私は現在アイルランドに来ております。
留学先のアメリカの大学の「留学プログラム」で学期中に三カ国を巡るうちの一カ国目なわけですね。
普段の滞在先はアイルランド「共和国」の西部の「リムリック」という都市です。こちらの都市はアイルランド国内においては「かろうじて」ゲール語(現地語)話者が2割ほど残っているケルト色の感じられる地域で、8世紀にはカトリックに、12世紀にはバイキングに、そして17世紀にはクロムウェル率いる大英帝国軍に蹴散らされ続けた、負け運の濃い都市です。リムリック条約という「降伏する代わりに宗教(カトリシズム)の迫害は行わない」という条約をものの数ヶ月のうちに反故にされてプロテスタントに蹂躙されたことでも知られています。不名誉すぎて目も当てられませんね。
さて本日はこんな負け都市を離れ、「勝ち(?)都市」に一泊二日で赴きましたので、その様子と感想をお伝えします。
時刻は5時、寝ぼけ眼をこすりながら(あれ?私の眠さの表現って寝ぼけ眼しかない?)、徒歩20分ほどの距離の「リムリック駅」に辿り着きました。相棒の峰を燻らせながら急ぎ足で駅に着くと、始発に向かう人がちらほら見える以外には殆ど人気のない商店街が目に入ります。

慣れない手つきでネット予約した切符を印刷し、いざ座席へ。アイリッシュレイル(愛国鉄)は指定席と自由席が混在しています(予約時に座席指定をした場合は座席番号の横の電光掲示板に記載がある)が、幾つか車両を跨ぐと、ガラガラな車両に私の名前がありました。
うつらうつらとしながらも景色を流し見て、あっという間(2.5時間)にダブリンはヒューストン駅に到着しました。アイルランドで数か所しかないプレタマンジェ(成城石井みたいなパン屋)でラップ(トルコ版春巻き)を購入し、初めての路面電車へ。峰を燻らせながら(n度目)待っていると宇都宮の路面電車のようなRed Line(黄色い車体)が到着しました。戸惑い、半ば祈りながら乗車しましたが、結果としては無事に到着することができました。

エスカレーターを登ると、なんとそこにもプレタマンジェが!電車まで20分ほど時間があり、そこでコーヒーを啜りながら待っていました。
やってきたのはダブリン発ベルファスト行きの「国際列車」です。日本で暮らしていると同島に別国が存在することがあり得る、ということはあまり想像がつきにくいですし、非常に楽しみでした。
一本目の電車と同様、ひとまずは空いている車内を眺めていました。そして回ってきた車内販売でコーヒーを啜り(コーヒーも啜るとしか言えない自らの語彙を恨みます)、ぼーっとしていると、携帯に通知が。「北アイルランドではローミングをしない限り通信はできません」という携帯会社の通知が。慌ててGoogleマップを開くと、つい先程国境を超えたとのこと。
え?もう?
運転中の「山梨県ニ入リマシタ」のほうが「越境感」あるぞ?まあ後でこんなにも国境を感じられない理由が判明するのですが、当時はあまりのインパクトの薄さにインパクトを受けておりました。
さて、帰りの電車が到着してしまいそうですので今日はひとまず移動編で、一日目の薄い話と二日目の濃い話はまた今度します。
では皆さん(多少落ち着いたとはいえ)ありえんほど高いポンドユーロドルにお涙をちょうだいいたしましてお開きといたします。
A bientot!!(また今度のフランス語)
カミゴリ