ドラゴンクエスト日記 -98ページ目

063.竜王の城 地下7F---決戦! 竜王!  on ドラゴンクエストI

長い長い僕の旅が、もうじき終わろうとしている。
その結末がどうなるのか、今の僕には分からない。
ただ、その結末がどうなろうとも、一つだけやり遂げなければならないことがある。



僕の身がどうなろうとも、必ずやり遂げなければならないことがある。



たとえこの身と刺し違えてでも、絶対に竜王に止めを刺すのだ。
竜王さえいなくなれば、またこのアレフガルドに平和が戻ってくるだろう。
そこに僕がいてもいなくても、人々が平和に過ごすことができればそれでいいと思う。



つい先ほどまでとはうってかわり、自分でも驚くほどの平常心のまま、僕は玉座に深々と腰掛けていた竜王の前へと歩み出た。



竜王は僕が現れるのを予期していたのだろうか。
余裕たっぷりの表情で、頬杖をしてニヤニヤしながら僕を見下ろしている。
竜王と合間見えるのはこれが当然初めてだが、どうしてだかどこか懐かしいような感覚に襲われた。



その竜王は紫色のローブを身にまとい、邪悪なオーラを発する大きな杖を携えていた。確かにこれまでに出会ったどんなモンスターよりも手ごわそうではあるが、これが本当にアレフガルド全土を恐怖のどん底に追いやっているものの正体なのだろうか?



パッと見は、顔色の悪い怪しげな魔法使いにしか見えないぞ。。。
これなら・・・勝てるかもしれない!



そんな僕の心のうちを知ってか知らずか、竜王はニヤニヤと笑っているままだ。
なんだかいやな感じだが、僕の姿を見てもすぐに飛び掛ってくるというわけではなく、通常のモンスターに比べれば相当の知性を感じさせる。



お互い、剣戟の間合いからは遠く離れた位置関係だが、僕には最強の攻撃呪文であるベギラマがある。
ほとばしる炎の呪文をぶつければ、いかに竜王といえども無傷でいられるとは思えない。



とはいえ敵は竜王だ。彼自身、ベギラマぐらい簡単に使いこなせるだろうし、その点ではお互いに絶対的な間合いは存在しないといってもいいのかもしれない。



竜王が組んでいた足をほどき、頬杖していた左手を離して、やや前のめりに座りなおした。
そして僕に向かい、威圧感のある低い声で話しかけてきた。



「よくぞ来た、リューンよ! わしが王の中の王、竜王である。わしは待っておった。そなたのような若者が現れることを。もしわしの味方になれば、世界の半分をリューンにやろう。どうじゃ? わしの味方になるか?」



僕は思わずあっけに取られてその言葉を聞いていた。
これほど僕をバカにした話があるだろうか? 本当にここで、僕が頷くと思っているのだろうか?



ロトの末裔である、この僕が!



しかし、僕の当然過ぎる答えを聞いた竜王は、さも意外そうに小首をかしげる。
「どうした? 世界の半分を欲しくはないのか? 悪い話ではあるまい」



問答無用!
僕が欲しいのはたった一つ。
お前がいない世界だけだ!!



冷静さを装っていた竜王も、僕の叩きつけるような回答を耳にしてどんどんむかっ腹が立ってきたのだろう。
ニヤニヤ笑いを腹の底にしまいこみ、徐々に憤怒に駆られた表情へと変わり始めた。



「では、どうしてもこのわしを倒すというのだな! 愚か者め! 思い知るがよいっ!」
そう叫ぶと、竜王はいきなり玉座から宙を飛び、僕の間合いにまで踏み込んできた。



もともと僕と竜王の間に意味のない押し問答なんか必要なく、最初からこうなっていればよかったんだ。
僕はもともと抜刀していたロトの剣を最上段に構え、最後の戦いの幕が開いた。

竜王はその手に持った巨大な杖をたくみに振り回し、時にベギラマを織り交ぜながら僕に攻撃を浴びせかけてくる。
大して上背がないくせにストーンマンと見間違うほどの重みのあるその一撃は、しっかり盾で受け止めていても、骨の髄まで響いてくる。



しかし、耐え切れないほどではない。
最強の鎧と最強の盾。ロトの鎧とみかがみの盾が、僕の体をしっかりと護ってくれているのだ。



逆に竜王は動きにくいローブなんかを着込んでいるせいか、それほどすばやくはないし防御力に長けているわけでもない。
僕の攻撃はしっかりと当たるし、きらめくロトの剣は竜王のローブをどんどんと切り詰めていく。



・・・。
しかしなんだろう、この違和感は。



僕がうっかり踏み込みすぎた隙をつかれ、横っ面からベギラマを喰らってしまった。
あと半瞬身をひねるのが遅れていたら、左半身が真っ黒焦げになっているところだ。
背筋に冷たい汗が流れ落ちるのがわかり、二歩ほど後ろに跳び下がって間合いを計る。



決して甘い相手ではない。
確かに僕がこれまでに出会った中でも最強のモンスターであり、一瞬の隙がそのまま命取りになるだろう。



しかし、僕がこれまで勝手に想像してきたほど、手も足も出ないような相手ではないように思える。
自分が思っている以上に、僕自身が強くなったのか。
それとも噂ばかりが先行し、実は竜王そのものは、話に聞いていたほどの強さはなかったのだろうか。



大上段に杖を振りかざし、一気に踏み込んできた竜王の攻撃を紙一重で交わす。
そして隙だらけになった竜王の首筋をめがけ、気合一閃!
会心の一撃を喰らわせた。



ロトの剣は竜王の肉を切り裂き、硬い鉄棒のような骨にがっちりと食い込んだ。
竜王は自分がどういう状態にあるか理解できないようだったが、自分が明らかな致命傷をおったことに気づくと、信じられないといった顔でぎろりと僕を睨みつけた。



僕と竜王はほとんど額を付き合わせんばかりの距離で睨み合っていたが、竜王が口から緑色の血を喀血し、ぐるん、と白目をむいた。



その手に持っていた杖がカラン、と乾いた音を立てて床に落ちる。
そして、徐々に竜王の姿はその場から薄れ・・・完全に消え去った。



そして一人残った僕は、静かになった竜王の間を見回した。
何もいない。
先ほど乾いた音を立てて床に落ちたはずの杖も、気がつけばどこにも見えなくなっていた。



先ほどまでその玉座に座り、アレフガルドの大地を恐怖のどん底に陥れていた最強のモンスターは、完全に消えうせたんだ!



・・・でも本当に僕は勝ったのか?
確かに竜王は消えてしまったというのに、どうして僕の体はまだ剣を離そうとしてくれないんだ?


===今日のリューン===
レベル 20
HP    84
MP    79
お金   12806
経験地 29087

道具   やくそう×4、かぎ×5、りゅうのうろこ、おうじょのあい、ロトのしるし、ほのおのつるぎ、キメラのつばさ
武器   ロトのつるぎ
鎧    ロトのよろい
盾    みかがみのたて
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