前回も書いた「内申」に関する続き記事となります。
どうしてもある程度の学年になってくると友人関連でもオンライン報告会関連でも「内申点なんて、先生に気に入られるかどうかのゲームでしょ?」 そう冷ややかに笑う保護者は少なくありません。
しかし、現代の高校受験における内申点は、そんな単純なものではないのかなと教職や教育関連の友達らと話していると思ったりします。その中で明確に感じていることがあります。
それは、学外活動、資格、コンテスト実績までを飲み込んだ「残酷なまでの総合人間力スコア」へと変貌を遂げています。
本記事では、あえて「中学受験(中受)」を回避し、「高校受験(高受)」で都立自校作成校などの難関校を狙うための、戦略的アプローチを解説します。
内申点の「残酷な構造」を理解する
なぜ内申点は残酷なのか。それは、テストの点数という「瞬間風速」ではなく、3年間の「継続的な全方位評価」だからです。
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環境格差の反映: 外部資格やコンテスト実績は、家庭の経済力や情報力に直結します。これらは自治体や大学等が主催しているセミナーなどもあるので経済的な分野においてはかなり軽減され始まっているかと思います。
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休息の剥奪: 勉強だけでなく、ボランティアや部活動での実績も求められる「総力戦」です。
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非認知能力の数値化: 協調性やリーダーシップといった、目に見えにくい能力を無理やり数値化されるストレスが伴います。
中堅層にとって「中学受験」は本当にコスパが良いのか?
中学受験のボリュームゾーン(四谷大塚偏差値45〜55付近)にいる場合、無理に中受を強行するよりも、高校受験に回るほうが「最終的な学歴(出口)」のパフォーマンスが高くなるという現実があります。
中学受験は、基本的に「教育熱心な上位層」同士の熾烈な削り合いです。一方、高校受験は義務教育の全生徒が分母となるため、中学受験で「中堅」に位置する子は、高校受験市場では「上位10〜15%」のトップ層に躍り出ることが容易だからです。
特に、都立の「自校作成校(日比谷・西・国立など)」は、入試当日点と内申の比率が「7:3」と学力重視に設定されています。さらに独自問題による学力差がつきやすいため、「内申が完璧でなくても、圧倒的な学力(当日点)で逆転合格できる」という余白が残されているのです。
しかし、この「ルール」を逆手に取ることこそが、戦略の第一歩です。
3. 4年生から始める「内申点ポートフォリオ」戦略
中受の塾に月10万円を投じる代わりに、そのリソースを「内申書に書ける唯一無二の経歴」作りに振る。これが、今回提案する「ポートフォリオ型・高受戦略」です。
① 副教科の「先行投資」
5教科は塾で誰もが対策しますが、差がつくのは実技4教科です。
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戦略: 小学校高学年までに美術教室やスポーツ、楽器を「内申対策」として戦略的に習得。「多様的に色々本人がやりたがってるからやらせている」というのは良いわけで内申目的な人はかなり多いと思っています。そんな事ないと何も考えずに色々やらせているのならそちらのほうが・・・
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効果: 中学で5教科に集中しても、実技で「5」を維持できる体制を構築します。東京だと副教科は2倍換算ですからねw
② 「掛け算」で希少性を作る
英検2級を持っている中学生は珍しくありません。しかし、「英検2級 × 市の科学賞 × 地域のリーダー活動」となれば、調査書の輝きは別格になります。
③ 公的な「冠」をハントする
学校の先生が最も評価しやすいのは「客観的な実績」です。
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自治体主催の作文コンクール
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数検・漢検などの級位
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プログラミングコンテスト等の学外実績
アフター的な傾向の話もここで少し。
一方で上記の様な経歴がなく「先生への適合力」で内申を積み上げた生徒と、圧倒的な「地力(学力)」でねじ伏せて入学した生徒。両者が高校という同じ土俵に上がったとき、その後の軌跡が残酷なほど分かれる理由は明確です。
この現実を、高校入学後の「伸びしろ」の観点から深掘りしてみましょう。
「評価」の基準が180度変わるという衝撃
中学校までの内申点は「プロセス(態度、提出物、意欲)」を重視してくれます。しかし、進学校であればあるほど、高校以降の評価は「結果(模試、定期考査、大学入試演習)」という冷徹な数字にシフトします。
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内申勢の苦悩: 「頑張っている姿」を見せても点数が取れなければ評価されない世界に放り込まれ、成功体験が崩壊しやすい。
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成績先行型の強み: 評価されるための「最適解」を出す訓練が済んでいるため、環境が変わっても揺るがない。
2. 「内申ハック」の副作用としての思考停止
内申点を稼ぐのが上手い子は、無意識のうちに「正解が何か」ではなく「先生が何を求めているか」を探るようになります。これは一種の最適化能力ですが、大学入試レベルの「未知の難問」に直面したとき、以下のような差が出ます。
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内申勢: 「型」や「指示」がないと動けず、自分の頭で泥臭く試行錯誤する体力が不足している場合がある。
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成績先行型: そもそも学校の授業を「補助」程度に考え、自力で学習をハックしてきた経験があるため、難解な内容も自学自習で突破できる。
3. 「貯金」の有無が分ける精神的余裕
特に数学や英語において、成績先行型で入ってきた生徒は、中学範囲を「受験テクニック」としてではなく「本質的な理解」として習得しています。
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高校数学のような高度な抽象概念に入る際、中学の基礎が「内申対策としての暗記」だった子は、基礎から砂上の楼閣のように崩れていきます。
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逆に、戦略的に高受を突破した層は、中学の内容を余裕でクリアした状態で入学するため、高校の先取り学習にもスムーズに入れます。
結論:内申点というシステムを「攻略」
「内申点は不公平だ」と嘆いても、システムは変わりません。しかし、このシステムを「総合的なポートフォリオ構築ゲーム」だと捉え直せば、子供の自己肯定感を守りつつ、難関校への切符を手にすることができます。
中学受験の過酷な偏差値レースに疲弊する前に、「あえて高受でトップを狙う」という選択肢を検討してみてください。それは、子供に「戦略的に生きる力」を教える、最高の教育機会になるはずです。
参考になれば・・・
でわ
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