💊サプリ疑惑で辞任──その裏にある「日本の規制」と「大麻イメージ」
ビール大手・サントリーの新浪剛史会長が、違法性が疑われるサプリメント購入をきっかけに9月1日付で辞任しました。福岡県警は8月下旬に自宅を家宅捜索。本人は「適法と認識」だったと説明していますが、会社はガバナンス上の観点から辞任を受け入れたかたちです。報道は「サプリに大麻関連成分が含まれていた可能性」を示唆しています(経緯の概略:ロイター、WSJ、朝日)。
もちろん事実関係はこれから精査されるべきですが、ここで注目すべきは「カンナビノイド(CBD/THC等)」をどう理解・線引きするか、そしてメディア受容=イメージの問題です。
🌿 世界と日本のギャップ(2025年版アップデート)
海外ではCBD(カンナビジオール)やCBN、CBGなどが健康・医療目的で広く活用され、米国では「乾燥重量でΔ9-THC 0.3%以下」をヘンプと定義(Farm Bill)
──多くの地域で「ごく微量のTHCを含んでも可」とする閾値(しきい値ベース)のルールが主流です。対して日本は長らく(値を明確に出さないものの)“実質ゼロ”を求める運用でしたが、2024年12月12日の制度改正後は、製品形状ごとにΔ9-THCの「残留限度値」を設定する仕組みに転換。(ただし、その基準は、その前よりはるかに厳しいものになってしまった! 油脂10ppm、水溶液0.1ppmなど)
限度超過は「麻薬」該当の可能性があるとして厳格に扱われます(厚労省)。
同時に栽培制度も刷新され、栽培用種子はΔ9-THC 0.3%以下を用いる等の要件が導入されました。これは畑(栽培)の基準で、完成品の許容値とは別物です(ここ、混同しがち)。
要するに:
世界は“閾値で管理”が多数派。日本も24年末から(数字化しない)形式的ゼロ→(数字化した)残留限度値へと制度は前進。規制はより厳しく。ただし依然として運用は厳格で、越えれば直ちに違法領域です。
📰 イメージの連鎖(ゼロか100か、の罠)
報道で「違法サプリ」と一括りになると、多くの人は「大麻=危険」という連想を強めます。実際にはCBDとTHCは薬理が全く異なるし、用量・含有率・製品形状でリスクは変わるのに、ゼロか100かの議論に吸い込まれやすい。薬はベルカーブ(用量反応)で効き目と副作用が動くもの。
本来は「科学的な線引き」×「適正な情報開示」で、濃淡(レイヤー)を理解していく必要があります。
☢️どこが「違法」になりやすいのか(仕組みの整理)
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完成品のΔ9-THC:2024年末から製品形状ごとの残留限度値が明確化。超過=麻薬該当の可能性で、行政の注意喚起も増えています。
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栽培と完成品の基準は別:畑の0.3%は栽培用の要件。完成品は形状ごとの厳しい残留限度で評価されます。
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合成・派生カンナビノイド:Δ8-THCやTHCP等、法的整理が難しい派生物もあり、ラベリング不備が混乱を招きます(海外でも健康被害の注意喚起あり)。
💡 問題は「規制」か「倫理」か
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もし法を犯していたなら、責任は当然。
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ただ、「多くの海外では合法、日本では違法」というズレが背景にあるとすれば、問題は個人の倫理というより制度設計と運用(線引きと周知)の不備の側面が大きい。
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日本は2024~25年の法改正で医薬品としてのカンナビノイド活用に道を開いた一方、一般流通のCBD製品は厳格チェック+残留限度超過でアウトという極めて厳しい運用が続きます。ここに“誤解とトラブルの温床”が残っています。
🐤 今回の教訓
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外国製品を独断で輸入しないこと。(例え信用ある人が、”大丈夫だ”と太鼓判を押しても。THC Freeとラベルに書いてあっても)
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外国製品を独断で持ち込まないこと。国内の分析証明書つき製品を選ぶ。
それでも「イメージ」は大切
今回のニュースは残念ながら、また“大麻=危ない”の刷り込みを助長しかねません。だからこそ、私たちは“線引きの言葉”で語り直す必要があります。
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THCとCBDは違う。
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CBD製品は信頼おけるブランドのものを、日本で購入する。
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科学のスケール(閾値・用量)で安全と効果を測る。
そのうえで、臨床研究の推進と正確な情報発信。何より「規制強化=安心」ではなく「科学的理解=安心」に向かう必要がある。ここを前に進めない限り、社会はゼロor100の思考停止から抜け出せません。


















