出血や違和感、痛みやヒリヒリなどの症状があると痔だと思って受診されるのですが、痔なんてどこにもなく、ただの洗いすぎと肛門の便秘(出残り便秘)だった・・・というケースが本当に多いです。
他院で痔と言われ、手術や注射療法を勧められている患者さんも多いですが、痔ではないのに手術も注射療法も必要ありません。
治療をしても、困っている症状は無くならないどころか、必要の無い手術を受けると肛門に問題が生じることもありますので注意が必要です。
今日ご紹介する患者さんは50代女性。
痔だと思って来られましたが、痔ではなく、ただ肛門の便秘(出残り便秘)があっただけでした。
まずは患者さんが書いて下さったアンケートをお読み下さい。
私が解説したい箇所は大文字や太字、アンダーラインを入れています。
毎日便が出ていても、自分ではスッキリしていても、肛門に便が残っていれば出残り便秘です。
残った便は奥に戻っていきません。
肛門にずっと溜まったままになります。
そもそも肛門は便の通り道。
便が通過していく所であって、便を溜めておく場所ではありません。
通路に便が落ちていてはいけないのです。
いついかなる時も(排便直前以外は)空っぽなんです。
人間の身体はよく出来ていて、便が直腸下部に降りてくると、直腸の便感知センサーが反応します。
「便が来たぞー」と脳に伝達。
身体は便を出す態勢に入ります。
便を排出するためには肛門の穴が開かないといけません。
そのために内肛門括約筋という不随意筋が弛緩します。
そして直腸が便を絞り出すようにギューッと動いて便が排出されます。
この直腸肛門反射を利用して排便すれば、腹圧をかけて力一杯いきまなくても便がスッキリ出てくれます。
この一連の動きは意識するしないに関係なく起こります。
ところが便意を我慢すると、この排便反射は消失。
出かかった便は直腸下部に溜まったままになり、本来空っぽのはずなのに、便が溜まっていることに慣れていきます。
そうやって肛門も直腸もアタマも便に対して鈍感になっていってしまう。
便が溜まっているのに分からなくなったり、便が残っているのにスッキリ感があったり・・・と、意識と現実の乖離が起こるようになります。
そうやって便の通路であるはずの肛門に、常に四六時中便が溜まっていると、自分の意識では気付いていなくても、身体はちゃんと分かっていて、便を出そうと内肛門括約筋は弛緩したままになります。
だから常に便を肛門に溜め込んでいる患者さんを診察すると、年齢に関係なく「しまりがゆるい」ことがある。
中には「便が漏れる」「下着に便が付く」「トイレに行くたびに紙で拭くと便が付く」という症状で悩んでいる人も多い。
この「しまりのゆるさ」なんですが、便を完全に排泄して肛門の中を空っぽにするようにしたら、弛緩していた内肛門括約筋が元に戻り、しまりが良くなるケースもたくさん経験しています。
だから早めに気付いて欲しい。
何十年も便を溜め続けると戻らないケースもあるので
この患者さんのように毎日排便があって、しかも自分ではスッキリ感まであると、便秘という診断は衝撃でしょう。
でも出残り便を出してもらうと納得されます。
そんな「結構な量」の便を溜め込んでいれば、しまりも悪くなるし、痔や肛門のトラブルが引き起こされて当然
この出残り便秘は、便を出し切るようにすれば徐々に治ってきます。
治ってくると坐薬を入れて出てくる残便の量が減ってきて、最終的に坐薬を入れても何も出ない状態になります。
そうなったら坐薬も必要なくなります。
そうなるまでどれくらいかかるのか?
それは「便を肛門に溜めて生きてきた年数だけかかる」と言えます。
一体何年、便を溜めてきたのだろう・・・と振り返って下さい。
いつから残っていたのか、溜まっていたのか分からないという患者さんもおられますが、2〜3年経つと随分改善してきます。
残便感が分かるようになる
便が下りてきたら分かる
便意がくるようになる
スッキリ出せるようになる
そんな風になってきますので、めげずに頑張って出残り便秘の治療を続けて下さいね
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