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Doodlin' Records

神戸元町のバー「Doodlin'」店主がチョイスするジャズレコード紹介。
勝手気ままに書かせていただきます。

ツインテナーマニアといっていいほどツインテナーが好きだ。

色んな組み合わせがあって、それぞれ味わい深かったり、バカッぽかったりするのだけど、一番好きなのはこのソニースティット、ジーンアモンズからなるコンビ。アモンズに関してはこのコーナーではもう既に3度目の登場ですな。

この組み合わせの歴史は古くて40年代末からSPレコードなどで活躍してた様である。今回紹介するこのレコードは61年録音だから、コンビ結成して10年を超えたあたりだろう、とにかく息の合いかたが半端ではないのだ。

テナーバトルの課題曲「ブルースアップアンドダウン」、味を出しまくりの「枯れ葉」と、どこをきっても面白くてしょうがない。テクニックで通すスティット、むさ苦しい音色で歌い上げるアモンズ。このキャラの違いからなる絶妙の味は、日本だと夢路いとし&君こいしくらいしか追いついていないのではなかろうか。ジャズを目指す若者やブラックミュージック志向の若者にこそ、ぜひお手本にしていただきたい。そんなアルバムであります

ただし!当時のスティットったらとんでもないジャンキー。アモンズも後年ヤクで刑務所ぐらしと、そっち方面だけは絶対に見習わないように。



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守安祥太郎をご存知ですか?

守安は戦後すぐに、わが国初のバップピアニストとして名をはせた人物だ。残念ながら昭和30年に自ら命を絶っているのだが、その天才ぶりは今なお日本のジャズ界では語り継がれている。

本アルバムはそんな守安が残したたった2枚のレコーディングの1つであり、世界的にみても奇跡としかいいようのない貴重なドキュメントであるといえる。

何しろこの当時では珍しかった巨大なお手製テープレコーダーに、これまた市販の紙テープに磁気を塗って、ただの個人が録音したというのだから、全くもって信じられない話である。

守安がここに残した演奏は恐らくあのバドパウエルに触発された奏法であろう。しかし断言するがこちらの守安の方が断トツ本家のバドより凄まじい気迫に満ちている。この情報量の少なかった時代に、よくもまあこんな時代の先取りをしていたなと、ただただ守安以下当時のジャズプレイヤーに最大限の敬意を示すしかない。

現在では多分CDで再発されているだろう本作。もしこれらの時代のジャズに興味をもたれた方はぜひCDのライナーノーツをご覧ください。かなり詳しい解説がはいっている筈である。

本当にこの時代の人達の説明不可能な努力と情熱を感じさせてくれます。


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ジョーゴードンは大変素晴らしいトランペッター。でもあまり知られてはいません。

なぜなら活躍したのが主に西海岸であったらしくて、ブルーノート、プレスティッジなどのレーベルに吹き込みがほとんどなく、そのため一般のハードバップファンには馴染みがないから。
そしてこれからという時にホテル火災によって命を亡くしてしまうという実についてない人生を歩んでしまったからでしょう。

本アルバムはアートブレイキー、チャーリーラウズ、ジュニアマンスといった強力なメンバーにサポートされた超痛快ハードバップ。ジョーの頭ひとつ抜きん出た才能がうかがい知ることができます。その吹きっぷりは正にあっぱれもの。もっともっといいレコードを残せたろうに、残念でなりません。

ジョーに限らず、例えばルイスミスとかビルハードマン、リチャードウィリアムズ、ジョニーCコールズと、有名ではないけれどほれぼれするくらい素晴らしいトランペッターは他にもいっぱいます。彼らの数少ないレコーディングは本当に貴重で、大事にしなきゃいかんなと切実に思うわけです。


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愛してやまないルーさん。

ハートウォーミングでソウルフル、そしてとびっきりお茶目。そんなルーさんのアルバムにハズレなんかないのは当然だけど、あえて選んだこの1枚。

お馴染みグリーン、パットン、ディクソンというオールアメリカン インディーズ系ソウルリズムセクションをバックに、ワンホーンで実にほのぼの、それでいてぐいぐいと聴かせてくれます。
ジャケットの妙なポーズも実に昭和ギャグ、飛びます飛びます。

そしてその中でも断トツの聴き応えを誇るのが、ゴスペルナンバーとでも言おうか、教会音楽そのものの「ホリーゴースト」。
3拍子のリズムを持つこのナンバー、正にいつ聴いても心洗われるというもの。決して大袈裟ではなく人を救い、悔い改める力のある演奏です。これはもう、もはやジャズではありません。

にもかかわらず、どこをきってもルーさんそのものなのもまた偉大なり。

昨夜飲み屋でエロ三昧して自己嫌悪におちいってる汝よ救われたまえ、アーメン。


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僕の友達のトロンボーン吹きの奥さんはクラシック畑のピアニストなのだけど、旦那の影響でジャズピアノも聴くようになった。ある日「マイルスと一緒に演ってるピアニストでとんでもない下手くそがおる、許されへん」と言い出したので確認すると、そのCDは「バグズグルーブ」だったとか。
ピアノはセロニアスモンクだ。取ってつけたような話だが本当らしい。

僕もモンクの曲は最初から好きだったが、演奏に魅了されだしたのは、だいぶ時がたってからだったような気がする。

最初はクリントイーストウッド監修の「ストレートノーチェイサー」を観て、モンクの魅力にはまった。それ以降、モンクの人柄、演奏も含めて天井知らずに日々好きになり続けているのである。

ピアニストの彼女も今頃はきっと煙にまかれた様にモンクの魅力にはまってるに違いない。モンクとはそんな男なのである。

とりあげたアルバムはモンクのリバーサイドでの最初のもので、文字通りエリントンの作品集。

曲作りの天才が同じく曲作りの天才の曲を演奏してるという、何かちょっと不思議な気がするアルバムだが、自作曲がないからかそれほど有名な作品ではない。
でもOペティフォード、Kクラークという最高のメンツを得て、何よりもエリントンに対する尊敬の念を全面に押し出した演奏は数あるモンクのアルバムの中でも傑出した出来だと思う。

特に「ムードインディゴ」はエリントン以外の演奏ではピカイチですぞ。


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僕の大好きなテナーマン、ポールゴンザルベス、略してポルゴンを紹介します。

ポルゴンはエリントン楽団で名をあげた所謂エリントニアンの一人ですが、何といっても56年に行われたニューポートジャズ祭において延々とつづくロングソロで客を狂喜乱舞させた事でジャズ史に残った人物です。
今回紹介するのは正にその時の様子を収めた実況録音盤。どこでいつ聴いても客と同じように狂喜乱舞してしまいます。
何でもブルーズ進行で27コーラスとってるらしくて、一度数えてみようと試みてみましたが10すぎたあたりで、またノリノリになって断念してしまいました。

このロングソロには実はちょっとしたいきさつがあって、その詳細は今発売されているケンバーンズのジャズというDVDに詳しく紹介されてます。ヒントは裏ジャケに写っているブロンドの美女です。

ものの本によればポルゴンはとんでもない酔っ払いだったらしくて、その手の逸話は誰よりも多いと聞きます。映像でエリントン楽団を観てもポルゴンだけ妙に挙動不審なのは確認できます。

しかし、それでも誰からも可愛がられる存在だったのではないでしょうか?ボサボサ頭に大きなめん玉、何か気が弱そうな姿とこのレコードののりっぷりを併せて聴くとそんな気がしてきます。

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ソニーロリンズの演奏は果てしなく僕を元気にしてくれる。

今さら言うまでもないが、ソニーは果てしなく独創的であり、果てしなく豪快であり、果てしなく人間味に溢れている。

ソニーこそジャズに限らず生きた伝説になった人物だ。偉大すぎてどうしたらいいかわからん。

この有名なアルバムなんか、僕にとってはジャズとしては聴いていない様な気がする。それじゃ何や?と聞かれたら、少し困るが、ジャズだけに限って聴くのはあまりにももったいないと思うのだ。

ソニーのプレイを肌で感じていると、ああやこうやと理屈付けして音楽を聴く行為がばかばかしくなってくる。
よってここでも、この演奏のソロが良くて、誰のサポートが素晴らしいからでなんて能書きは言わないようにしよう。そこにそれほどの意味はない様な気がする。

ソニーロリンズを知る。それは人間としてひとつ得をする事だと思う。
ソニーを聴いたことのある人生とない人生の違いっちゅうか。


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かのローランドカークの如く2本のサックスを同時に吹くという珍芸をお持ちのジョージブライス。

多分西部劇の二丁拳銃にひっかけたんでしょう、ウエスタンスタイルに2本のサックスをつっこみポーズをとる御本人。まぬけであるが実に楽しそう。

しかしこれセントラルパークやん、バックに摩天楼みえてる。

恐らく僕の知る限りのおバカジャケットNo.1であろう本作。しかも中身もやたら騒がしい。

カークの演奏は人生の闇に切り込むような実に深いものを感じるが、どっこいこちらは目がみえるからでしょうか、とにかく脳天気もいいとこ。お気楽ジャズの極みといってよいでしょう。

でもメンバーはGグリーンを筆頭にJパットンなどけっこう豪華。
で、やたら黒いサウンドかといえば意外とそうじゃなく、これが聴き込むとけっこうオシャレな曲が揃ってて、何かちょっとヨーロッパのポップス的な要素もみえたりなんかしてきます。クラブDJなんかは要チェックかも。ジャケットに惑わされなければの話やけど。

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エリントン楽団の大番頭はんといえばジョニーホッジス。あだ名はラビット(関根ではない)。

ビッグバンドでありながら超個性が揃うエリントン楽団の中でもこの人だけは頭ひとつ抜きん出ていて、音をちょっと聴いただけでもすぐにラビットさんと当てられる事が出来るくらいの独自なサウンドの持ち主。

このアルバムはそんなラビットさんといつもは彼の親方であるエリントン爺が立場を同等にして仲良くこしらえた、実にリラックスしたセッションであります。他の参加メンバーもBウェブスターやHエディソンなどかなりの強者揃い。悪かろう訳はありません。

面白いのはエリントンのつくった曲は数曲演奏してはいるものの、演奏面ではおそらくラビットさんが主導権をにぎっているのでしょう。ここではエリントンがほんとに楽しそうにサイドメンをエンジョイしてるのが、こちらまで伝わってくる様です。

一方ラビットさんの方はといえば、これまたほんといつも通り。つまり素晴らしいとしか言えんのだけど、アルバムのサウンドは意外とクールでおしゃれ。多分エリントンまかせだとまた違うものになっただろうけど、こちらもかなりいいセンスだ。

なかなかやりよなラビットさんなのである。

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出てきた時代が時代だけにアバンギャルドやフリーなる派閥に入れられる感のあるマレイさんだが、どっこいこの人ほどブラックミュージックの伝統をふまえて活動してる人も少ないかも。

さらにこの人はデュオからビッグバンドまでありとあらゆる編成に挑戦していて、しかもそのすべてを不定期的にも継続させているんだから、そのバイタリティーたるや尋常ではない。

僕は比較的大編成の時のマレイさんが好き。

そこでこの1枚。87年にCハリス、Jパーセル、それにデビューしたて、きれまくりのRピーターソンといったバリバリのニューヨークの強者を集めた8人編成。ジャッケットはちょっと暗いけれど、中身の方は変幻自在、たたみかける深くも楽しいノリのご機嫌なアルバムだ。

ニューヨークで録られたものは当然NYの雰囲気を醸し出しているのは当然。その中でも僕にとってはこれこそがNYの音そのもの。
夜のタイムズスクエアの騒音がそのまま甦ってきてワクワクソワソワしてしまうだ。

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