大河ドラマ『光る君へ』の時代に花開いた貴族たちの日記『蜻蛉日記と王朝日記〈更級日記・和泉式部日記・土佐日記〉 男と女、それぞれの“日記文学” (ビジュアル版日本の古典に親しむ) [ 竹西寛子 ]』を読みました。
蜻蛉日記、更級日記、和泉式部日記、土佐日記など平安王朝時代の日記の著者や作品のエッセンが豊富なビジュアルとともに分かる1冊
レビュー
大河ドラマ『光る君へ』で、すでに登場している藤原寧子こと藤原道綱母の『蜻蛉日記』、今後まひろこと紫式部とともに彰子サロンで仕える形で登場するであろう和泉式部の『和泉式部日記』、多分登場しないと思いますが、まひろ(紫式部)の『源氏物語』を全巻一気に読みたくてたまらない菅原孝標女の『更級日記』、「男もすなる・・・」で有名な紀貫之の『土佐日記』のそれぞれの著者と作品の背景や作品のエッセンスを抄出した形で構成されています。
ビジュアル版と銘打っているだけに、『光る君へ』でも描かれていた石山詣での石山寺や、散楽の直秀らが処刑された鳥辺山、菅原孝標女や紀貫之は任地から京に戻るので、その道中の名所などが写真で示されながら、日記を味わう形になっているので、目で見ても楽しい作品となっています。
抄出した部分と、それに対する解説もしっかりついているので、理解が深まります。特に『蜻蛉日記』は、藤原道綱母の心の動きはなんとも複雑で、素直になればいいのになんて思うくらいにややこしいことが分かります。藤原兼家の妾ゆえに訪ねてくれない夜離れ(よがれ)に苦しみながら、やってきたらつれなくしたりと、それゆえなのかとにかく間に生まれた道綱に愛情を注ぎまくり、その行く末にかけまくる姿がよくわかります。
これら王朝日記も、広く一般に読まれるようになったのが江戸時代で、江戸時代に一般に刊行されて広がるそうです。そういった意味では、2025年の大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』で、庶民の文化華開く中で、この王朝日記の出版や庶民らの反応がどのように描かれるのかが楽しみです。
〈書籍データ〉
『ビジュアル版日本の古典に親しむ10
蜻蛉日記と王朝日記』
著 者:
発 行:株式会社世界文化社
価 格:2,400円+税
2006年8月1日 初版第1刷発行
図書館で借りた本のデータ