ドラゴンクエスト日記 -160ページ目
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001.ラダトーム城---旅立ち  on ドラゴンクエスト I

目の前に座る、いかめしい顔をした老人が僕にむかって言った。
「おぉ、リューン! 勇者ロトの血をひきし者よ! そなたが来るのを待っておった」



そうなのだ。
僕は、かつてこのアレフガルドの大地を救った伝説の勇者ロトの血を引いているらしい。
らしい、というのは、僕がその伝説の勇者に会ったこともなければ話をしたこともないからだ。

勇者ロトの末裔である証や、かつてロトが身につけていた武具防具などもすでに手元にはなく、行方知れずとなってずいぶん久しいと聞いている。



ということで、「自称」勇者ロトの末裔たる僕の一族は、あるときは変人扱いされながらも誰に迷惑をかけるわけでもなく、ごくごく普通の暮らしを営んできた。
しかし、それは突如現れた「竜王」の存在により打ち破られることになったのだ。



竜王が現れるはるか昔、アレフガルドにモンスターの君臨した魔の時代があった。そこにいずこともなくと現れた勇者ロトは、神から授かったという光の玉で凶暴なるモンスターたちを封じ込めることに成功したのだった。



それからまた平和な時代が続いていたのだが、これまたいずこともなく現れた悪魔の化身、竜王がその光の玉を奪い、闇にとざしたのだ。
そしてこのアレフガルドに、モンスターたちの君臨する魔の時代が再来することとなった。



竜王を倒すべく多くの冒険者が旅立ち、多くの軍勢が派遣されたけれども、誰一人として竜王の元までたどり着いたものはいなかった。
いや、たどり着いた者ぐらいならいたのかもしれないが、誰一人戻ってくるものはいなかったので、どちらでも同じことだった。



そして今から数年前、一人の予言者がこう言った。
「はるか昔、アレフガルドを闇に包んだ魔王を倒し、アレフガルドを救った”伝説の勇者ロト”の血を引く者が現れる・・・。その者こそが竜王を滅ぼすであろう!」



そうしてにわかに勇者待望論が巷を席巻し、世界の期待がちっぽけな僕の一身に集まる中、何年も考えに考え抜いていた。ご先祖様が偉大だったからといって、僕まで偉大かといわれればそういうわけでもないのだ。



これまで結構な箱入り息子で育てられてきた僕は、自分で言うのもなんだけど、どちらかと言えば居弱体質なほうだと思っている。
そんな僕が竜王を滅ぼす? その前にスライム一匹倒せるかどうかも怪しいところなんだけど、偉大なご先祖様のおかげかどうか、そこには誰も気づかないふりをしているみたいだった。



そうやって悶々としていたある日のこと。
いつまでたっても姿を見せない僕に業を煮やしたラダトームの王様が、僕をひっとらえるために軍勢を差し向けたというとんでもない噂を耳にした。
( ´д)ヒソ(´д`)ヒソ(д` )  Σ(゚皿゚;lll)マジェー!?



そこに至ってようやく僕は一大決心した。
自分としては、それなりに前向きに決断したつもりだ。
_| ̄|○ ニゲミチナシ...



そして僕はラダトーム王ラルス一六世の前に突き出され、冒頭のセリフを与えられたのだった。
普段着で現れ、何の証も持っていない僕を勇者の末裔だと盲目的に信じるほど、ラダトーム王はぎりぎりのところまで追い込まれていたようだ。

もしかしたら、竜王討伐という重荷を肩代わりしてくれるのならば、それがたとえロトの血を引いていようがいまいが誰でもよかったのかもしれない。



そっと周りを見回してみると、本来豪奢であるべき王の間は実に殺風景で、必要最低限の調度品しか備え付けられていなかった。長引く竜王軍との戦いの中で、金ばかりかかって実用性のない華美な装飾は取り外されていったのだろう。



その王の間に鎮座する威厳に満ちた王様は、その威厳と同じぐらいの苦痛にも満ちていた。それもそうだろう。
常にモンスターの侵略におびえ、それを打ち滅ぼすだけの力がもはやこの王国には、そしてこの王様にはないのだ。



辛いに違いない。
でも、僕も辛い。
王にできなかったことが、軍団にできなかったことが、たった一人の虚弱体質児にできるだろうか。



僕には力もなければ財産もない。武器や防具も持っていない。
あるのは、「血」だけ。そして、伝説の勇者の末裔という誇りだけだ。
しかしそれこそが他の誰も持っていない、僕だけが持つものだった。



やらねばならない。
竜王を滅ぼすだなんて、僕の背中には背負いきれないほど大きすぎる期待だけど、なんとか答えなければならない。
それが伝説の勇者ロトの血を引く、僕の運命なのだから。


===今日のリューン===
レベル 1
HP   15
MP   0
お金   120
経験地 0

道具  たいまつ
武器  なし
鎧    なし
盾    なし
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