ じ と
思 ひ し こ と は
昔 な り け り
この歌は、1592(文禄元)年の後陽成天皇の時代に詠まれた歌です。
歌の意(こころ)
にがにがしいことだ。朝鮮や明国への出兵でも、軍といえば他人には後れまいと思っていたのに、それは昔のことであって、今は年をとりすぎて出陣を許していただけない。
新納忠元は、戦国時代の薩摩国の島津家の武将で、戦陣に出ていまだかって、ひけをとらなかった武人です。秀吉の九州平定において、大口城の城主として秀吉勢の薩摩侵入を食い止め、領主が秀吉と和睦しようとしたが、城を死守して応じず、領主の再三の説諭でやむなく応じ、後に秀吉から呼び出されてその節義をほめたたえられて、薙刀を頂いたという逸話のある方です。
この歌は、秀吉の朝鮮出兵に際して、新納忠元も主君の島津氏に従って出陣しようとしましたが、70歳を過ぎの高齢であったために、許されなかったことを嘆いて詠まれたものです。
(著者所持の『愛国百人一首』の新納忠元の読札・取札)
歌の解説は、『國魂 愛国百人一首の解説』著:西内雅と、愛国百人一首の12人の選定委員の一人である窪田空穂による『愛国百人一首』によって行っています。
『愛国百人一首』とは
『伊勢物語』を読む上で、和歌の理解のために読んだ本について