みずほFGの株主総会とみずほの歪な体制
21日の本日はみずほフィナンシャルグループ(8411)の株主総会が開かれます。今回のテーマは、まず今年3月にみずほ銀行が起こしたシステム障害の対応遅れへの反省から、旧3行出身者が首脳ポストを分け合う3トップ制をやめて意思決定を一元化し、経営の効率化をはかるガバナンス態勢の構築です。今年6月をめどに、コーポ銀の佐藤康博頭取(59)が持ち株会社の社長に就任する。みずほ銀の西堀利頭取(58)はシステム障害の責任を取って辞任し、後任に持ち株会社の塚本隆史社長(60)が就きました。みずほコーポ銀の頭取は佐藤氏が引き続き兼務する。両行は今年度から、情報システムのほか、人事部門や地方拠点の事務部門の一本化を進め、早ければ、システム統合が完了する25年春にも合併の作業を完了する方向。事業譲渡方式をとることや、コーポ銀の一部業務を証券子会社に移すことなどを検討する。みずほグループは平成12年に旧第一勧業銀行、富士銀行、日本興業銀行の3行が統合して発足。2002年から持ち株会社の下、大企業向けのみずほコーポ銀と、個人や中小企業向けのみずほ銀が並立する「2バンク制」を採用してきた。持ち株会社、みずほ銀、みずほコーポ銀の社長・頭取ポストを旧3行出身者が分け合うバランス人事をとり、意思決定の遅さや経営の非効率さの原因になっていると批判を受けてきた。現在のトップである塚本氏は第一勧銀、西堀氏は富士銀、佐藤氏は興銀の出身。一時、給与振込などの未処理が116万件にまで膨れ上がる事態になったみずほ銀のシステム障害も、2バンク制や3トップ制による意思決定の複雑さが対応遅れの一因になったとみられている。みずほは平成14年にも大規模なシステム障害を起こしており、今回の事件でみずほは中核2行の再編を急ぎ、経営体制の刷新をはかることとしました。
みずほフィナンシャルグループ(FG)が主力2行の統合に踏み切るのは、みずほFG、みずほ銀、みずほコーポ銀のトップを旧3行(富士、第一勧業、日本興業)出身者が分け合ってきた人事慣行が、経営の弊害になっているとの危機感からです。しかし、旧3行出身者がけん制しあってきた三すくみの状態は、経営統合から10年を過ぎても変えられませんでした。今回、旧富士出身者が3トップから降りることで不満がくすぶっており、火種を抱えた再スタートになりかねません。ワントップ体制は以前から議論があったことが会見では報じられています。みずほFGの塚本隆史社長は23日の会見で、前身の旧3行による「3トップ」体制が、企業統治の弊害になっていたことを認めました。しかし、明示的に改革を打ち出すタイミングは今と語り、体制打破のきっかけが、企業取引や給与振り込みなどピーク時116万件(約8300億円)の決済が滞った3月15日の大規模なシステム障害だったことを明かしました。東日本大震災の混乱を加速させたトラブルがなければ、経営改革に踏み出せなかったグループの自浄作用の低さをさらけ出した形です。
今回の障害の責任問題を巡り、3トップの中では旧富士出身の西堀利・みずほ銀頭取だけが引責辞任する結果になりました。銀行業界では早くも内部抗争激化の火種になりかねないとの観測報道が浮上しています。経営トップが旧3行出身者の3人では意思決定が遅くなるという声がある一方で、西堀頭取は頑張っているため辞める必要はないと旧富士出身者からは擁護の声も強いそうです。みずほFG副社長には旧富士出身の西沢順一・みずほコーポ銀常務が就任するものの、3トップから旧富士出身者がいなくなるため、旧富士出身幹部の間では旧日本興業銀行は企業に長期資金を融資する旧長信銀のビジネスモデルが行き詰まっていたとの意識が強く、経営統合で救ってやったのにトップの主導権を取られたとの批判もくすぶっているようです。グループ内で旧3行は、互いにけん制しながらも権力が突出しないとの懸念があり、言わばローマ時代の3頭政治体制となっていたそうです。2008年にはコーポ銀トップの女性関係を写した写真などが金融庁や一部メディアに持ち込まれるなど、内部の足の引っ張り合いとみられる事件も起き、その背景に旧行同士の派閥争いがあるとされています。旧3行出身の3人の特別顧問の退任は発表されなかったが、塚本社長は「障害の再発防止に責任はあった。経営統治の観点から見直したい」と特別顧問制度の見直しを強く示唆していました。旧体制を温存したままではグループに求心力は生まれず、2、3年後を見越した再編の効果も危ぶまれることになりそうです。
今回の1バンク体制への移行は、企業統治の強化だけでなく、収益力の強化にもつながることへの期待も大きいと証券アナリスト達は指摘しています。大企業向けのみずほコーポ銀は国内上場企業の7割と取引する顧客基盤の広さを誇るが、「2バンクの壁」に阻まれ、個人向けのみずほ銀はみずほコーポ銀の取引先企業の社員を顧客として取り込む有機的な営業ができずにいました。シティグループ証券の野崎浩成マネジングディレクターは「1バンク化で垣根がなくなれば、取引先を一気に拡大できる可能性もある」と指摘しています。2011年3月期時点の総資産額は、みずほFGは160.8兆円で三井住友FGの約1.2倍の規模。従業員数も約3万人と三井住友FGの約1.4倍です。一方、本業のもうけを示す実質業務純益は7423億円で、三井住友FGの8325億円に比べ約1割低い水準にとどまっています。連結最終損益ベースでは08年3月期以降、メガバンク中3位が定着しています。経営効率の悪さは、企画管理部門や人事部門などが2バンク制によって重複していることが一因と言えます。会見した塚本社長は「合併により将来的にシナジー効果、コスト削減効果も出てくると思う」と期待を表明しています。ただ、みずほコーポ銀の前身の旧興銀と、みずほ銀の前身の旧富士銀、旧第一勧銀との間では企業風土に大きな隔たりがあり、「銀行という“箱”を一つにしただけで、旧行意識を本当に払拭できるか?との冷ややかな見方も尽きないのが現実であるようです。強い銀行に生まれ変われなければ、ずるずると先行する三菱UFJや三井住友のメガバンク2行からおいてけぼりになる懸念もあります。
金融危機による数次にわたる増資政策で株主から沢山の失望や怒りを買い、また2011年3月のシステム障害等でずさんな管理態勢をさらしてしまい、大きく失墜したみずほブランドは21日本日の株主総会で徹底的に糾弾されるでしょうが、潜在的な成長要素を有している同社が効率的なガバナンス態勢を再構築し、みずほFGをMUFGやSMBCと互角に戦く環境を日本市場及び新興国等で構築する事で金融サービスの向上が達成でき、消費者のメリットを向上させることができるようになるものと思います。その意味で期待したい会社と言えるでしょう。
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ユーロの行方!投資戦略を如何に再編するか?~ギリシャの現状
今週の4連続コラムは当初は日本株の事を書こうと思っていましたがギリシャ問題が私が当初考えていた最善のシナリオから真反対の路線、つまりなし崩し的にあらゆるところから援助を受けうやむやにしてしまうも最終的にはパンクしてしまう、という状況になりつつあるためです。
そこで今回は欧州債務、現在のギリシャ問題に焦点を当ててお伝えしたいと思います。読者様には先にお伝えしますが、このコラムはブログにアップする週の前週の金曜日時点までの情報をベースに作成しますので、私の内容はそこまでの情報をベースにして作成していますので、今回はギリシャ問題がこのまま悪化の一途をたどった場合の最悪の状況と、それに対する投資戦略を考えてみたいと思います。
初日の本日はギリシャの国内での変化について書いていきたいと思います。日本の報道のみにとらわれると見落としてしまいがちなニュースになりますが、現在ギリシャの銀行にギリシャ国民、特に小口の預金の解約請求が増加しているそうです。
ギリシャの銀行に預けられた小口預金は2010年に280億ユーロ(ギリシャの預金総額の12%に相当)が引き出された後、今年も1月から4月の間にさらに130億ユーロが引き出されました。若しギリシャがヘアカット(債権元本棄損)を伴う債務再編をした場合、ギリシャの銀行の経営が圧迫され預金が危ない、と一般の庶民が感じ始めていることを示唆していると言えます。半ば取り付け騒ぎに近い状況と言えるでしょう。予備知識ですが、銀行の小口預金は中核資本と認識されます。それは小口預金者の多くは預け入れている額のほとんどを出金する事がない、つまり銀行にとっては低利で調達し、比較的高い利率で運用し利ザヤを多めに稼ぐ事のできるビジネスを行う上で必要不可欠な要素です。そしてギリシャの銀行は、この必要不可欠な預金が流出しているということなのです。
ギリシャの銀行から預金を引き出す者が後を絶たないのは、預金者はギリシャ国債がヘアカットされた場合、ギリシャの銀行の経営がおかしくなると考えていることを意味しますし、ギリシャ国民は直感もしくは空気を察しそういった行動を起こしていると言えます。あるいはギリシャ政府が共通通貨ユーロの使用を止め、昔の通貨、ドラクマに戻すというシナリオを織り込み始めているのかも知れません。
このギリシャの国内情勢を踏まえて同国の国民が生活防衛するための正しい対応策として考えられる方策は2つ考えられます。
1つ目は海外の口座に自身の資産をシフトすることです。
2つ目はお金を持ちだせない場合は金などの実物資産に換えておくことが有効策と言えるでしょう。
我々、投資をする人間にとってはこれらを踏まえて各銘柄の動向を見ておく必要があると思います。明日は整理して考えるためにギリシャ国債について考えて見たいと思います。
ご注意事項
1. 当コラムは投資判断の参考となる情報の提供を目的としており、投資勧誘を目的としたものではありません。投資の最終決定は、必ず御自身の判断でお願いいたします。
2. 当コラムの内容によって生じたいかなる損害についても、当社は一切の責任を負いません。
【ユーロ圏市場】
世界4大市場の一つロンドン市場への投資は
東岳証券では準備しております。
また、今晩はこの後18:00からユーロ圏の経済指標が、
21:30と23:00に米国の重要経済指標が発表予定です。
【アメリカ市場】
米国株式市場への投資ツールは、
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世界の原発事業~原発業界の台風の目『中国』
4連続コラム、最終日の本日は昨日までの3つのコラムだと、一見原発事業は欧米企業の専売特許のような印象を与えがちですが、三菱重工は単体でも原発事業に乗り出していますし、日本製鋼所という株の呼び名でアームと呼ばれる企業は世界の原発市場の9割以上を抑えているとんでもない技術力を有する日本企業があります。同社がアームと呼ばれるようになった由来は、明治政府の富国強兵策の一環で、英国の製鉄メーカーであるアームストロング社との合弁会社として始まったため、同社は別名アームと呼ばれるようになりました。ちなみにその後の日本の鉄鋼メーカーの主要プレーヤーの一角になり、戦後は特殊製鋼の分野で圧倒的なポジションに立ち、先程、世界の原発市場の9割と言いましたが、それは原発の中の炉心の内側の高熱の炉心の中で溶けない特殊な製鉄を作ることができるという、ある意味オンリーワンの技術を有している事が圧倒的なシェアになっていると言えます。
話が逸れたので、本題に戻しますが、日本やドイツのニュースだけ見ると世界の潮流は一見脱原発のように思えますが、新興国や米・仏などは依然として原発推進路線に進んでいます。その中で台風の目となりそうなのが中国の動向です。
現在、米国、フランス、ロシアのメーカーから原子炉を輸入している中国ですが、中国は現在の原発輸入国からの脱却を目指し国産原子炉の開発・生産に向かって邁進しています。2007年3月、海外技術を導入して国産の第3世代炉を開発することを望んでいた中国は、アレバではなく、WHと契約を結びました。WHが53億ドルでAP1000の技術移転に合意したからです。
一方、技術移転に消極的だったという理由で苦杯を喫したアレバも、手をこまねいていたわけではありません。WHとの受注競争に敗れて以降、中国広東原子力発電グループへの技術移転に同意し、台山原発などへEPRを供給する契約を相次いで締結するなど、WHを猛追しています。
中国がこの先、第3世代炉の輸出ビジネスでアレバやWHと肩を並べるまでになる可能性は他業界での中国企業の成長力から考えて大いにありうることだと思います。中国が既にEPRを含む原子炉をアレバの3割引きの価格で請け負えると強気の発言をしています。中国は南アフリカ、アルゼンチン、サウジアラビアに対し、「国産の第3世代」とうたうCNP1000の売り込みに乗り出しているそうです。価格競争力を備えた中国の次世代原子炉が世界市場に参入すれば、既存のサプライヤーにとって新たな脅威となりかねません。
中国は2013年に原発輸出を目指していましたが、福島原発の件で、若干計画を遅らせるもようですが、新興国を中心に大きく経済成長を続ける国々にとって電力の安定的な確保は緊急を要する課題ですので、現在は逆風ですが、時が経てば改めて原発事業は見直しの時期が来るものと考えられます。
Ken
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世界の原発事業~アレバを猛追する「東芝Westinghouse」コンビ
4連続コラム3日目の本日は、昨日のコラムでアレバ社の事を書きましたが、今日はそんなアレバ社を猛追撃する企業グループとさらにもうひとグループを紹介したいと思います。
まず現在、世界の原子力業界はアレバと三菱重工の連合、東芝傘下の米ウエスチングハウス(WH)、米ゼネラル・エレクトリック(GE)と日立製作所の連合という3陣営がしのぎを削る構図となっています。その中で最大手のアレバにとって、背後を脅かす最大のライバルは東芝WHです。
WHは中国で、第3世代原子炉「AP1000」を計4基建設中です。1基目の操業開始は2013年を予定しているそうです。最新モデルとされるAP1000は、EPRのように安全対策として幾重ものバックアップシステムを備えるのではなく、「受動的安全性」というコンセプトを採用しているのがポイントです。これは非常時に、原子炉上部に設けられた30万ガロン(115万リットル)の水タンクの弁が自動的に開き、重力で水が注がれて炉心を冷却する仕組みで、電力を使って冷却水を注入する必要がないためバックアップの動力も不要という構図になっています。
WHもアレバ同様、自社の新型炉であれば東日本大震災と津波の被害にも耐えられたと主張しています。WHのアリス・キャンドリスCEOは、今秋にも中国でさらに10基のAP1000建設に最終合意するとの見通しを示しています。また英国、チェコ、ポーランド、リトアニアにも同炉を輸出する交渉が進んでおり、ブラジル、インドとも予備交渉を始めたことを明らかにしています。
福島の原発事故の影響の広がりにも、ひるむところを見せないアレバとWHですが、それに比べ、劣勢に立たされているのはGEと日立のグループです。理由は明快で、福島第1原発の原子炉を設計したのがGEだからです。両社の合弁「GE日立ニュークリア・エナジー(GEH)」は日本で「改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)」と呼ばれる第3世代機2基を運営しており、さらに新型の「単純化沸騰水型原子炉(ESBWR)」を開発中です。しかし今回の件で今後日立ーGEグループがどうなるか、注目したいところです。
Ken
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世界の原発事業~仏原子力大手アレバ社
4連続コラム2日目の本日は、原発メーカーの世界と、その中で福島原発の放射能処理で一気に有名になった仏原発大手のアレバ社について書きたいと思います。
現在も各国の原発メーカーは、独自の安全技術を盛り込んだ新型炉の開発、売り込みに激しい火花を散らしています。技術力の高い欧米メーカーが有利になるか、あるいはロシアや韓国といった低価格炉のサプライヤーが勢力を伸ばすのか?少なくとも、先進各国で原発建設が立ち往生している現状では、各メーカーがその分小さくなったパイを争うこととなり、競争は激化するでしょう。「フクシマ」ショックが長期化すれば、先進国での原発アレルギーが大きくなり、先進国での原発市場の縮小、引いては日欧米と露を含めた新興勢力の原発メーカーの原子力産業の勢力地図が塗り替わる可能性も否定できません。
現在、世界の原発メーカーの中で安全性を重視した次世代原子炉の開発で先頭集団を走っているのは、原子力世界最大手の仏アレバです。同社が手掛ける第3世代炉「欧州加圧水型原子炉(EPR、出力1650MW)」は地震や津波といった自然災害に備えて複数のバックアップシステムと安全装置が付いた設計で、2001年9月の米同時多発攻撃のような航空機の衝突も想定した災害耐久力が売り物です。
アレバによれば、EPR1基が1年間に炉心溶融(メルトダウン)を起こす確率は100万分の1未満で、第2世代原発の1万分の1と比べて安全性が大きく向上した事を強く主張しています。仮に、最悪シナリオのメルトダウンが起きた場合でも、EPRが格納容器底部に備える「コアキャッチャー」が溶け出した炉心をせき止め、溶融物が地中に浸出するような事態には至らないそうです。同社は福島の原発がこの製品だったら災害に耐えられた、と話しているそうですが、私はどうだろうか?と思います。
そんなアレバ社が現在最も熱い視線を送っているのが中国です。中国は国内の中規模プラントに第3世代原発技術を導入する意向だと明らかにしているからです。これはアレバ陣営にとって大きな追い風となる可能性があるからです。同社は三菱重工業と合弁会社「アトメア(ATMEA)」を設立し、中型の第3世代炉である加圧水型軽水炉(PWR)「アトメア1」(電気出力1100MW)を開発・販売しています。アトメアは英国、米国、インド、中国、チェコなどと約20のプロジェクトを交渉中です。福島原発事故のため事業の遅れも懸念されていますが、同社は2030年までに世界の新設原子炉市場で3分の1のシェア獲得を狙っています。
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