『愛国百人一首』の選定された35首目は源実朝です。これより鎌倉時代の歌となります。
(著者所持の『愛国百人一首』の源実朝の絵札)
山 は さ け
海 は あ せ な む
世 な り と も
君 に ふ た 心
わ が あ ら め や も
この歌は、1213(建暦3)年推定に詠まれた歌です。
歌の意(こころ)
山がわれくだげたり、海の底が盛り上がったりするような自然の異変がある世の中であっても、私には上皇に対して奉った誠忠の心以外にはございません。
源実朝は、鎌倉幕府を開いた源頼朝の子で、12歳で第三代将軍です。のちに鶴岡八幡宮への拝賀の時に、兄の頼家の子で僧の公暁に殺されたことで有名です。実朝は藤原定家に歌道の手ほどきをうけたそうですが。定家の繊弱にして技巧を弄ぶ歌と違って、豪快でしかも万葉調の歌つくったとのことです。
この歌は、実朝が後鳥羽上皇に対して、忠誠を御誓い申し上げて詠んだ歌とのことで、主君への忠の表しとして「二心なし」というのが定まりになっていたそうです。この歌を詠んだ当時は22歳のころではないかとのことです。
(著者所持の『愛国百人一首』の源実朝の読札・取札)
歌の解説は、『國魂 愛国百人一首の解説』著:西内雅と、愛国百人一首の12人の選定委員の一人である窪田空穂による『愛国百人一首』によって行っています。
『愛国百人一首』とは
『伊勢物語』を読む上で、和歌の理解のために読んだ本について