『愛国百人一首』の選定された22首目は大田部荒耳(おほたべのあらみみ)です。こちらも奈良時代の歌です。
(著者所持の『愛国百人一首』の大田部荒耳の絵札)
天 地(あめつち) の
神 を 祈 り て
幸 矢(さつきや) 貫 き
筑 紫 の 島 を
さ し て い く 吾 は
この歌は、755(天平勝7)年に詠まれた歌です。
歌の意(こころ)
天上にいます神、地上にいます神に武運長久を祈って、矢をやなぐいに入れて武装して防人として任地の筑紫国を目指していく吾れであるぞ
大田部荒耳も、坂田部麻呂、丈部人麻呂、大舎人部千文、今奉部与曾布と同じく防人となったもので常陸国(茨城県)か下野国(栃木県)の人の陽です。
この歌は、大田部荒耳が国を出て旅をしながら防人としての覚悟を詠ったものです。
防人は、664年の天智天皇のときに始まり、平安時代初め頃まで200年ほど続いたものです。
(著者所持の『愛国百人一首』の大田部荒耳の読札・取札)
歌の解説は、『國魂 愛国百人一首の解説』著:西内雅と、愛国百人一首の12人の選定委員の一人である窪田空穂による『愛国百人一首』によって行っています。
『愛国百人一首』とは
『伊勢物語』を読む上で、和歌の理解のために読んだ本について