2014年05月31日 亀川にて
水温25℃、もう、海水温がチヌの生活を脅かす心配はなくなった。魚にはそれぞれ適正水温がある。チヌ(黒鯛)は、日本においては南方系の魚で、北海道には生息していない。が、沖縄にもいない。東北から、九州本島周辺が生息海域の魚である。温暖化により北限は北上しているらしいが。
さて、本日はお日柄も好く・・・お天気も好く、風も無く。先ず先ずの釣り日和でありますが、目覚めたのはお昼前。先日、テレビ番組で「よく寝るって事は、脳が若い証拠です。脳が老化すると必要とする睡眠時間が減りますから」なんて、言っていたが、果たして、必要な睡眠時間は脳年齢だけで決まるのか、甚だ疑問である。
先ずは、お仏壇にお茶と線香をあげて、新聞を読みながらの朝食。そして、洗濯物を干し、徐に釣りの準備を始める。僕の場合、ここから第一投を投入するまで概ね2時間かかる。所謂(いわゆる)愚図って奴だ。その割りに忘れ物が多い。
今日は、何処に行こうか?今、実績のあるポイントを二箇所持っているが、同じ所で同じ釣果ってのも芸が無い。僕の身上は実験的釣行である。故に、今日はちょいと御無沙汰している亀川に言ってみることにした。
防波堤にはファミリーが二組。特に狙いの魚がある訳でもなく、五目釣りをしているようだ。ファミリーの釣りと言えば、サビキ釣りに投げ釣り。仕掛けが簡単、少ない道具で、色々釣れる・・・現実はそんなに甘くない。ゼンゴ(鯵の赤ちゃん)だって、一年中防波堤の周りにいるわけではないし、砂地の海底なら何処でもキスがうじゃうじゃいると思うのは幻想だ。凡そ(おおよそ)のファミリーが貧果に項垂れて帰ることになり、父親の権威は失墜するのだ。釣れない釣りに飽きた子供は防波堤の上を走り回る。他人の餓鬼の喚声は実に五月蝿い。
しかし、それよりも問題なのは、一面に浮いたゴミである。ゴミと言っても人間の出した人工的なゴミではない。千切れ藻だ。GWを過ぎると、冬に育ったヒジキやカジメが千切れて海面を漂い始める。防波堤など無く、全てが自然の海岸だった頃は、あっという間に浜に打ち上げられて鮒虫の餌になっていたのだが、護岸された岸壁では打ち上げられようも無く、長時間、海面を漂うことになる。
これからは、ゴミとの戦いだ!
少し迷ったが、どの防波堤も多かれ少なかれ、千切れ藻は浮いている。問題は風向きと潮流で、海面の表層がこちらに向かって流れる場所では、千切れ藻が集まって一面を覆う事になる。幸い、この場所は流れ込む川からの水が、沖に向かっての流れを作っているので一定量以上の藻は溜まらない。
小一時間ほど、いつもの場所で竿を出していたが、溜まる一方の千切れ藻に痺れを切らし、少し沖側に移動する。そうこうしているうちに撒き餌が効いて、グレの猛攻が始まった。オキアミは中層の木っ端グレにやられ、練り餌は底近くにいる足の裏サイズのグレとクサフグにやられる。
干潮で、水深が一ヒロ程度のこの場所では、浮子だご釣法以外にかわす方法は無いのだが、それとて底にチヌが居ればこその釣法であり、底近くにグレが居ると言う事は、チヌが居ないと言う事なので、暫くグレを釣って遊ぶことにする。と、言ってもグレがチヌに比べて口が小さく、2号のチヌ針は、なかなかグレの口に入らない。数度のアタックで、練り餌は針から落ちる。足の裏サイズのグレを二、三枚釣ったところで、浮子が沈んで海中に留まった。
もしかして?
せ~~~~~~~か~~~~~~~~~~~い!
34センチのチヌ様登場!
防波堤の真ん中辺りで投げ釣りをしていた爺さんが走り寄って来る。先端で投げ釣りとサビキ釣りの両刀で釣りをしていたニーチャン(二人組み)も見に来る。
「さすがだ」「立派だ」「大物だ」と爺さんが持ち上げるので「良かったらどうぞ」と水を向けると、儀礼を知る爺さんは、二度断って三度目に「そうですかぁ?じゃあ、遠慮なく」と持ち帰った。
それから、グレの合間に2枚のメイタ(25センチ)を追加して日没を迎えた。グレちゃんお休みの時間である。稀に宵っ張りのグレも居るが、大方のグレは、日没と共に就寝タイムに入る。
そして海は砂漠と化した。
浮子は、ピクリともせず、オキアミは齧られる事さえない。
川から、酸素の豊富な水が流れ込んでいる場所とは言え、昼間の濁りを考えると、ここも貧酸素なのかも?動物性プランクトンの爆発的発生は、大量の酸素を消費し、光合成が止まる日没は、酸欠の海になるのではないだろうか?
宵の口独特の風が吹き出した。高気圧に覆われ、無風の状態で日が落ちると、地面が冷え、温度変化が緩やかな海の方が温度が高くなる。そこに上昇気流が発生し、薄くなった空気を補うために陸から空気が移動してくる。つまり、これが風になる。
今日は、穏やかに晴れていたので、この風が、結構激しい。
「そろそろ見切りを付ける頃合かな?」
田ノ浦ビーチの花火の音がした。午後8時だ。決まった時間に10発くらいが打ち上げられる。体を捻って数発の花火を眺める。あそこからここに音が届いた頃には、もう半分近くが打ち上げられた後だ。あっという間に花火は終わり、視線を戻す・・・
ケミ蛍が数メートル沖に移動して沈んでいる。
竿を手に取り。ベールを閉じて、竿を立てる。
魚だ!
首を振る感触がチヌを想像させるが、パワフルな引きは鯔にも似ている。兎に角、チヌと鯔の引きはよく似ている。そして、この魚は、ビッグサイズらしいパワフルな引きをする。
が、ここの海底は砂地で、障害物と言えば、足元にチョロチョロ生えている海藻くらいのものだ。存分に沖で走らせて弱ったところを・・・方向を変えてこちらに突進してくる。
やばい!
海藻に絡まったら一巻の終わりだ。先日、藻だらけの防波堤で使った太仕掛けではないから、藻を引き千切る強度はない。
NISSIN INGRAM チヌ IM LTD-R 0.6号を満月のように曲げて耐える。
何とか、藻に絡まる最悪の事態は回避した。
海面に浮かせ魚が海面を叩くと、丁度帰ろうとしていた先端のニーチャンが足を止めた。
が、魚は再び水面下に。ここで慌てては、しくじる。潜る魚に合わせて竿を倒し、魚が弱るまで慌てず騒がず慎重に。
漸く、観念した魚が海面に浮いてくる。星明りで見たその魚体は細長く見えた。
まさか・・・鯔?
掬った魚は、タモ枠いっぱいの大きさで、ギリギリ50センチのチヌでした。
「おぉ!久しぶりの、今年初の年無(50センチオーバーの黒鯛)だぁ!」
見ていたニーチャンが「さっきのより大きいですね」「割と大きいですね」
「割と」だとぉ!?
まぁ、チヌを釣らない人には分からないことだ。50センチオーバーのチヌを釣ることがどんなに難しいことか。そして、そのチヌを釣り上げた釣り人の喜びもまた理解できまい。
年無は初めてではないが、この場所で釣った事に感動した。今の目標は、日出の海で年無を釣ることである。
ここはぎりぎり別府市内。目標達成とはいかないが、一歩近付いた感動があった。
魚をスカリに入れ、仕掛けを投入したものの、何かモヤモヤしたものが胸にある・・・浮子がロケットの様に横走りをする。
竿を立てるが魚は掛からない。
さっき、先端のニーチャンが釣った中鯵(30センチくらい)かも知れない。もしかしたら年無の群がいるかもしれない・・・
が、やっぱり、モヤモヤを解消しようと決断し、撒き餌を捨て、道具を畳んで釣具屋に走った。
「悪いけど、魚拓取ってくれる?明日でいいから」
「わかりました」
「絞める前に計量してくんない?」
「は?」
「ギリギリなんだよ。50あるかないか。絞めると縮むからさ」
「はぁ・・・」
釣具屋の店員はドライだ、大物の魚は見慣れている。
釣り人の感動は理解しようとしないし、魚のサイズにも無頓着だ。
魚は絞めれば、身が縮む。冷やせば、身が縮む。凍らせれば更に縮む。
先日、70クラスの真鯛を持ち込んだ時は、暴れる魚にビビって、計量前に絞めやがった。お陰で正式な身長は69.5センチ・・・まぁ、真鯛だからいいんだけど。
それでも店員の無神経さに呆れたもんだ。
今日の店員はその店員ではなく、細やかな神経を持っているから、言わなくてもいいかな?と思ったんだが、念のため。
が、バッカンに入れた魚を見たら、既に御臨終であった。
二人で笑い、検量した。
50.4センチ。50センチを超えること、僅かに4ミリ。それでも、50オーバーには違いない。
自己記録の更新ではないが、あの場所で釣れた記念と記録のために。
「じゃあ、魚拓よろしくね」
「はい。明日の朝一で取ります」
翌日、僕が仲間内でヒーローになった事は言うまでもない。
以下余談
因みに、知り合いの釣り倶楽部に所属していれば、僕が前期のチヌコンテスト優勝だった。前期の最終日5月31日の釣果だから。
しかし、我侭が許せない性格の僕は、倶楽部には所属しない。例え、釣りの師匠が副部長を勤める倶楽部でも。
そして、ヒーローインタビューの後、その師匠の我侭が岸壁の上で話題になった。
なんと、前期の締め切りを一日延長したと言うのだ。
「6月1日が日曜日だから、そこまで前期にしよう」
と、数名のメンバーがLIMEで話し合い決めたらしい。他の会員は、そのLINEをモニターしていたりメールで知ったそうだが・・・
何年か前にも、後期のスタート直後にメンバーの一人が超大物を釣り上げると、「これじゃあ、これから半年面白くねぇ」と、それまで一枚の長さで決めていた勝敗を、突如二枚の長さの合計に変更した。
その時に、散々、説教したのだが「優勝が決まったレースは面白くねぇ!」と言い張ったのだが、またもや事件を起こした師匠。今回は、ペナルティを食らうかもね。
僕がメンバーだったら「撤回しなければ、脱退する」ってことになって、師匠とも絶縁になっただろうな。
だから、僕は群れるのが嫌いなんだ。必ず、その団体を支配しようとする輩が出てくるから。