ドラゴンクエスト日記 -148ページ目

013.ラダトームの町 遠西部---魔法使い  on ドラゴンクエスト I

いまから弁当のふたを開け、楽しい昼食タイムが訪れるはずだった。



しかし、背後でぱきり、と枯れ枝の折れる音がしたその瞬間、僕の脳裏に警戒警報が鳴り響いた。

すばやく立ち上がると同時にこんぼうを構え、先制攻撃されることを回避することに成功した。近年まれに見る反応スピードで、僕自身が驚いたほどだ。


左手に弁当箱を持ったままだったのが、いまいち迫力に欠けるところだろう。



距離にしてわずか一〇メートルほど。立ち重なる木々の向こう側に、これ見よがしに怪しい人影が見える。
真っ黒のフードをすっぽりとかぶり、その表情はまったく見えない。しかし唯一見える黄色く光る眼差しには、とても人間には真似できない狂気の炎が宿っていた。
|д▼)ヴー  Σ(゚д゚lll)アヤシッ!



魔法使いだ。その名の通り、炎の魔法ギラを操る人型モンスター。



呪文を唱えられたら、普段着もそこそこの僕の装備などあっという間に燃え尽きてしまう。大切な一張羅を灰にしないためにも、ここは短期決戦でいくしかない。
そう思ったはずなのに、左手に持った弁当箱をどこに置こうかなんていう、心底どうでもいいようなことを考えてしまった。



その隙を見逃すほど魔法使いは甘い相手ではなく、僕がちらりと弁当箱に視線を送っている間に、先制攻撃のギラを唱えられてしまった。
握り拳大の火の玉が、僕の顔をめがけてまっしぐらに飛んでくる。
ノォー!! Σ(lll;゚д゚) ω≡=-(▼д▼ )ギラッ!!



とてもかわせるものじゃない。


反射的に手で顔を覆ったが、今にして思えば大やけどする場所が顔ではなく手になるだけで、あまり効果的な防御とは思えなかった。
そして着弾!



あち、あちちっ!!



熱い!
熱いが、それほどでも・・・ない?


まともにギラの直撃を受けてたいしたダメージも受けてないのはなぜだろうか。
そして僕は自分の手を見て愕然とした。



ああっ! なんてことだ!
僕の身代わりに、左手に持っていた弁当箱が灰になってしまっていた。


なるほど、ギラはこの弁当箱に直撃したので、僕にはたいしたダメージがなかったのか。

しかし、楽しみにしていた昼食を永遠に中断させられたのは非常に悔しい。


もはや完全にこと切れた弁当箱を投げ捨て、こんぼうを握り締める僕の手にいつも以上の力がこもる。

お前のかたきは僕が取る!
マカセロ! ( `д´) 鹵クロコゲ...



うおおおおっ!



次の呪文を唱えられる前に、僕は一気に踏み込んでこんぼうを振り下ろした。
あまりの迫力に逃げるまもなく、ただ後ずさっただけの魔法使いの肩口に、勢いのついた一撃を与えた!
クラエッ!!((( `д´)ノ (▼д▼;)ヴァー



ぎゃあっ!



耳障りな悲鳴をあげ、魔法使いが肩口を押さえて距離をおく。


続いて追い討ちを狙いたかったが、敵もさるものでこんぼうの射程範囲をうまく離れてしまった。

だが、いまの一撃で魔法使いの右肩を完全に破壊したらしく、狂ったようなその眼差しは激痛のため、さらに禍々しさを増して僕をにらみつける。


右腕は完全に上がらないようだが、相手は魔法使い。左手一本あればなんとか呪文は唱えられる。

十分間合いを取って僕のこんぼうが届かないことがわかったのか、激しく息を切らしながらも、魔法使いはフードの奥でいやらしくニタリと笑った。


しかし、彼はまだ知らないらしい。

魔法を使えるのが、自分だけではないことを。


目の前にいるこんぼうを振り回しているだけの普段着の小僧が、実は伝説の勇者の末裔であることを。

そして僕は唱えた。彼の切り札であり、僕の切り札でもあった炎の魔法、ギラを。
トドメッ! ( -д-)-=≡ω (゚д゚ )ヴェ!?



最後の瞬間、「信じられない」という妙に人間臭い表情を残して、魔法使いは地面に倒れた。


初めての人型モンスターとの対決。
倒さなくては倒される、非情の世界に生きているとはいえ、後味が悪いことに変わりはない。

だが一時の感傷で腕の振りが鈍れば、そのまま敵は僕の喉笛を喜んでかき切ってくることだろう。


倒すべきは竜王ただ一人。


しかし、それまでにいったい僕はどれだけの数の命を奪っていかなくてはならないのだろう。

けれども僕には守らなくてはならない世界があり、そこに住む人々がいる。
一刻も早く竜王を倒し、人も、モンスターも争わなくていい世界にしなければ。



ぐぐぐぅ~。



珍しくまじめなことを考えていたというのに、昼食を中断されたことに立腹していた腹の虫が自己主張を開始した。


腹が減っては竜王を倒せぬ。
さらに悲鳴を上げ始めた腹を押さえながら、僕は早々にその場を離れていった。


===今日のリューン===
レベル 4
HP   24
MP   12
お金  389
経験地 181

道具  やくそう×3
武器  こんぼう
鎧    なし
盾    なし
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