『愛国百人一首』の選定された39首目は藤原為氏です。これより鎌倉時代の歌となります。
(著者所持の『愛国百人一首』の藤原為氏の絵札)
勅 と し て
祈 る し る し の
神 風 に
寄 せ く る 波 は
か つ 砕 け つ ゝ
この歌は、1281(弘安4)年、後宇多天皇のときに詠まれた歌です。
歌の意
勅として伊勢の神宮に、敵国降伏の御祈りを申された結果、その勅願のあらわれとして、神風が吹き、寄せくる波で敵船がくだけてこなごなになりました。
藤原為氏は、藤原定家の孫にあたる人物です。蒙古襲来の弘安の役の1281(弘安4)年に大納言として、亀山上皇の勅命で伊勢の神宮へ、蒙古撃退、敵国降伏の祈願に参向しました。
この歌は、藤原為氏らが京を発って伊勢神宮に向かっているときに、神風が吹いて敵艦が全滅したので、形の上では祈願ではなく奉謝となりましたが、亀山上皇がずっと御身を犠牲にして、国難に代わらんと祈願あそばされていたので、その勅使の藤原為氏が亀山上皇の一巻を込めて詠んだ歌とのことです。
(著者所持の『愛国百人一首』の藤原為氏の読札・取札)
歌の解説は、『國魂 愛国百人一首の解説』著:西内雅と、愛国百人一首の12人の選定委員の一人である窪田空穂による『愛国百人一首』によって行っています。
『愛国百人一首』とは
『伊勢物語』を読む上で、和歌の理解のために読んだ本について