自分にパワハラ!?
勉強でも、仕事でも、何でも、丁寧に、真面目にさえしていれば、何も問題はないって思って生きてきた。アトランティーナも真面目に生きることを否定しているワケじゃないって言ってた。ただ・・・過ぎるのは良くないって話。過ぎたれるは及ばざるが如しって言葉もあるしね(苦笑)そういえば、小さい頃からパパに<中庸ということを知りなさい>って言われてたっけ(汗)言われる度に<私には、よく分からないし、出来ないの!>って反発してたなぁ・・・。今更だけど、ごめんね、パパ。パパの言う通りだったよ(苦笑)「ところで、さっきからずっと黙っているけど、弦夜は、どうなの?あなたは、丁寧に、真面目にっていう感じでもないのかしら?(笑)」「どうなんでしょうね(苦笑)でも僕は、意外と手を抜きながら今日まで来たかもしれないです」「そうだ!それだ!」「何よ、ミウ、いきなり!ビックリするじゃない!」「あっ、ごめん(汗)今の弦ちゃんの話を聞いて、閃いたっていうか、気がついたの!私ね、手を抜くことが出来ないの。たぶん、そこが問題なんだと思う(苦笑)」「手を抜くことが出来ないことが問題ということではないかしらね(苦笑)手は抜かなくても良いんだけど、モノには限度があるということを知ることね」「モノには限度がある?」「そう。どんなことでも、どこで合格点を出すのかは、自分で決めるでしょ?試験みたいに点数が出れば分かりやすいけど、世の中の多くは、点数が出ないわよね?だから、合格ラインを自分で決める必要があるの。それは分かるわよね?」「うん、なんとなく・・・」「明らかに手を抜いてますっていうことをいつもしていたら、それはそれで信頼を損なうでしょ?でも、『やり過ぎでしょ?』っていうくらいするのもどうなのかなって思わない?第一、自分が疲れるはずなのよ。自分に無理を強いて何かをさせるのは、自分を大切にしているとは言えないし、もはやそれは、自分に対するパワハラよね?ミウは、大切な人に無理を強いるのかしら?決して、無理をさせたいとは思わないはずよ。それなのに、自分に無理を強いるというのは、どうなのかしらね」「でも、私は自分で『無理!』だって思いながらしてないよ!逆に、周りからは無理してるように見えてたとしても、私自身、正直『ツライ』って思いながらしてたとしても、しなかったら気持ちが悪いんだもん!気持ちが悪くてイライラするくらいだったら、した方が良くない!?」「そこが大いに問題なの(苦笑)つまりミウは、自分に厳し過ぎるということ。自分で、合格ラインを上げてしまっているのね。おそらく、ミウの中にはまだ、大変な思いをしなければ、認められない、もしくは認めてはいけないという思い込みがあるんじゃないかしら?それと・・・今、ミウは、怒っているでしょ?怒りは恐れが生み出すものだという話は覚えているかしら?ミウは今、何かを恐れているということなのよ(苦笑)」「・・・確かに、そうなのかもしれない。大変な思いや苦しい思い、辛くなるくらいやらないと何も達成できないって、まだ思ってるんだと思う。だから、今の怒りもそこだよね(苦笑)『無理しなかったら、何も叶えられなくなるじゃん!』っていう恐れが、今の怒りの裏側っていうか、奥にあるんだと思う」「でしょ?でも、この話は、ずいぶん前にもしたはずなのよね。願いを叶えるために大変な思いや苦しみ、辛さというものは不要だって。それは覚えているかしら?」「そうだよね(苦笑)願いを叶えるためには、全身に入った力を抜いて、ただひたすらに楽しむことって、アトランティーナが教えてくれた。でも、いつの間にか、私の中からスコーンって抜け落ちちゃってた(汗)もうっ、私ってば、なんで、こんなに大事なこと、忘れちゃうかなっ!・・・でも、自分のこと、責めない。大丈夫だよ、アトランティーナ」「思い出してくれて良かったわ、ミウ。それに、どんな時でも自分を責めないということは、ちゃんとミウの中に定着したみたいね。そこは一歩前進!褒めてあげるわ」「ありがとう。ところで、弦ちゃん。さっき、<手を抜きながら今日まで来たかもしれない>って言ってたけど、あれ、ホント?」「改めて聞かれると答えづらいな(苦笑)でも僕は、極力、無理はしないようにしているつもり。それが、周りから見たら手抜きをしているように見えたとしても構わないって思っているのは本当だよ」「なるほどね。その方が良いんだよね、きっと・・・」「ミウ、でもね、勘違いしないで欲しいことがあるの」「えっ、勘違いって何?」「努力をしない方が良いっているわけではないということ。大変な思いや苦しみ、更には辛い思いはする必要はないとは言ったけど、それは、努力をしなくても良いということではないの。そこは勘違いしないでね」「え〜っと、それって、矛盾してない?だって、大変な思いや苦しみ、辛い思いはする必要がないんだったら、努力もしなくて良いってことにはならないの?」「例えば、世界的に有名なアスリートの場合、彼らは何の努力もしないで、優秀な成績を残していると思う?」「ううん。たぶん、私なんかが想像すら出来ないくらい、めちゃくちゃ練習もしてるだろうし、努力してると思う」「そうよね。努力をしている過程で、苦しいこともあるでしょう。でも、彼らが続けるのはどうしてだと思う?」「オリンピックに出たいとか、いっぱいお金を稼ぎたいとか、理由は色々あるんじゃない?よく分かんないけど」「違うわね、ミウ」「えっ、何が違うの!?」「彼らが大変でも努力をし続けるのは、大変さや苦しさ、辛さよりも、自分の好きなことをしている喜びがあるからよ。だから、周りから見たら、ただ大変にしか見えなくても、本人にとっては、楽しいことでもあるの。ミウもそうなんじゃない?ミウが本当に好きなことをしている時は、どんなに大変でも、苦しくても、辛くても止めようとは思わないでしょ?それと同じなの。だから、努力している時、何かに取り組んでいる時、『大変で辛い。苦しい』って思ったら、それは、止めた方が良いですよっていうサインだと覚えておくと良いわ。楽しくて始めたことがあったとするでしょ?楽しいうちは、どんどん進めて行けば良いけど、楽しくなくなったら止めて、次に進む道を探した方が良いっていうことよ。人生は、シンプルでしょ?そうやって、始め時と止め時を教えてくれるのよ。だから、自分の感情に敏感であることは、とても重要なの」「へぇ〜、なるほどねぇ・・・。でもさ、それも社会の反感を買いそうな話だよね(苦笑)楽しくないから辞めます、なんて話が通るワケないじゃん!」「そうかしら?別に周りに認めてもらう必要も、許可してもらう必要もないんじゃない?だって、ミウの人生はミウのモノだし、弦夜の人生は弦夜のモノでしょ?本人以外、誰の許可が必要なの?神さまが許しているのよ。誰に反対する権利があるのかしら?」「う〜ん、やっぱり、メンタル強くないと難しいかもね(苦笑)」「それは、ミウの思い次第じゃない?社会や周りの人が認めない、受け容れない、許さないという前に、ミウ自身が認めない、受け容れない、許さないんじゃないの?」「う〜、そう言われると・・・そうなのかもしれない(苦笑)」「じゃ、なんでミウは、認めない、受け容れない、許さないの?」「楽しくないから辞めますって、なんか中途半端っていうか、無責任っていうか、そういう感じがしちゃうからかなぁ。特に仕事だったら、『仕事は遊びじゃないのよ!ふざけてんじゃないわよ!』って思っちゃうかも(苦笑)」「そこも大きな誤解よね。仕事も苦しみながらするものじゃないのよ。楽しみながら仕事すれば良いじゃない?なんで、楽しみながら働いたらいけないのかしら?楽しむこととふざけることは違うでしょ?そうは思わない?」「確かにそうだね。なんかさ、楽しいっていうワードを聞くと、そこにふざけてるっていう意味が乗っかってくるような感じがしちゃうのかもしれないね(汗)だから、好きなことだけするっていうのは、身勝手に思えるし、楽しみながら働くっていうのも、なんかピンとこないんだと思う」「おそらく、そう思うのは、ミウだけじゃないんでしょうね」「うん!私は、アトランティーナから色々な話を聞いてるから、まだ良い方だと思う。だって、何かを成し遂げるのに、楽しむことが必須だってことは分かってるから。成し遂げようとしてることが難しければ難しいほど、よりたくさん楽しむことが必要なんだってね。それは、この間のプレゼンの時に経験済みだからさ。ただ、目の前にある壁っていうか、山っていうか、それが高ければ高いほど、楽しむ余裕がなくなっちゃうんだよね(汗)だから、弦ちゃんが毎日の電話で励ましてくれたことは、私にとって、めっちゃ大きいことだったの。あの電話で元気とか、やる気とかをもらえてた気がするんだ」「そっか。少しでも役に立ててたのなら良かった。電話越しからもミウさんの緊張が伝わってきていたから、ここは何とか、気持ちを解してあげたいって、その一心だったことを覚えているよ。僕も余裕があるように感じていたかもしれないけど、結構、いっぱいいっぱいで、内心焦っていたんだよね。たまに芳村が近くに居て、声を殺して笑っていたから(笑)」「えっ、そうだったんだ!全然、気がつかなかった(笑)」「そうやって、二人の中で少しずつ思いが育っていったってわけね。微笑ましい話ね。きっと、芳村も私と同じように、微笑ましいと思っていたんでしょうね。私が、ミウの会社で部長をしている時に出会ってくれたら良かったのに!」「あっ、それは、芳村が敢えて避けたみたいですよ(笑)」「まったく!どういうことかしらね。今度、締めようかしら(笑)」「アトランティーナ、怖っ(笑)それにしても・・・。さっきのは衝撃的だった!」「えっ、何が?」「ほら、<それは、自分に対するパワハラよね?>って、アトランティーナが言ったじゃない。あの言葉を聞いた時、思いっ切り頭を殴られたような衝撃を感じた。その後で、ハートの真ん中を射抜かれた感じがした(笑)」「あっ、僕も思った!さすが、アトランティーナ、上手いこと言うなって思ってた(笑)」「それは、良かったということなのかしら?」「うん!めっちゃ良かった!だって、これからも思い出すと思うもん。自分に無理させそうになった時、『あっ、これって、もしかしたら、自分へのパワハラかも!?』って。そうしたら、そこで、一旦、立ち止まることが出来るでしょ?これは、かなり大きいよね」「そう、それなら良かったわ」「アトランティーナって、印象に残る言葉を言ってくれるよね?それって、スゴイと思う。私もアトランティーナみたいに、人の心に残る言葉を遣えるようになりたいなって思うよ」「そんなの簡単よ!自分で考えるのではなくて、いつも真っ白な状態にしておけば良いのよ。そうしたら、いつでも必要な言葉が舌の上にあるから、それを発するだけのこと。そうやって、何でもかんでも頭を使おうとするから、不本意なことになるのよ」「なんか、アトランティーナが言うと説得力あるけど、本当にそれだけで、私も人の心に残る言葉を発することが出来るのかなぁ?」「自分を信じること、自分を諦めないこと、自信を持つこと。もう忘れてしまったの、ミウ?」「あっ、そうだった(汗)」<次回へ続く>