外陰腟カンジダ症で誤っているのはどれか。

a.掻痒を生じる b.帯下は泡沫状である c.抗菌薬服用後に多い d.原因菌は消化管に常在している e.腟分泌物の鏡検で菌糸が確認できる

 

正解:b

 

<今回の要点>

①カンジダは腟内に常在しているが、何らかの理由で異常増殖すると、掻痒感や酒粕様帯下を認める

②カンジダは真菌であり、顕微鏡で菌糸体を確認できる

③カンジダの治療は抗真菌薬である

 

カンジダ腟炎は、超重要というわけでもないですが、婦人科診療をしていると、日常でとても目にすることが多いので、一応やっておきましょう。

カンジダは腟に常在する真菌ですが、

・抗菌薬内服による菌交代現象

・腟の自浄作用低下(糖尿病、栄養失調、妊娠など)

・性行為感染

などを契機に異常増殖することがあり、掻痒感を主症状として発症します。

 

上記のように、妊娠を契機に発症することもあります。

妊娠中にはエストロゲン(E3:エストリオール)が激増しますが、これが炎症性サイトカインの産生を抑えたり、細胞性免疫を抑制したりするからです。

関節リウマチや多発性硬化症など、細胞性免疫を主体とする自己免疫疾患が妊娠中に軽快することが多いのはこのためです。

 

 

<カンジダ膣炎の診断・治療>

まず、帯下に分かりやすい変化が起こります。

酒粕様帯下といいますが、カッテージチーズにも似ています。

 

カンジダは↓このような構造をしています。

 

↓顕微鏡で見ると、上皮細胞に混じって小枝みたいなやつが確認できます。

 

真菌ですので、治療は当然、抗真菌薬です。

腟錠と軟膏の両方があります。

 

腟剤で有名なのはオキナゾール(一般名:オキシコナゾール硝酸塩)、

軟膏で有名なのはニゾラールクリーム(一般名:ケトコナゾール)あたりでしょうか。

覚えなくていいです。

 

腟錠は1週間効果が持続するものがあるので、それで大体は軽快します。

腟内よりも外陰部の掻痒感が主体であれば軟膏を使うのがいいでしょう。

 

 

では、選択肢を確認していきましょう。

 

a.掻痒を生じる 

掻痒感が主症状ですので、その通りです。

 

b.帯下は泡沫状である 

上記の通り、帯下は酒粕様ですね。

泡沫状の帯下になるのはトリコモナスです。

 

c.抗菌薬服用後に多い 

上記の通り、抗生剤を内服すると、腟内の細菌叢が変化しますので、バランスが崩れてカンジダが異常に増殖することがあります。

 

d.原因菌は消化管に常在している 

カンジダは腟内だけでなく、消化管や口腔内にも常在しています。

 

e.腟分泌物の鏡検で菌糸が確認できる

その通りです。これをもって確定診断ですね。

まあ、正直そこまでしなくても、酒粕様帯下を認めればカンジダで間違いないです。