田中角栄になり損ねた男 大下英治
疑惑の総合商社とか総合デパートとか呼ばれた鈴木宗男の訴追されるまでの一代記。
田中角栄的なモノの代表格である鈴木宗男が消えるのが歴史の必然であり、鈴木宗男自身も薄々気付きながらも北海道という地盤の経済後進性が故に切り替えられなかったのでは?というような部分も本書からは伝わってきますが、単純に(政権欲ではなく目の前の人間をひれ伏させたい、思い通りにさせたいという意味での)権力欲に取り付かれた人間の暴走の歴史という側面の方がやはり強いかな、と。「金銭欲は無く誰よりも働いた」と松山千春は擁護していますが、金銭欲が無いからいいというものではなく1970年代の国家ビジョンで走る政治屋が1人消えたのはいたく目出度いことであり、また自分を陥れた外務省に復讐するため努力している現状もまた素晴らしいと思います。
小泉政権の誕生と安部政権の自壊を見るにつけ、日本もまだまだなんだかんだで自浄作用が働いていない訳ではないです。
大統領のゴルフ Jr.,ドン・ヴァン ナッタ
JMMで寄稿している春具さんが翻訳した米国大統領とゴルフの関係について描いた洒脱なルポルタージュ。図書館にあったのでついつい借りてしまいました。第二次大戦後ゴルフをやらなかった大統領候補は4名しかおらず全員敗退しいるそうで、アル・ゴアはその内の1人とのことです。地球環境に関心のある人間はやはりゴルフをやらないのだな、と感心してしまいました。
JMMは数年前までけっこう熱心に読んでいたのですが、最近は忙しくて一部しか読めません。本になったらまとめて読みたいところです。
砂漠の舟 篠田節子
篠田節子お得意の八王子もの。都心郊外の家族とコミュニティを大事にする会社員がリストラに遭い、家庭は自分の思い描く方向とまったく別の方に進み、地域社会も空洞化が進行する中で主人公を裏切る。一隅を照らすような人生を志向して、篤実に生きてきた人間が決して素直に報いられるとは限らないというしょーもない事実を描いた読後感の非常に悪い一作。中島みゆきの「悪女」くらいまでの初期作品かバッハのオルガン曲でも聴きながら読むといいでしょう。幸せじゃない男性は読まないほうがいいでしょう。