ドラゴンクエスト日記 -97ページ目

064.竜王の城 地下7F---ラストバトル

あの竜王をついに倒した!
・・・はずなのに、そのことにまだ体が気づいていないのか、僕の意思とは無関係に体は戦いをやめようとしていない。
おかしいな。もう戦う必要はなくなったんだ。



そう言い聞かせ、構えたままの剣を降ろそうとしたとき、とてつもなく凶悪な邪気の塊が僕にぶつかってくるのがわかった。
全身の毛穴が開き、これまでに感じたことのない戦慄が脳髄を鳴動させる。



泣き出したいような、逃げ出したいような、圧倒的な恐怖感。
僕はすばやく辺りを見回し、誰も座っていないはずの玉座に信じられないものを見た。



空席となった玉座を中心に、目も開けていられないほどの稲光が明滅した。
そしてその残光が消え、僕が再び目を開けると・・・なんとその玉座には巨大なドラゴンが仁王立ちし、地下迷宮に響き渡るような雄たけびをあげているじゃないか!



そう、竜王がその正体を現したのだ!



幾度となくあげる竜王の雄たけびからは、先ほどまでの知的な様相が一切見受けられない。獰猛で危険な、この世で何よりも凶悪な獣。
腹の底から震え上がるようなこのモンスターの姿こそが、竜王の本当の正体だったのだ。



危うく混乱しかけた僕は、慌てて道具袋に手を突っ込んだ。
かつて大魔王と戦い、その邪悪なるものを打ち破った勇者ロト。
その子孫であることを照明するロトの印を取り出し、僕はしっかりと握りしめた。



竜王の雄たけびがまだくすぶる腹の底から、今度は勇気がみなぎってくるのがわかる。
竜王がどうした。
僕はロトの末裔じゃないか。



これまでに身につけたすべての技と力を出し切れば、たとえ竜王だって倒せるはずだ!
僕はロトの印をそのまま首にかけ、ロトの剣を大上段に構えた。ロトの印とロトの鎧がぶつかり、小気味良い音が響く。
勇気リンリン!



さあ、ラストバトルだ!!



幸い先ほどの竜王戦ではさほど体力は消耗しておらず、体力とマジックポイントは十分残っている。
威勢よく掛け声を上げ、一気に踏み込んで振り下ろした先制の一撃が、竜王の腹部を切り裂いた・・・つもりだったが、どうも切れたのは皮一枚だったらしい。



竜王はさほどダメージを受けていないようで、お返しとばかりに激しい炎を吐き出してきた。
あわててみかがみの盾を差し出したが、猛烈な熱波が容赦なく僕の体を焼き焦がす。



ぐ、ぐぐぐ・・・。
たったの一吹きで、体中の表皮がぱりぱりに火傷してしまったようだ。
これまでに受けた攻撃の中で、一番強烈なダメージだったかもしれない。



もう一度同じ炎を受けたら、たぶん今度は皮だけじゃなく骨まで焼け焦げてしまうに違いない。
ダメージが重なる前に、ベホイミを唱えて体力を回復させる。



光の渦が僕の周囲を取り囲み、その光が体の中へ吸い込まれるようにして消えると、瞬く間に火傷が癒えてまた元気が沸いてきた。
そうして体力は回復できたけれど、しかし敵はさすがの竜王。



僕がいくら切りつけても微動だにせず、太い腕を振り回し、鋭い牙で噛み付き、見上げるほどの巨体で踏みつけてくる。
そして立て続けに吐き出した激しい炎や火の息のせいで、竜王の間は灼熱の空間へと変貌していた。



額から流れ落ちる汗が床に水溜りを作るが、竜王の吐く炎で瞬時に蒸発する。
そして僕の体にまた新しい火傷ができ、ベホイミでそれを回復させながら竜王にがむしゃらに切りつける。



とても先が見えないこの戦闘に、果たして終わりは来るのだろうか。
しかし、僕もそうとうに体力を消耗しているが、竜王だってそうに違いない。
僕が切りつけ、突き刺したその傷跡からは緑色の血があふれ出しているし、戦闘を始めたころに比べれば明らかに動きは鈍っているようだ。



だがそう思えたのは竜王の策略だったのか、竜王の攻撃に耐えたあとでお返しの一撃をお見舞いすべく一歩踏み込むと、さきほどまでの動きの鈍さが嘘のようにすばやく突進してきた。



油断していたところに竜王の体当たりを喰らったものだから、僕はそのまま吹き飛んで壁に叩きつけられてしまった。
あまりの衝撃に息がつまり、目の前が一瞬真っ暗になる。



そのまま意識が飛んで倒れこみそうになったが、目の端に映ったロトの印がきらりと光って僕に意識づかせ、危うく踏みとどまることができた。
僕は一人じゃない。
一人で戦っているんじゃない。



ご先祖様やローラ姫やラダトーム王。それ以外にも僕がここにたどり着くまでに出会った、本当に数多くの人たちが一緒に戦っているんだ。
僕は一人じゃない。
だから、竜王なんかに負けるわけないんだ。



全身打撲と全身火傷で気が遠くなりそうなほどの激痛が押し寄せてくるが、ベホイミを唱えて若干回復させることができた。
しかし、全回復とまではいかないようだ。それほどダメージが大きかったのだろう。



あとほんのちょっとだけ運が悪かったら、僕はそのまま成すべきことを果たせずに竜王の前に永遠にひれ伏していたのだろう。



竜王の渾身の一撃をなんとか耐えしのぎ、もう一発ベホイミで体力を回復させる。
魔法という神秘の力がなければ、僕はとっくの昔にこの世と別れを告げていたことだろう。
すっかり体力は回復したので、また元気よく竜王の傷跡を拡大させていく。



しかしマジックポイントも無限にあるわけじゃない。
魔法が使えなくなったとしたら、いったいこの戦いはどうなってしまうのだろうか。



頭上高く振り回したロトの剣が竜王の喉笛にできた傷をさらに深く切り裂くと、苦しげなうめき声が地鳴りのように響いた。
凶暴な眼差しで僕を見据え、激しい炎をを吐きかけようと大きく息を吸い込んだが、その喉笛が痛むのか格段にダメージが少ない炎の息程度しか吐けなくなってしまったようだ。



僕のマジックポイントが尽きるのが先か、竜王の体力が尽きるのが先か。
息が上がってきた僕の横っ面を、太い尻尾で張り飛ばされる。
首が千切れなかったのが不思議なほどの打撃にもなんとか踏みとどまり、どくどくと血が流れ出す竜王の喉笛めがけて体ごとロトの剣を突き上げた!



その剣は竜王の硬いうろこを突き破り、そのまま竜王の頭部を刺し貫いた。
滝のように緑色の血が流れ落ち、発狂したように暴れだした竜王に僕はロトの剣ごと弾き飛ばされてしまった。



もはや僕がどこにいるかもわからなくなってしまった竜王は、アレフガルドの大地そのものが震え上がりそうなほどのすさまじい雄たけびを上げ・・・そして、地響きをたてながら地に倒れた。



全身を緑色の返り血で染めたまま、荒い息のまま、ロトの剣を握りしめたまま、僕は、僕の足元に横たわる竜王の姿を見下ろしていた。
今度こそ正真正銘、竜王を倒したんだ。



僕は、竜王を倒したんだ!


===今日のリューン===
レベル  20
HP    77
MP    39
お金   12806
経験地 29087

道具   やくそう×4、かぎ×5、りゅうのうろこ、おうじょのあい、ロトのしるし、ほのおのつるぎ、キメラのつばさ
武器   ロトのつるぎ
鎧    ロトのよろい
盾    みかがみのたて
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