皆さんこんにちは! あおぞらクリニック眼科形成外科 副院長の鶴田優希です。
今日は更年期の方によくある性交痛について、その治療法や予防方法をお話をしていきます。
更年期のあそこの痛みの相談
最近診療をしていると、数十年ぶりに性交渉の機会を持ったら以前は楽しめていたのに、セックスが楽しめなくなってしまったとおっしゃる方が多いです。
楽しめなくなったというのは、具体的には
- 以前は悩んだことがなかったのに、最近は行為をするたびに痛い
- 痛くて入らない
- あそこがヒリヒリしてしまう
- 性行為をした後、数日間ずっと膣がひりつく
などなど・・・
そんなお悩みをおっしゃる方が多いです。

患者様のご年齢は大体40〜60代。
難しいのはこの時期にこういった経験をすると、"私はもう女として終わりなのかなぁ"とか、"好きな人とセックスを楽しむ資格は無いのかな"などと感じて、自分を責めてしまったり自己肯定感が下がってしまったりするということです。
ここで私が声を大にして発信したいのは、そんな変化は女性なら誰にでも起こり得ることであるということです。
何かその人自身に特殊な欠陥や落ち度があって、性交痛という症状が起きているというわけではないんです。
ここからは更年期前後に女性の体に起こる変化について、医学的にお話をしていきます。

更年期障害の意外な症状、膣萎縮とは
更年期障害と聞くとどんなイメージですか?
気分のアップダウンが激しくなったり、顔が火照ったり疲れやすくなったり、息切りしたり・・・。そんなイメージが強いですよね?
ですが、意外と知られていない更年期の症状として膣の萎縮というものがあります。
膣の中には粘膜があります。
その粘膜はもともと弾力があって、柔らかくいつもちょっと湿っている、水分が豊富にある組織です。
そしてそんな膣の内部の状態を保っているのは、女性ホルモン。
一方で、女性は年齢を重ねると、だんだんとこの女性ホルモンというものの分泌が減っていきます。
「更年期」と呼ばれる40代後半〜50代前半ぐらいにかけての何かと辛い時期。
この時期には、女性の女性ホルモンのバランスが急激に崩れ、そのためにさっきあげたような様々な症状が見られるのです。

じつはこれ、膣においても同じです。
女性ホルモンの分泌が減ることによって膣の潤いが一気に減少し、乾燥し弾力がなくなり、粘膜が痩せていってしまうんです。
水分やハリを失って緩んでいくので、乾燥だけではなく、膣の緩みも一緒に生じます。
”性交渉のときの当たる感覚が悪くなる”というのもちろんありますが、それだけではなくお風呂に入った後にお湯が漏れてしまうとか、動いたときに膣からおならのように空気が漏れてしまうとか。
ほかにも「ふとした瞬間の溺れ」実はこれも膣などを支える組織の緩みによって起こる症状です。

更年期の性交痛はなぜ起こる?
以前は挿入されたペニスをしっとり優しく包んでいた柔らかい膣の粘膜、これが女性の加齢とともに水分量を失い、乾燥して弾力を失うのです。
それによってうまく広がらなくなり、今まで痛くなかったサイズのペニスでも痛みが生じてしまったり、擦られたときに粘膜が避けてしまったりします。そして、それのせいで数日間ひりつきが続いてしまったり、出血しやすくなったりということが起きるんです。
これには実は医学的な名前がついていて、GSM=閉経後泌尿生殖器症候群といいます。
クリニックのブログではこれについてより詳しく解説をしているので、ぜひその記事もご覧ください。
更年期の性交痛の治し方①レーザー
では、ここからはそんな多くの女性を悩ませる更年期の性交痛について、その治療法を解説していきます。
あおぞらクリニックでは、なんと日本にまだ10台しかないという最新型のインティマレーザーという機械を導入しました。

これはまさに更年期の女性の膣の状態を良くするためのレーザーとして海外で承認を受け、広く使用されています。
特殊なレーザーを膣内に360度奥から手前へと全体に当てていき、それによって乾燥し萎縮した粘膜に潤いや弾力を与え、粘膜の質を若い頃のように改善していくというレーザーです。
性交痛だけでなく、膣の緩みやひりつき・濡れづらさ、その他様々なお悩みに対して使用されています。
インティマレーザー受けてみた!
ちなみに私の診療における1つのポリシーとして
“自分がやってみていいと思ったものしかすすめない”
“自分”自身も受けたい施術を、自信をもってご案内する”というものがあります。
一生に一度しか受けない手術などに関してはその限りではないのですが、美容皮膚科やレーザー系の治療に関しては、まずはしっかりと下調べをした上で自分が受けてみることを重視しています。
私自身や大切な家族・親友に胸を張ってすすめられるような施術しか皆さんにおすすめしないと決めています。
というわけで、
体を張ってみんなの前でおまたを広げてこのインティレーザーを受けてきました。笑

あおぞらクリニック眼科 形成外科をオープンする少し前でした。気づけばもう1年以上前ですね。看護師さんやスタッフさんに動画を撮られながら、業者さんに触られながら実際にうちの看護師の1人目の症例としてインティマレーザーを照射してもらったんです。
やる前は膣の中に麻酔を塗られるのなんて初めてで、それがちょっとしみる感じがくすぐったくて嫌だったり、皆の前でお股を広げなきゃいけないっていう恥ずかしさがわかったり、意外と股関節が疲れるなっていうことがわかったりしました。
ですが、照射中は全く痛みがなく、違和感くらいで楽に過ごせました。恥ずかしさも最初だけで少し時間が経てば平常心に戻り「どう?難しくない?」なんて看護師さんに声をかけながら受けることができました。スマホを触っていてもよさそうです。あの日が懐かしいですね・・・笑

インティマレーザーのダウンタイム
ちなみに、ダウンタイムはほとんど無いのですが、私の場合は膣に塗った麻酔のせいか当日数時間はトイレにいきたくなる感覚が多発しました。笑
その後1ヵ月経ってもう一度照射をしてもらったのですが、2回受けた感想としては、お湯漏れが減ったのが大きかったです!
出産経験とかはないのですが、私はもともとたまにお湯漏れがあり、30代になってから少し困っていました。お風呂から出るたびに少ししてから膣からお湯が出るんですよね。実際にお湯漏れで困っているという女性は診療していると多いです。
1回目はあまり変化がわからなかったのですが、2回受けたらなくなりまして、これは生活の質がかなり上がるなぁと実感しました!締まりが良くなった感覚もあります。

更年期の性交痛の治療法②膣ヒアルロン酸
ヒアルロン酸と聞くとどんなイメージですか?
医学的にはヒアルロン酸とは私たちの粘膜やお顔の皮膚など様々な臓器に含まれている成分で、水分を保持する役割や組織に弾力を持たせる役割があります。
さっきお話ししたレーザーのように「化学的に粘膜を変化させて、水分量を持たせる」方法とは異なり、膣の中に物理的にダイレクトに水分を含むヒアルロン酸を注入していこうというのがこの治療です。
カウンセリングの際にはよく図に描いて説明するのですが、インティマレーザーと、このヒアルロン酸の治療は少しアプローチが違います。
ですので、実は両方を組み合わせて治療を受けるという方もたくさんいらっしゃいます。

ヒアルロン酸の面白いところは水分量を足すというだけではなく、
- あえて凸凹に入れることによって、パートナーの気持ちよさをアップさせる
とか、
- Gスポットにヒアルロン酸を入れることによって、今まで膣内でのオーガズム(いわゆる中イキ)を経験できなかったという女性にもっとスポットの感度を高める
ということが可能になるんです。また、尿漏れが気になるという方は
- 膣の中でも尿道に近いお腹側にたくさんヒアルロン酸を入れることで尿漏れの改善を図る
ということもできるんです。
膣へのヒアルロン酸については、こちらのページも参考にしてください。
更年期の性交痛の治療ならあおぞらクリニック
ここまで読んでくださりありがとうございます!
私がこの記事で1番伝えたいのは治療の詳細ではなく、悩んでいるのはあなただけではないということ、誰にでも起こりうる症状なんだということです。
様々な美容整形や医療分野がある中で、まだこうした夜の悩みの治療については広く知られていません。残念ながら治療法があるという事も知らずに、何年も長い間1人で抱えて1人で涙していた、そんな女性も世の中にはたくさんいるのが事実です。
こうしてブログやSNSなどで少しずつ発信していくことで、1人また1人とその辛い悩みから解放されたという女性が増えればいいなと心から願っています。

性交痛の悩みでご相談にいらっしゃる方、皆さんすごく緊張されています。
でも大丈夫です。同じような方がいっぱいいます。
始めのうちは緊張されていても、ゆっくりお話をして、患者さんがリラックスされてからは結構ディープな話しなんかにもなります。
カウンセリングの時間て私にとっては大切だし、思い出深いシーンもたくさんあります。
反カウンセリングに行く前に少し聞いてみたいことがあるとか、不安が強いという場合には公式LINEから私に相談を送ってくださいね。
皆様のご来院を心からお待ちしております。
