会計理論と会計処理をセットで学習することが大事 | 社会人の簿記・会計系資格取得のためのブログ

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★会計系資格に短期合格を目指す方へのブログです

 

こんにちは。

 

本日も簿記論ブログに

お越しいただき誠にありがとう

ございます。

初めましての方はこちらをお読みください。

 

はじめまして

 

はい、もう10月終わりますね。

皆様いかがお過ごしでしょうか?

 

日商簿記検定を受験される方は

いまが一番大変な時期だと思います。

 

仕訳に関して、日商簿記検定2級レベル

になると飛躍的に覚える量が増えます

よね。

 

そこで、今回は「仕訳のおさえ方」

について書きたいと思います。

 

 

試験問題を解けるためには

仕訳を理解し、覚える必要がありますよね。

 

でも、ものすごい数の仕訳を覚えなければ

いけません。

 

では、どうやってそれらの仕訳を

最終的に覚えていくのか?

 

その具体的方法として

 

仕訳は、「計算+理論」で理解し

覚えていく必要があります。

 

なお、

日商簿記検定試験では、1級にならない

と会計理論の問題は出題ありません。

 

ですので、この話というのは

日商簿記検定1級レベルや

全経上級試験、税理士試験、公認会計士試験

レベルの話にはなってきますが、

 

大人の脳になると、「理解」がともなって

いないと記憶ができません。

 

このため、「仕訳の裏にある理屈

をちゃんと理解して、仕訳を覚えていく

必要があるのです。

 

ということで、このことを分かって

いただく問題を出してみたいと思います。

 

下記の問題は、昨年の会計人コース3月号

に寄稿した付録問題集の記事からの抜粋

です。

 

ぜひ、会計系資格を目指されている方は

考えてみてください。

 

【問題】計算+理論の融合問題

税理士であるあなたは、後輩の研修生を

連れて、顧問先の経理指導にあたること

になった。

 

このとき、財務諸表を作成する際に

「固定資産の減損処理」について問題

となった。

 

この点について、下記はあなたと顧問先

企業の経理担当者との会話である。

 

あなた:

「減損の調査は行いましたか?

確か、遊休状態になっている固定資産

がありましたよね。」

 

経理担当者:

「すいません。以下の資料があります。」

 

あなた:

「では、減損処理が必要かどうか下記表

をもとに判断してみて、必要であれば

減損処理を行いましょう。」

 

[資料]

下記すべてに兆候ありとする。

⑴期末の帳簿価額

A建物3,120

B建物6,100

C土地15,000(非償却資産)

 

⑵認識の判定に関する資料

割引前将来キャッシュ・フロー

A建物3,200

B建物4,400 

C土地12,000

 

⑶回収可能価額

A建物2,800

B建物4,300

C土地11,700

 

 

あなた:

「上記検討の結果、下記の

減損処理が必要となりますね。」

 

(借方)減損損失 ? 

 

(貸方) ?    ?

(貸方)  ?    ?

 

Q.さあ、上記の減損処理に関する

仕訳の科目と金額はどうなるでしょうか?

 

 

では、解答・解説です。

 

<計算>

上記資料をもとに、減損損失の認識の判定

と測定を行います。

 

⑴認識の判定

A建物3,120<割引前将来キャッシュ・フロー3,200 

 ∴認識しない

  

B建物6,100>割引前将来キャッシュ・フロー4,400 

認識する

  

C土地15,000>割引前将来キャッシュ・フロー12,000 

認識する

 

 

⑵測定

B建物6,100-回収可能価額4,300

減損損失1,800

 

C土地15,000-回収可能価額11,700

減損損失3,300

 

以上より、

 

(借方)減損損失 5,100

 

(貸方) 建物 1,800

(貸方) 土地 3,300

 

が正解となります100点

 

 

では、さらに問題は続きますほっこり

 

 

経理担当者:

「う〜ん。どうしてもこのような

会計処理が必要なのですか?」

 

あなた:

「納得がいかないようですね。

では、減損会計について簡単に

ご説明しましょう。

 

固定資産の減損処理とは、資産の

( ① )により( ② )が

見込めなくなった状態の場合に、

一定の条件のもとで( ③ )性を

反映させるように帳簿価額を減額する

会計処理のことをいいます。

 

この会計処理の論拠ですが、事業用の

固定資産は、原則として取得原価から

減価償却等を控除した金額で評価されますね。

 

そして、取得原価基準の本質を、投下資本

のうち( ③ )な原価だけを繰り越す

という考え方と捉えると、収益性が低下し、

( ② )が見込めなく場合は、投下資本

のうち( ③ )な原価だけを繰り越し、

回収不能な損失を将来に繰り延べてはなら

ないことになります。

 

ここに減損会計の論拠があるわけです。」

 

 

経理担当者:

「そうですか。ちなみに、減損損失の測定

において回収可能価額は、使用価値と正味

売却価額のいずれか高い方の金額とする

理由は何故ですか?」

 

 

あなた:

「それは、企業は、資産又は資産グループ

に対する投資を( ④ )のいずれかの

手段によって回収するためです。」

 

経理担当者:

「わかりました。

では、減損損失を特別損失に計上します。」

 

 

 

はい、では上記に入る語句です。

 

①  収益性の低下   

②  投資額の回収   

③  回収可能

④  売却と使用

 

 

はい。以上のような感じになります。

 

この問題を通して理解していただき

たいのは、会計処理の裏には理屈と

会計基準の規定があり、本当に簿記

を理解するためには、会計処理だけ

でなく、その裏にある理論や基準の

規定までちゃんと理解しないといけ

ないということなのです。

 

なお、欧米では、計算の簿記と

会計理論の財務諸表論みたいな

感じで、理論と計算は分けずに

セットで、財務会計論として

勉強するそうです。

 

ちなみに、税理士試験では

理論と計算が分かれて出題

されますが、公認会計士試験では

一応、理論と計算はセットで

財務会計論の問題で問われます。

 

なお、上記問題のネタ元は

下記の「固定資産の減損に係る会計基準

の設定に関する意見書」からに

なっています。

 

ちょっと、該当する部分を抜粋

しますね。

 

『三 基本的考え方

1 事業用の固定資産については、

《中略》しかし、事業用の固定資産で

あっても、その収益性が当初の予想よりも

低下し、資産の回収可能性を帳簿価額に

反映させなければならない場合がある。

 

このような場合における固定資産の

減損処理は、棚卸資産の評価減、固定資産

の物理的な滅失による臨時損失や耐用年数

の短縮に伴う臨時償却などと同様に、事業

用資産の過大な帳簿価額を減額し、将来に

損失を繰り延べないために行われる会計処理

と考えることが適当である。

 

これは、金融商品に適用されている時価評価

とは異なり、資産価値の変動によって利益を

測定することや、決算日における資産価値を

貸借対照表に表示することを目的とするもの

ではなく、取得原価基準の下で行われる帳簿

価額の臨時的な減額である。 

 

3 固定資産の減損とは、資産の収益性の

低下により投資額の回収が見込めなくなっ

た状態であり、減損処理とは、そのような

場合に、一定の条件の下で回収可能性

反映させるように帳簿価額を減額する会計

処理である。』

 

 

ということで、

 

簿記の勉強においては

(特に簿記1級や税理士・会計士試験)

 

表面上の計算(会計処理)

会計理論(理論と会計基準の規定)

 

という形で学習をすると

深度のある知識になっていき

記憶の定着が図られます。

 

 

ちなみに、上記の問題について

税理士試験財務諸表論において

次のような問題が出題されています。

 

第62回 第二問

次の文章の正誤を判断するとともに、

誤っていると判断される根拠を答えなさい。

   

減損会計は収益性の低下を簿価に反映させ、

決算日の資産価値の表示及び資産価値の変動

に基づく利益測定を目的としたものであるため。

  

第65回 第二問

固定資産の減損と減損処理について簡単に

説明しなさい。

 

さあ、どうでしょうか?

簡単にでも答えられますか?

 

この2問とも、上述の「ネタ元」の

規定を計算問題の学習とセットで

ちゃんと読み込んでおいて、自分なりに

理解しておけば、答えられますよね?

 

ということで、

ぜひ、ご自身の学習の参考にして

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