2019年に脳出血を発症し
右片麻痺となった
大阪肛門科診療所、院長の
佐々木巌です。
肛門科のこと、脳出血、麻痺、
その他諸々について語るブログへ
ようこそ。
当ブログのタイトルは
尊敬する肛門科の先駆者である
故 隅越幸男先生がよく仰っていた
言葉です。
タイトルの言葉を解説した記事です。
よろしければ。
過ぎたるは及ばざるに如(し)かず
https://ameblo.jp/driwao/entry-11769993835.html
さて、
先日久しぶりの投稿をしましたが
今回はその続きです。
机の横の本棚で
「脳に何かがあった時」の冊子が
「早く書けー」と催促しているのを
聞こえないふりをしてきましたが、
そろそろ書かないと機会が失われるという
ことに気付きました。笑
今回は、
脳に何かがあった時 5月号
を紹介します。
この冊子は、毎回2人の
高次脳機能障害当事者に
インタビューをされています。
今回は以下のようなお二人でした。
1
抗NMDA受容体脳炎で
一時は植物状態に近い状態から
回復した石崎さんは、
3年間も
高次脳機能障害の診断を受けられずに
いました。
憧れていたホテルのフロントの仕事で挫折、
接客の仕事を諦めたときに
高次脳機能障害の診断を受けました。
診断を受けたことで
心底楽になったと言うことです。
現在は
障害に配慮のある職場で働いています。
2
かつてショートスリーパーに憧れていたという
ワーカホリックな田仲さん(特殊印刷業)。
宴会の時に倒れて
高次脳機能障害を負いました。
前向きな田仲さんは発病当時のリハビリも、
段々できるようになるのが楽しかった
と振り返っています。
一方で仕事上は、
- お客さんに対して病前よりも提案の深堀りができず、ありきたりな提案しかできない
- 集中が必要な作業をしているときに、横から声をかけられたりすると、仕事に戻るのに非常に時間がかかる。ほぼイチからやり直しになる
と言う不便があるそうです。
抗NMDA受容体脳炎とは
聞き慣れない病名ですが、
免疫機構が自分の脳細胞を攻撃する病気で
腫瘍のせいで起こることが多いそうです。
さて、自分が高次脳機能障害である
ということを知らない場合、
当事者は
なぜこんなことができないのか、とか
なぜ覚えていられないのか、といったことで、
自分を責める傾向があります。
だから石崎さんは
「心底楽になった」
のでしょう。
病気がある事は不便ですが、
病気があるのにそれを知らない事も、また
心の重荷になってしまいます。
あまり馴染みのない高次脳機能障害ですが、
もっと広く認知されれば
不必要に苦しむ人が減るのでは
ないでしょうか。
また、高次脳機能障害の当事者は
集中を要する作業中に声をかけられると
とても辛いそうです。
これも参考になりますね。
この冊子、ぜひお手にとってお読みください。
診療所の待合室に置いておきます。