『愛国百人一首』の選定された21首目は今奉部與曾布(いままつりべのよそふ)です。こちらも奈良時代の歌です。
(著者所持の『愛国百人一首』の大舎人部千文の絵札)
今 日 よ り は
か へ り み な く て
大 君 の
し こ の 御 盾 と
出 で 立 つ 吾 は
この歌は、755(天平勝宝7)年に詠まれた歌です。
歌の意(こころ)
防人になれとの命令を受けたからには、今日からわが身もわが身辺のこともかえりみず、天皇を守護し奉る頑強な盾となって、我が家を出発するぞ
今奉部與曾布も、坂田部麻呂、丈部人麻呂と大舎人部千文と同じく防人となったもので下野国(栃木県)の人です。
この歌は、今奉部與曾布が防人の明を受けて下野国を出かけるときに、その後裔を喜んだ歌で、「しこの御盾」とは、自分は卑しくいうに足りないものだが、天皇の命で天皇のために御兵士になるとのことでその想いをうたったものです。
防人は、664年の天智天皇のときに始まり、平安時代初め頃まで200年ほど続いたものです。
(著者所持の『愛国百人一首』の大舎人部千文の読札・取札)
歌の解説は、『國魂 愛国百人一首の解説』著:西内雅と、愛国百人一首の12人の選定委員の一人である窪田空穂による『愛国百人一首』によって行っています。
『愛国百人一首』とは
『伊勢物語』を読む上で、和歌の理解のために読んだ本について