📄「元の体に戻りたい」──ワクチン後遺症と“7,000枚の書類”という現実
この番組を長く追っている大石邦彦キャスターは、ワクチン被害を発生当初から報じ続けてきた数少ないジャーナリストである。
新型コロナワクチンの後遺症に苦しむ患者が「元の体に戻りたい」と訴える姿は、あまりに重い。
高校教諭だった女性は接種後に寝たきりとなり、復職を望みながらも救済制度に翻弄され、障害年金すら認められなかった。
「救済」という言葉が、むしろ虚ろに響く。
🔹救済を阻む“書類の山”
とりわけ目を引いたのは名古屋市役所担当者の発言である。
「人によって違いますが、こちらは段ボール1箱で1人分になります。多い方だと7,000枚、8,000枚という方もいらっしゃいます」
!?……7,000枚!?
論文数十本に匹敵する分量である。
診療録、検査データ、領収書、診断書──あらゆる紙を提出させ、段ボールに積み上げる。光景はまるで昭和時代の役所仕事がそのまま蘇ったかのようだ。
これを誰がどう精査するのか。
デジタル保存されるのか。
紛失や劣化、あるいは改ざんのリスクは考慮されているのか。
結局は「書類を積み上げている」という既成事実づくりに過ぎないのではないか。
むしろ「これだけ膨大だから審査に時間がかかるのです」と暗に訴えたいだけではないのか、と勘繰りたくもなる。
🇯🇵国と自治体の“ねじれ”
記事はさらに、自治体が「認定すべき」と判断したケースを国が覆す実態を描いていた。
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自治体は因果関係を五段階で評価する。
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そのうち「認定すべき」と結論を出しても、国は「評価不能」として却下する。
この二重構造は、患者にとって“二度の絶望”を意味する。
自治体が寄り添おうとしても、国の最後のハードルがすべてを打ち消すのである。
👶薬害の記憶と重なる未来
記事の最後に登場するのは「薬害防止の日」。
過去の薬害を反省し「二度と繰り返さない」と刻んだ碑の前で、新たな被害者が「元の体に戻りたい」と訴える。
歴史は繰り返す。
問題は、私たちが「薬害を薬害と認めないままにする」ことではないか。
🐤私の違和感
この問題の本質は、救済が進まないことにある。
しかしそれを阻んでいる象徴こそ“7,000枚の書類”の山である。
救済の入口で患者に課せられるのは治療ではなく、膨大な紙の提出である。
これは制度そのものの矛盾である。
電子カルテやAIを駆使すれば、因果関係の分析やケース比較は格段に効率化できる。
それなのに「紙に証明させ、紙で判断する」。
この構造は、日本の医療行政の“化石化”を如実に物語っている。
🔹記事から拾うべき論点
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障害年金不支給:寝たきりでも「固定していない」として却下される理不尽さ。
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自費治療の不認定:保険外で試した治療や薬は、救済対象にならない。
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国と自治体の温度差:自治体が寄り添っても、国が切り捨てる。
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評価不能の乱発:副反応報告の大多数を「評価不能」で処理する姿勢。
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薬害との連続性:過去の薬害と同じ轍を踏みつつある現実。
🖊️結びに
「元の体に戻りたい」──この切実な願いが、なぜこれほど遠いのか。
患者の声を追えば追うほど、「救済制度」が患者をさらに苦しめる矛盾に突き当たる。
形式主義に塗り固められた“7,000枚の書類”は、国の責任回避の象徴である。
医療とは本来、希望と可能性を見出す営みである。
その原点を取り戻すことこそ、いま最も求められていることだ。
