気がついたら、さっき淹れたコーヒーも無くなっちゃってた。
『喉が渇くな』とは思ってたんだけど、コーヒーが無くなってた
ことにも気がつかないくらい、話に夢中になってたみたい（汗）
そこで、休憩も兼ねて、改めて飲み物を用意することになったんだけど、
弦ちゃんが＜僕に用意させてください！＞って名乗りをあげたんだよね。
思わず、アトランティーナと顔を見合わせちゃった（笑）何を淹れて
くれるのかは分かんないんだけど、弦ちゃんに任せてみようってことに
なったんだ。
「はい、出来ました！味もそれなりに自信があります！飲んでみてください」
「＜飲んでみてください＞は良いんだけど、その前に、何を淹れてくれたのか、
教えてもらえるかしら？色から判断すると、これはミルクティーなの？」
「あっ、すみません。つい、気持ちばかりが先走ってしまって（汗）
そうです、ミルクティーです！っていうか、チャイですね。ここは、香辛料も
色々あって、淹れてみたいって昨日から思っていたんですよ（汗）」
「弦ちゃん、チャイが好きなの？」
「うん、特に自分で淹れたチャイが好きなんだけど、ウチには香辛料が揃って
ないから、なかなか淹れられなくて。買いに行けば良いのかもしれないけど、
男一人で香辛料を買いに行く勇気が出なくて（汗）」
「弦夜、そういうところもミウと一緒に居たら、変わると思うわよ。
ミウなんて、どこにでも一人で行っちゃうものね（笑）」
「そうだね。人の目とかって、気にならない方だと思う。だから、なんで
男の人が一人で香辛料を買いに行くのに勇気が必要なのか、イマイチ
分かんないかな（笑）」
「家に香辛料がないのに、今までどこでチャイを淹れていたの？」
「あの・・・元カノの家ですね（汗）」
「なるほどね。ということは、久しぶりに淹れたってことかしら？」
「ま、そうなんですけど、大丈夫です！さっき、味見してみましたから。
ちゃんと美味しく淹れられましたよ」
「へぇ〜、チャイか・・・。そういえば、前にアトランティーナも淹れてくれた
ことあったよね？」
「そうだった？私じゃなくて、ミウが淹れたんじゃなかった？」
「えっ、私！？もう、どっちが淹れたのか忘れちゃったね（笑）でも、あの時の
チャイも美味しかったよね」
「そうね。じゃ、弦夜のチャイはどうかしらね。頂きましょう」
アトランティーナと一緒に恐る恐る、弦ちゃんが淹れてくれたチャイを
飲んだんだけど、これが、なかなか美味だったの。確かに、外で飲む一般的な
チャイとは、少しだけ違う感じなんだけど、それでも美味しかったんだ。
弦ちゃんオリジナルのチャイ、またリクエストして淹れてもらおう！って、
まったりしてる場合ではない！早速、浮気癖のある人でも浮気を
封じ込められる秘策とやらを聞かなくちゃ！
「ね、アトランティーナ、早く教えてよ。浮気癖のある人でも浮気を
封じ込められる秘策ってヤツ」
「ミウ、浮気願望があるわけでもないのに、やけに浮気に関して興味津々ね。
どうして？まずは、その理由を聞かせてもらおうかしら？」
「私も過去に浮気されたことがあって、イヤな思いをしたってこともあるけど、
周りでね、意外と多いんだよ、浮気されたっていう話。そういう時、前は一緒に
怒ったりしてたんだけど、一緒に怒っても何の解決にもならないでしょ？
それに、グチってる人も聞いてる私もエネルギーが下がるだけだなって、
アトランティーナに言われて気がついたから、そういう時に良いアドバイスが
したいなって思ったの」
「そういうことね。確かに、浮気ってなくならないわよね（苦笑）それと、
男は浮気をするものという刷り込みみたいなものもあるからね。本当は、
そんなことないのにね。まずは、その意識を変えることが重要なのよね」
「なるほどね。それも良いアドバイスになるかも！＜男は浮気をするものって
思ってない？その考えを改めないと、また浮気されることになるよ＞って。
ね、そういうことだよね？」
「そうね。アドバイスの最初の一歩としては良いと思うわ」
「そ・れ・で、秘策は？」
「相手のことをとことん信じること。それが秘策よ」
「えっ！？それだけ？」
「ええ、それだけよ」
「ウッソ〜！そんなの秘策でも何でもないじゃん！」
「あら、どうして？なんで秘策でも何でもないの？」
「だって、信じるだけなんでしょ？そんなの秘策とは言わないよ」
「そうかしら？じゃあ聞くけど、今、ミウがおつきあいしている人が、
浮気癖のある人だとしたら、ミウは、その人のことをとことん信じることは
出来る？」
「う〜ん、それは難しいかな（汗）だって、浮気癖があるんでしょ？
信じろって言われても信じられないよね（苦笑）」
「でしょ？相手をとことん信じるというのは、言うのは簡単だけど、
いざやろうと思うとかなり難しいことなのよ」
「だね。でも、難しいからって、秘策になるの？弦ちゃんは、どう思う？」
「僕は浮気癖があるわけではないので、よく分からないけど、相手が
自分のことを１００％信じてくれていたら、浮気がしづらくなるのは
確かだと思うよ。アトランティーナは、そこが狙いなんでしょ？」
「さすが、弦夜！その通りよ。人には、誰にでも良心があるの。だから、
その良心に訴えかけることが一番効果があるのよ。そして、もう一つ効果が
あるのは、そういう相手をとことん惚れさせること。自分がとことん惚れた
相手が自分のことを１００％信じてくれていたら、裏切れないでしょ？
だから、浮気癖がある人でも浮気を封じ込めることが出来るのよ」
「とことん惚れさせるって？何をしたら、そうなるの？だって、
つきあい初めの頃は、ラブラブかもしれないけど、時間の経過と共に気持ちなんて
冷めていくんじゃないの？」
「ミウ、悲しいこと言わないでよ。確かに、最初の頃の情熱は、落ち着く
かもしれないけど、愛は形を変えて残り続けるでしょ？例えば、家族に
対するみたいな愛情ね。俗に言う情ってものだけど。一緒に過ごした相手には、
少なからず情は湧くものでしょ？」
「ま、それはそうかもしれないけど・・・」
「じゃあ、ミウは自分のことを１００％信じてくれる人のことを裏切ることは
出来る？」
「私は出来ないよ。っていうか、そもそも浮気癖とかないし」
「浮気に限らずよ。どんなことでもそう。誰か一人でも自分のことを本気で
愛してくれて、１００％信じてくれる人がいたら、人は道を踏み外すことは
ないものよ。弦夜、守護天使として、人に付いていた時、感じなかった？」
「あ〜、ありましたね。道を踏み外すまではいかなくても、例えば、子供が
不良と呼ばれるようになった時ですよね。両親がその子のことを諦めずに、
愛情を注いで、必ず道を改めてくれると信じていると時間はかかるかも
しれないけど、道を踏み外すことはなかったですね。
逆に、親が子供のことを諦めて、放任してしまった時は、道を踏み外して
しまったりということもありました。そういうことですよね？」
「そ。そういうこと。人はね、自分のことを信じてくれる人のことは
裏切れないように出来ているのよ。信じてくれるということは、愛してくれて
いるということだから。その愛が届くのよ。だけど、そこに押しつけが
あったらダメなのよ。つまり、無償の愛が大切ということ。
その人が、ただ存在しているだけで、価値があるということを認めていること。
それが無償の愛なの。優しくしてくれなきゃ愛さないとか、お金を自分のために
遣ってくれなきゃ愛さないとか、そういうのではなくてね。
ミウも想像してみて。誰かに無償の愛を捧げられた時、その愛を捧げてくれる
人のことは、何があっても裏切れないと思うから」
「う〜ん、なんか分かるような気もするけど・・・。でもさ、逆に浮気を
しても許してくれたら、何度でも浮気を繰り返すってこともあるんじゃない？」
「そういう相手とは、一緒に居る意味がないから別れれば良いのよ。
というよりも、まずは、自分のことに対して無償の愛を注ぐことが第一ね。
そうすれば、無償の愛を理解できる人しか寄ってこないでしょ？
だから、自分のことを１００％愛して、自分のことをとことん信じて、
自分のことを決して諦めない。これが出来た時、誠実で、愛情深い相手と
出会えるし、結ばれるということよ」
「じゃあ、秘策っていうのは、相手のことを１００％信じるってことなのかも
しれないけど、それが出来るようになるためには、まずは、自分のことを
１００％信じられないと実現しないってことだよね？」
「ま、そうなるかしらね」
「さっきアトランティーナが言った、自分のことを１００％愛して、
自分のことをとことん信じて、自分のことを決して諦めない。これが出来たら、
きっと自信も持てるようになる気がするもん。自信が持てるようになると、
ちょっとしたことじゃ動じなくなるから、それもまた、浮気を封じ込めるには
良いのかもしれないね」
「ミウ、理解してくれたみたいね。良かったわ。弦夜も援護発言、ありがとう」
「いいえ、少しでも役に立てたなら良かったです。やっと、元守護天使っぽい
ことが言えて、僕も安心しました（笑）」
「確かに！やっと、弦ちゃんが元守護天使に見えたかも（笑）」
「なんかミウさん、ちょっとひどい（笑）」
「あとね、それでも、どうしても関係維持が難しいって感じた時は、別れを
選択した方が良いんだけど、この話もした方が良いかしらね」
「うん！それも聞きたい！だって、別れるのは悪だって思ってる人、
結構いるからね」
「じゃあ、少し休憩してから、その話をしましょうね」
「うん！ありがとう、アトランティーナ」
＜次回へ続く＞