(484)脳に何かがあった時 5月号の紹介、遅くなってすみません | 大阪肛門科診療所 院長 佐々木いわおブログ──『過ぎたるは及ばざるにしかずだよ、佐々木君』

大阪肛門科診療所 院長 佐々木いわおブログ──『過ぎたるは及ばざるにしかずだよ、佐々木君』

「切りすぎた肛門は元には戻せないんだよ・・」故隅越幸男先生の言葉をいつも心の真ん中に置いて「切りすぎない手術」「切らない肛門診療」を追求する肛門科専門医が、手術のこと、治療のこと、日常のことを、綴ります。

2019年に脳出血を発症し

右片麻痺となった

大阪肛門科診療所、院長の

佐々木巌です。



肛門科のこと、脳出血、麻痺、

その他諸々について語るブログへ

ようこそ。



当ブログのタイトルは

尊敬する肛門科の先駆者である

故 隅越幸男先生がよく仰っていた

言葉です。



タイトルの言葉を解説した記事です。

よろしければ。



過ぎたるは及ばざるに如(し)かず

https://ameblo.jp/driwao/entry-11769993835.html




さて、

先日久しぶりの投稿をしましたが

今回はその続きです。


机の横の本棚で

「脳に何かがあった時」の冊子が

「早く書けー」と催促しているのを

聞こえないふりをしてきましたが、

そろそろ書かないと機会が失われるという

ことに気付きました。笑


今回は、

脳に何かがあった時 5月号

を紹介します。





この冊子は、毎回2人の

高次脳機能障害当事者に

インタビューをされています。


今回は以下のようなお二人でした。






抗NMDA受容体脳炎で

一時は植物状態に近い状態から

回復した石崎さんは、

3年間も

高次脳機能障害の診断を受けられずに

いました。


憧れていたホテルのフロントの仕事で挫折、

接客の仕事を諦めたときに

高次脳機能障害の診断を受けました。


診断を受けたことで

心底楽になったと言うことです。


現在は

障害に配慮のある職場で働いています。





かつてショートスリーパーに憧れていたという

ワーカホリックな田仲さん(特殊印刷業)。


宴会の時に倒れて

高次脳機能障害を負いました。


前向きな田仲さんは発病当時のリハビリも、

段々できるようになるのが楽しかった

と振り返っています。


一方で仕事上は、

 

  • お客さんに対して病前よりも提案の深堀りができず、ありきたりな提案しかできない

 

  • 集中が必要な作業をしているときに、横から声をかけられたりすると、仕事に戻るのに非常に時間がかかる。ほぼイチからやり直しになる


と言う不便があるそうです。




抗NMDA受容体脳炎とは

聞き慣れない病名ですが、

 

免疫機構が自分の脳細胞を攻撃する病気で

 

腫瘍のせいで起こることが多いそうです。


さて、自分が高次脳機能障害である

 

ということを知らない場合、

当事者は

なぜこんなことができないのか、とか

なぜ覚えていられないのか、といったことで、

自分を責める傾向があります。


だから石崎さんは

 

「心底楽になった」

 

のでしょう。


病気がある事は不便ですが、

病気があるのにそれを知らない事も、また

心の重荷になってしまいます。


あまり馴染みのない高次脳機能障害ですが、

もっと広く認知されれば

不必要に苦しむ人が減るのでは

 

ないでしょうか。


また、高次脳機能障害の当事者は

集中を要する作業中に声をかけられると

とても辛いそうです。


これも参考になりますね。


この冊子、ぜひお手にとってお読みください。


診療所の待合室に置いておきます。