『愛国百人一首』の選定された15首目は葛井諸會(ふぢいのもろあひ)です。こちらも奈良時代の歌です。
(著者所持の『愛国百人一首』の葛井諸會の絵札)
新 し き
年 の は じ め に
豊 の 年
し る す と な ら し
雪 の ふ れ る は
この歌は、746(天平18)年に詠まれた歌です。
歌の意(こころ)
新しい年の始めのめでたい時に、雪が降るのは、その年が豊作となる前兆であって、まことにめでたい極みです。
葛井諸會の先祖は、朝鮮半島の百済国の王族でした。葛井諸會は、聖武天皇の御代の人で、奈良時代初めの和銅年間に、進士の試験に及第して、太史となった身分の高い人。
この歌は、746(天平18)年正月に大雪が降りました。その正月に、紀清人や橘諸兄と同じ時に、元正太上天皇(上皇)の御所で雪を詠めとの詔によって詠んだものです。
(著者所持の『愛国百人一首』の葛井諸會の読札・取札)
歌の解説は、『國魂 愛国百人一首の解説』著:西内雅と、愛国百人一首の12人の選定委員の一人である窪田空穂による『愛国百人一首』によって行っています。
『愛国百人一首』とは
『伊勢物語』を読む上で、和歌の理解のために読んだ本について