「バカモト-!!お客様になんてことを言っているんだ!!」
「…ハァー!カスガ店長ッスかー!!
ハァー!なんでー!?」
バカモトよ。自分以外、店長に話しは出来ない、順番!順序!と言うから代わってやったのをありがたく思え。
「さっきから聞いていたが!!お前、今すぐに辞表出せ!!クビだ!!」
「カスガ店長、ちょ、まって!え?なに?ハァー!?」
「明日から来なくていい!!クビだ!解雇!!ふざけるな!!」
「も、申し訳ございません!!のぇるさんが育休中のワタクシに無理難題を!
2人!2人の子どもを見るために自分、育休中だったわけでございます!
ワタクシが怒られなきゃならないとかおかしくないですか!!」
「お前が受けたんだろうが!!社外秘含めてペラペラペラペラなんなんだ!」
「ハァー!ワタクシのー!!ワタクシ、バカモトのー!!!不徳の致すところでございます!!
でーすーが!!
だいたいねぇ、店長。売り上げ売り上げうるっせーわ!!この不況に売れるわけねーだろう!ハァー!なんでオレ、ガチギレされなきゃなんないわけ?お父さんにも怒られたことないのにー!
つーか、売れる車作れよって話!!」
「辞表出せ!今すぐ解雇だ!!」
電話を叩き切る。
「社内の人間ではない立場の私が言うのも何ですが。カスガ店長。
人事と相談も無く即日解雇発言とはパワハラで訴えられかねませんよ。
バカモトさんの発言を本社できちんと精査し、対応してから退職勧告が通常じゃないんですか」
「のぇる様、誠にこの度は我が社のバカモトが申し訳ございません」
「いや、その件はここにいらっしゃる本社の社長はじめ管理職の方が聞いてますので。然るべき対処と引き継ぎを早急に願いたいです。
それとは別に。
あなたの発言は安易すぎる。今回は仮に懲戒解雇案件だとしても、本人に弁明の機会も与えず、上層部の判断も仰がずは違法です。
私を含め、バカモトさんの顧客は引き継ぎなしで退職されては困りますし
あのように状況判断も出来ずケンカ腰に噛み付いて、
こちらが会話を誘導すればなにも考えず社外秘を簡単に口外する彼が、
逆恨みから個人情報含めた一切を持ち逃げされても困ります。むしろこちらを危惧しています。
今、彼は興奮した状態です。勢いで既になにか行っている可能性もある。
彼、店の防犯カメラの死角でおそらく電話に出てます。本社の方に打診し、サービスフロントの方に本社へ画像転送依頼済みですが、店舗責任者としてバカモトさんの動きを止めてください。
通常、本社の判断や引き継ぎには一定の時間がかかります。
事例は少ないですが、ロックアウト解雇を望みますがそちらは本部の判断です。
統括部長はどうお考えですか」
( ロックアウト解雇とは、退職までの間、貸与PC、スマホ、社内のネットワークヘのアクセスを禁止するもの。情報漏えいを防ぐ)
「カスガ店長、のぇる様の仰るとおりです。 本社でバカモト氏の解雇方法を検討し、通達します。バカモトのもとに今、社員を向かわせております。申し訳ございません」
「…」
「カスガ店長、私があなたを本社に同行頂いた理由が他にもありましたよね。」