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御堂筋てくてく日記

会社帰りにいつも淀屋橋から難波まで歩いてます。銀行員時代にこの「御堂筋てくてく日記」の名前でブログを書いてたので、また復活させてみました。

 昔、大学の頃、ヤクザの娘の家庭教師をしていた時があった。
 
 初日、挨拶に伺った時のことが忘れられない。応接に出てきたお父さんは浴衣姿に、手にはエキスパンダーが棒状になった「アームバー」を持って入ってきた。
 僕の前に座るやいなやいきなりそのアームバーをキコキコと広げたり縮めたりする。その浴衣の袖からは派手な刺青がびっしりと彫られており、座った足元にもしっかり刺青が彫られている。
 よく見ると足元のカーペットと思っていたのはクマの毛皮であり、端っこにクマの頭がついていた。右奥には日本刀が飾ってあり、壁には鹿とクマの剥製がこっちを向いている。

 アームバーをキコキコとやりながら、「鈴木先生、月謝やけどいくらくらいいるのかな?」と聞くので、当時の相場の「週1回で月2万5千円くらいです。」と答えると、とたんに顔つきが変わり、
「5千円? 5千円なんていう半端な金額はうちにはあらへんのんや」「うちには1万円札しかないんじゃ」とえらい剣幕で怒り出し、
「5万円にせえ」「あと、とりあえず手付や10万くらいやるわ、とっとけ」と10万円を僕に投げつける。乱れた浴衣からは全身に彫られた昇り龍が見えた。ああ…、もう、えらいとこに来たわと思ったが、後悔先に立たず、ココで断るわけにもいかずなすがままに先生を引き受けざるをえなかったのであります。「成績上がらんかったらどうなるかわかってるやろうな…」と言われそうだったが、それは言われなかったので、10万円をきっちり回収し、その日は帰宅した。

 ヤクザの娘と言われると、意外に美人で頭がイイと妄想していたが、実際はそんなことはなく、どちらかというとブサイク系でしかも成績は下から数えたほうが良いという状況だった。引き受けたのは中学2年生の夏だったのだが、とにかく掛け算ですら怪しい。英語などとんでもなく、高校などどうやっても行けそうになかった。仕方ないので小学校の復習ドリルあたりから始めてみたが、いかんせん事務所が部屋に隣接しており、隣から「オイコラ、どないすんのや、責任取れんのかボケ」とか「いてもうたれ!」というドスの効いた声がしょっちゅう聞こえてくるので勉強にならない。

 その後も環境が良くない中、ただ基本からやっていく勉強の成果が少し出てきていたのだが、ある日のこと、隣から
 「ギャアーーーーー」という声の後、
 「指詰めるんか、その覚悟あんのか、オラ~」みたいなどでかい声が聞こえてきた。
 社長の愛人が、勉強している部屋を突き抜けて隣の事務所に駆け込み。
「ちょっと、アンタ何してんの!!」という声。

 もう、全然状況が飲み込めないが、とてもじゃないが勉強とかしている雰囲気ではないのでその日は打ち切り、事務所に目を向けずに逃げるようにして家に帰りました。

思えば、本妻はどうもその家にいないようだった。愛人と社長とその娘。隣は組事務所のような建築会社。そんな環境で勉強などできるわけないなと思った。

 そうこうしているうちに暮れも押し迫り、「先生、うちの会社の新春パーティに参加してくれへんか?」というお誘いがあった。会社と家庭教師なんか関係あるはずもなく、どう考えても組に参加のお誘いのようであった。断り方が見つからなかったのだが、3月に控えていた吹奏楽部の東南アジア演奏旅行の部長としての準備で忙しくなるのが見えていたので、その家での唯一のまともな人である社長の母親に「来年から旅行準備などで忙しくなるので、お孫さんに迷惑がかかるので今月で辞めさせていただきたい」ということを伝え、社長に話をつけてもらうようにお願いしておいた。そのおばあちゃんは事情がわかっていたようで、二つ返事で了解してくれた。お陰でなんとかそれ以降、縁が切れた。

 あのまま、新春パーティに参加していたら今頃どうなっただろうか…、と思う時がある。娘の成績も上げられず、責任をとらされていたんじゃないかと思うと背筋に寒いものが走る。

 その後、あの派手な建設会社がどうなったのか知らなかったが、先日田舎に帰った時に確認したところ、既に廃業していたようだった。

まあそうだろうな…と一人思う夏の昼下がりであります。
 銀行で不動産売却の担当をしていたころ、ヤクザのような人がよく売買に来ていた。

 僕の方は銀行の物件を売る係なので、とにかく片っ端から支店のビルとか保養所とか社宅を売りまくっていた。が、ヤクザとか外国人とか宗教関係には売らない方針なので、基本的にはお帰りいただくのだが、その日もヤクザのような人が物件の購入交渉に来ていた。いろいろ物件説明をしながら、価格交渉の段になり、
 「もう少し安くなりまへんか?」とヤクザAが言う。
 「いや、びた一文まけられまへんな」と言う僕。
 「おい、なんや銀行員のくせにその言い方は。」とヤクザB
 「銀行員のくせにとはなんやねん。余計売る気なくしたわ。もう帰ってもらえますか?こっちが真剣に説明してるのにバカにしてんのか、なあ、おい、コラ、はよ帰らんかい」と大声で言う僕。ヤクザ相手ばかりなので、その頃はほとんどヤクザ言葉になっていた。
 応接室の扉を開けて「はよ帰らんかい」と帰らそうとしたのだが、
 「お前では話にならん、上司を呼べ」とヤクザA
 扉をバシーンと思いっきり締めて、次長のところに向かったが、本人が席にいない。大声の応酬で逃げたのだろう。さっきまでいたのに。…と見回したところ、はるか遠くの別の次長のところにいるのを発見。走って呼びにいったら逃げるように廊下に向かう。しかし足の早い僕は廊下の端っこに追い詰め、
 「次長、すみません、なんかあの人達が上司を呼べと言ってるのですが?」と言うと、なんと、
 「僕は上司だけど、この担当はキミが責任者でキミ以上の責任者はいないことにしてくれよ」と言うではないか、
 「いえ、ちょっと顔を出してもらうだけでいいんですけど…」と言ったが、
 「うるさいな。いないんだよ、僕は」と真っ赤な顔をして怒るのだ。

 しかたないので、部屋に戻って「上司はいないことにしてくれ、と言ってます」とヤクザ2名に報告したところ。キョトンとして「あっはっはっは」と笑うではないか。「なんか面白いこと言いましたか?」と聞いたものの、それっきりでそれで相手は帰ってくれた。

 今、文章にしてもなんだかピンとこないが、その時はなんか面白い雰囲気だったのだろう。

 銀行を辞めようと思ってた時期なので、すごく自由に仕事ができた。本音でやればどんな人の心でも動かせるのではないかと思う今日このごろであります。

その後、その上司は奈良の某支店長になったのであります。銀行っていい加減なところだなとつくづく思います。
 昔、一戸建てを探していた頃、新聞のチラシで見つけた不動産屋さんの間取りが気に入って、電話をして訪ねることにした。
 訪れた事務所は扉がマジックミラーの引き戸になっており、不動産屋の名前は書いているものの中が全然見えない。不動産屋によくある物件のチラシを貼っているガラスもない。殺風景な作りのマジックミラーの引き戸にどでかく金色のやや行書っぽい字で「○○不動産」と書いてあるのみの事務所だった。扉を開けるのをやめてこのまま帰ろうかと思ったが、電話して予約していたこともあり、勢い良くガラガラっと開けてみた。

 「……。」
 シーーンとした、事務所の中、いかつい顔をしたオジさん2名がスミで立ち話をしていたようで、立ったままこちらを見ている。トラの毛皮がかかった応接セットの向こうには日本刀のようなものも2本見える。どう見てもヤクザの事務所である。
 「何の用や」と言葉には出さないもののそういう感じで、一瞬凍りついた雰囲気の中、「あの~、電話した鈴木です」とだけ話すと、「ああ、家を見に行く方ですね」と全身ヤクザ丸出しの黒スーツ、銀縁の大柄の方がこっちにやってきた。
 「すいません、帰ります」と言いたかったが、「こちらの車で参りましょう」と腕を捕まえられて、そのまま真っ黒のセンチュリーみたいなどでかい車に押し込められて、連れて行かれた。

 私鉄沿線の立地の悪くない場所にその家はあった。見た瞬間「斜交い」のない構造で、安普請であることはすぐに分かった。間取りがよく、立地も良いのに値段が安い理由がわかった気がしたが、後の祭りである。
 こんなリーズナブルな物件は他にないような説明をし、いろいろしゃべるのだが、とにかく話をどうかわし、円満に家に帰る方法はないかそればかり考えていた。下手に断ってこのままこの黒のどでかいセンチュリーで拉致されても困るし、延々と上の空で話を聞いていた。
 なんとか事務所まで戻ってきたが、「どうだったか」みたいなことを聞かれ「安普請の違法建築と思います」とは口が裂けても言えず、「うん、やっぱりもう少し広いほうが…」と言いかけたら、「そしたら、こちらにもう少し大きい物件があるんです」とセールスを始める。「やめてくれ…。」

 「もう死にたい…」と思って、困った顔をしていると、奥の「極道の妻たち」に出てきそうなオバちゃんが、顎で合図をし、「もう許したれ」みたいなサインを出してくれたので、ようやく開放された。「またよろしくお願いします」と大柄な男に言われたが、もう来ないよとは言えず、曖昧な薄ら笑いのまま、ヤクザの事務所を後にしたのでした。

 もう不動産屋はコリゴリ。と思ったが、その不動産屋のチラシがその後も時々入っている。今日もまた、冷や汗を流しながら事務所を後にしている一般人がいることだろう…。
いたすけ古墳
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久しぶりにウォーキングしたんだけど、普段は通り過ぎるようなところもこうやって写真に撮るとなんかイイなって感じるね。

堺は古墳が多く、被写体になる風景がたくさんあるので面白い。

またブログ再開します。

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あべのハルカスがあと64日でグランドオープン。
きっと登りに行くんだろうなぁと思いつつ、また日本に多分いないので寂しい気もしている正月であります。