Efficacy and safety of gefapixant, a P2X 3 receptor antagonist, in refractory chronic cough and unexplained chronic cough (COUGH-1 and COUGH-2): results from two double-blind, randomised, parallel-group, placebo-controlled, phase 3 trials

Lancet. 2022 Mar 5;399(10328):909-923.

 

PMID: 35248186

 

P:1年以上の慢性咳嗽が続き、100mmVASで40mm以上の重症度の患者

I:ゲーファピキサント45mgを1日2回

C:プラセボ1日2回

O:12週目(COUGH-1)または24週目(COUGH-2)の24時間の咳の頻度

 

結果:12週目(COUGH-1)の咳の1時間毎の幾何平均減少量はI群で11.1回、C群で12.5回であり推定相対減少量は18.45%(95%CI:0.86~32.92)であった

24週目(COUGH-2)の咳の1時間毎の幾何平均減少量はI群で11.8回、C群で11.2回であり推定相対減少量は14.64%(1.43~26.07)であった

I群の59.3%に味覚関連の有害事象が発生した

 

文献では相対減少量で評価しているが、絶対減少量で評価すると1時間あたりの咳の頻度が1回減るか減らないかといったところか

致命的な副作用ではないとはいえ、かなりの頻度で味覚障害が発生する

ベネフィットとリスクを比べたときに果たしてベネフィットの方が大きいのか疑問が残る薬剤に思える

SARS-CoV-2 vaccination and myocarditis or myopericarditis: population based cohort study

BMJ. 2021 Dec 16;375:e068665.

PMID: 34916207

 

人口ベースのコホート研究

P:12歳以上のデンマーク人(4931775人)

I:SARS-CoV-2ワクチンの接種

C:接種しない場合

O:心筋炎または心膜炎の発症

 

結果:心筋炎または心膜炎の発症はファイザー・ワクチン群で48人/509590人、モデルナ・ワクチン群で21人/74441人、非接種群で155人/3213951人であり、補正ハザード比はファイザー・ワクチン群で1.34(95%CI:0.90~2.00)、モデルナ・ワクチン群で3.92(2.30~6.68)であった

 

一時はハイブリッドで異なるワクチンを打った方が良いという話も出ていたが、実際には多くの人がファイザー・ワクチンを希望していたような印象がある

モデルナ・ワクチンの方が副作用が多いという話を裏付ける結果の試験

実際に心筋炎または心膜炎を起こす確率は低いが、特に若い男性の場合はモデルナ・ワクチンを避けた方が良いのかもしれない

Apixaban or Warfarin and Aspirin or Placebo After Acute Coronary Syndrome or Percutaneous Coronary Intervention in Patients With Atrial Fibrillation and Prior Stroke: A Post Hoc Analysis From the AUGUSTUS Trial

JAMA Cardiol. 2022 May 25. doi: 10.1001/jamacardio.2022.1166.

PMID: 35612866

 

P:心房細動の既往があり、最近のACSまたはPCIを受けた患者

I:アピキサバンとアスピリン(2×2試験)

C:VKAとプラセボ

O:大出血または臨床関連非大出血(二次:死亡と入院複合、虚血性イベントと死亡の複合)

 

結果:アピキサバン群対VKA群の出血イベントのハザード比は脳卒中既往群で0.69(95%CI:0.46~1.03)、非既往群で0.68(0.57~0.82)と脳卒中既往の有無で差がなかった

死亡と虚血性イベントの複合のハザード比は既往群で1.19(0.71~1.99)、非既往群で0.88(0.68~1.14)と既往群ではアピキサバン群での増加傾向が見られた

アスピリン群対プラセボ群の出血イベントのハザード比は既往群で1.18(0.79~1.76)、非既往群で2.10(1.73~2.54)と既往群ではアスピリン群での低い傾向が見られた

死亡と虚血性イベントの複合のハザード比は既往群で0.71(0.42~1.20)、非既往群で0.93(0.72~1.21)とこちらも既往群ではアスピリン群の方が低い傾向が見られた

 

心房細動の既往があり、ACSまたはPCIを受けた患者への至適な抗凝固剤を検討したAUGUSTUS trialの後解析

更に脳卒中/TAE/TEの既往がある場合の至適治療を検討した試験

既往患者ではアスピリンの有効性と安全性の可能性が示されている

更なる研究結果が待たれるところである

Efficacy of Single-Dose Human Papillomavirus Vaccination among Young African Women

NEJM Evid 2022; 1 (5)

DOI:https://doi.org/10.1056/EVIDoa2100056

 

P:15~20歳の女性

I1:2価(HPV 16/18)ワクチン(n=489)

I2:非価(HPV 16/18/31/33/45/52/58/6/11)ワクチン(n=496)

C:髄膜炎菌ワクチン(n=473)

O:18ヵ月後のHPV感染

 

結果:2価(HPV 16/18)感染の発生率はI1群で0.17件/100人年、I2群で0.17件/100人年に対し、C群で6.83件/100人年であった(C群と比較したワクチン有効率はI1群で97.5%[95%CI:81.7~99.7]、I2群で97.5%[81.6~99.7])

非価(HPV 16/18/31/33/45/52/58/6/11)感染の発生率はI2群で1.03件/100人年、C群で9.42件/100人年であった(ワクチン有効率は88.9%[68.5~96.1])

 

長期的な有効性の持続率は不明なものの、HPVワクチンが単独でも十分に効果を発揮できる可能性を示している

単回投与が可能になれば、医療費・患者負担の両方の軽減につながり、接種率向上にも繋がるかもしれない

Long-term secondary prevention of cardiovascular disease with a Mediterranean diet and a low-fat diet (CORDIOPREV): a randomised controlled trial

Lancet. 2022 May 14;399(10338):1876-1885.

PMID: 35525255

 

P:冠動脈性心疾患の既往のある患者

I:地中海食療法(502人)

C:低脂肪食療法(500人)

O:複合心血管イベント(心筋梗塞、血行再建術、虚血性脳卒中、末梢動脈疾患、心血管死)

 

結果:複合心血管イベントの発症はI群で28.1件/1000人年、C群で37.7件/1000人年でI群の方が有意に少なかった(ハザード比の範囲0.719~0.753)

 

食事療法は美味しくなければ維持するのは難しい

地中海食の方が低脂肪食よりも疾病予防効果が高いというのは大きな意味があると思われる

Effects of Sacubitril/Valsartan Versus Olmesartan on Central Hemodynamics in the Elderly With Systolic Hypertension: The PARAMETER Study

Hypertension. 2017 Mar;69(3):411-420.

PMID: 28093466

 

P:高齢(60歳以上)の高血圧症患者

I:サクビトリル/バルサルタンを200m/日、4週間後倍に増量(n=229)

C:オルメサルタン20mg/日、4週間後倍に増量(n=225)

O:12週間後の中心大動脈収縮圧(CASP)

 

結果:12週間後のCASPはI群で-12.6mmHg、C群で-8.9mmHgとI群で-3.7mmHg(95%CI:-6.4~-0.9)有意に低下した

52週間後のCASPはI群で-16.2mmHg、C群で-14.7mmHgとI群で-1.5mmHg(95%CI:-4.1~1.2)低下する傾向にあった

 

52週間後で降圧効果に有意差がなくなったが、追加の降圧剤をC群で多く使用したためであること(32%対47%)を考えると、サクビトリル/バルサルタンの方がオルメサルタンよりも降圧効果は僅かではあるが高いようである

難治性で他剤を使用しても効果不十分な場合には選択肢の一つになるかもしれない

言い換えると、他剤が使用できる状況であえて高価+新薬であるサクビトリル/バルサルタンを使用する理由はないと思われる

Efficacy of sacubitril/valsartan versus olmesartan in Japanese patients with essential hypertension: a randomized, double-blind, multicenter study

Hypertens Res. 2022 May;45(5):824-833.

PMID: 35058583

 

P:軽度から中等度(平均座位収縮期血圧150~180mmHg)の高血圧症の日本人

I:サクビトリル/バルサルタン200m/日(Ia)(n=387)または400mg/日(Ib)(n=385)

C:オルメサルタン20mg/日(n=389)

O:8週間後の平均座位収縮期血圧の変化量

 

結果:8週間後の平均座位収縮期血圧の変化量はIa群で-18.21mmHg、Ib群で-20.18mmHg、C群で-13.20であり、C群と比べてIa群は-5.01mmHg(95%CI:-6.95~-3.06)、Ib群は-6.97(95%CI:-8.92~-5.03)とどちらも有意に低下した

 

オルメサルタン20mg/日と比較しているところにこの試験設定の嫌らしさを感じる(最大投与量40mg/日のため)が、サクビトリル/バルサルタンはオルメサルタン20mg/日よりも降圧効果が高いことは間違いなさそう

ただ、200m/日の場合も400mg/日の場合もあまり差が開いていないことを考えると、サクビトリル/バルサルタンは400mg/日への上乗せ効果はあまり高くないのかもしれない

Multicentre, double-blind, randomized study of mitiglinide compared with nateglinide in type 2 diabetes mellitus patients in China

J Int Med Res. May-Jun 2009;37(3):812-21.

PMID: 19589264

 

P:中国の2型糖尿病患者

I:ミチグリニド10mg/食事を12週間後(135人)、症状に応じて20mg/食事まで増量(106人)

C:ナテグリニド120mg/食事を投与(134人)

O:12週間後と20週間後のHbA1cの変化量

 

結果:12週間後のHbA1c変化量はI群で-0.53%、C群で-0.58%と両群で差がなかった(両群の差:0.05%、95%CI:-0.19~0.30)

20週間後のHbA1c変化量はI群で-0.77%、C群で-0.71%とこちらも両群で差がなかった(両群の差:0.06%、95%CI:-0.31~0.19)

 

12週間後から20週間後にかけて更にHbA1cは低下しているが、ミチグリニドを増量してもナテグリニドと差がなかったことを考えると、ミチグリニドを10mgから20mgに増量しても大きな効果は期待できないのかもしれない

ナテグリニド120mgとミチグリニド10mgがほぼ同等と考えてよいのかもしれない

Efficacy and safety of mitiglinide versus nateglinide in newly diagnose patients with type 2 diabetes mellitus: a randomized double blind trial

Diabetes Obes Metab. 2012 Feb;14(2):187-9.

PMID: 21895920

 

P:2型糖尿病患者

I:ミチグリニド(5~20mg/食事)(111人)

C:ナテグリニド(60~120mg/食事)(114人)

O:16週間後のHbA1c変化量

 

結果:HbA1cの変化量はI群で-1.11%、C群で-0.76%とI群で低下している傾向が見られたが統計学的有意差はなかった(p=0.06)

 

本文を読めていないので、実際の投与量がそれぞれどれくらいになったのかわかっていないが、抄録の結果から推察するにはナテグリニド90mgはミチグリニド10mg位に相当しそうか