もっとよくなる
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 最初次のページへ >>

「ヨルシカ」を知らぬ無知を恥じる

 

 

業界の先輩と昭和3年創業の銭湯でひとっ風呂浴びて、昭和の風情が香る焼き鳥屋と豚ちゃん屋をはしごする。

 

しばし昭和の時代にタイムスリップしたような時間を過ごしたが、懐古趣味的な話は皆無。

 

最近、話題となっている「Chat gpt」の可能性と限界を議論し、

クリエイターがどのように活用すべきか検証した。

 

二軒目の店でホッピー中(なか)のお代わりが3杯目に達した頃には、

話題は仕事からカルチャーに移行していた。

 

アートは私の得意分野であるが、音楽の知見はイマイチ。

 

先輩から注目すべきアーティストのレクチャーを受けて神妙に聞き入る。

 

「ヨルシカ」の音楽性がテーマにあがったとき、「ヨアソビ」と勘違いした無知を恥じねばならない。

「雑巾掛け」が必要な人

 

地下鉄の中で、水筒から床にこぼしたお茶を自分のハンカチで拭き取っている男の子を目撃した。

 

小学1、2年生ぐらいだと思う。

 

雑巾代わりに使った男の子のハンカチはたちまちビショビショになった。

 

当然、ハンカチは真っ黒である。

 

男の子の隣にいた同級生と思われる女の子が見るに見かねて、

「電車の床にこぼしたお茶は拭かなくていいのよ」と諭すように声をかけた。

 

その通りである。

 

それでも、男の子は床にこぼしたお茶を無言のまま拭き続けた。

 

自分がしでかしたことだから、自分で始末しないと気が済まないのだと思う。

 

男の子の頭の中には「責任」という言葉が刻み込まれているのだろう。

 

神々しいまでの男の子の行為に私は心を揺さぶられた。

 

この光景、この頃不祥事が目立つ若手議員にこそ見てもらいたかったなあ。

 

自分がしでかした過ちなのに知らん顔してる輩(やから)が多すぎるからね。

 

そういえば、政界の中枢に君臨する重鎮の議員も言ってたぞ、

「今の若い政治家には雑巾掛けが足りない」って!

 

苦労知らずだから、己の行動が軽率になるのだと言いたいのだろう。

 

もっともだと思う反面、この老獪な政治家の発言に共感できない自分もいる。

 

確かに、あなたが若い頃に「雑巾掛け」で学んだことは多いだろうが、

そもそも、あなたの政治はちっともきれいじゃないからね。

 

真の意味で雑巾掛けが必要なのは、この政治家かもしれない。

 

(10年以上前に書いたまま眠っていたお蔵出しブログです)

カーチェイス in シンガポール

 

 

馴染みのバーで偶然居合わせた女性と話が弾んだ。

 

お酒が進むうち、彼女がシンガポール航空のキャビンアテンドをしていた頃の話になったので、

私も20代の時にその地を訪ねて体験した思い出話を披露した。

 

少しばかりスリリングな出来事である。

 

滞在2日目の夜、一緒に旅した友人と「Fire」という街でも人気のディスコに繰り出した。

 

そこで私たちは、現地の男たちににチヤホヤされる二人組の日本人女性を見かけた。

酔って乱れて完全に舞い上がっている。

 

ところが、この男たちに腕を捕まれ肩を抱かれ、

店の外に連れ出されそうになると、そのうちの一人が私たちにSOSを出してきた。

 

男たちの行為は褒められたものではない。

しかし、思わせぶりな態度(いや挑発と言ってもいい)をとっていた彼女たちに非はないのか。

 

日本には「自業自得」という言葉だってあるぞ。

 

無視を決め込もうと思っていたのだが、結果的には助けてしまったのである。

 

彼女たちにわざと親しげに話しかけ、知り合いのようなふりをして冷静を装い店の出口に向かった。

そのあとはダッシュでタクシーに飛び乗った。

 

しかし、これで終わりとはいかなかった。

 

やれやれと思ったのも束の間、なんと、男たちもタクシーに乗り込み追いかけてきたのだ。

そのあとは、まるで映画のようなカーチェイスもどきの逃亡劇。

 

タクシーの運転手がうまく巻いてくれたから逃げ通せたが、下手すりゃ大きなトラブルになっていた。

 

何でそうまでして女性たちを助けたのか。

 

同胞のよしみ? 違うなあ。そもそも同情心が湧くような出来事ではないからね。

下心? ないない。その証拠に、助けたあと飲み直そうとも思わなかった。

 

じゃあなんだ。考えられるのは若者が夢見がちなヒロイズムだ。

自分たちの行為に酔っていたのだ。

 

つまり、プチ英雄気取り。

そうだ、この言葉がいちばんしっくりくる。

 

そんな思い出話を話し終えたところで私の終電の時間が近づいた。

 

会話につきあってもらったお礼に、私は女性の分も勘定を払って店を出た。

 

あとで、はたと気づいのだが、これも一種のヒロイズムだよね。

 

自分本位の単なるええカッコシイ。

おいおい、若い時となんにも変わってないじゃん(苦笑)。

 

女性にとっては迷惑な行為だったかもしれないぞ。

 

私の妻も「彼氏でもない男性におごってもらうのは気持ち悪い」と言うしな。

 

せっかくスマートな会話ができたと悦に入っていたのに、

最後の最後に古い価値観がこびりついた昭和オヤジの馬脚を露わしてしまったのである。

 

上の写真は、その夜「春」をテーマに作ってもらった桜色のカクテル。

ベースがズブロッカというところがおもしろい。

 

下の写真は、33年前のシンガポール・チャンギ国際空港。到着したのは日付が変わる頃だった。

フライトの時間帯はよくなかったが、ホテルは5つ星の超高級ホテル。明らかに身分不相応な旅だった(笑)。

1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 最初次のページへ >>