プロとアマチュアの差:プロになった選手となれなかった選手の違い(3) | ドングリクンパパのブログ

本題の前に、下記、ブロ友さんのブログです。「自分自身でいる為にプレーする」という言葉が出てきてとても共感します。くだけて言えば、サッカーで遊ぶ、ということですね。サッカーが文化として根付くにはそこが欠かせないんですね。暴力的な指導がまだまだ絶えない事と、サッカーが文化として根付かないことは多分繋がっているんですよね。

https://ameblo.jp/socceryankee/entry-12539002023.html

 

 

今までパパは「身長」をテーマにしたシリーズ、「スピード」をテーマにしたシリーズなどを書いてきた。そして今回は「体重」である。どんだけフィジカル至上主義だよ?と思われるかもしれない。でも実は今回そういう話ではないのである(そもそもボウズの売りは一応テクニカルな面だしね)。

 

テクニックや戦術をトレーニングしているのに、フィジカルも育ってしまう、そんなやり方がある。逆にテクニックや戦術をトレーニングすることによってフィジカルを失う事もある。そういう話だよね。どちらのスタイルが良いかは一目瞭然、前者のスタイルにするのが一番だが、自分だけではどうにもできないことがある。チームの育成スタンスが後者であるならどうにもね。

 

でもきちんと「視点」を持って取り組めば、後者のスタンスの中にいても少しずつ小さな差を生みだしていくことはできる。うちもそういうことを考えるようになったのは割と最近なんだけどね。でも今やるべきことがハッキリ明確になっているので日々親子でこつこつ取り組んでいる。

 

ただ、その視点を持つ為にはまず「体重」の重要性について十分に知る必要があるのである。

 

 

J1のユース(U18)に所属する選手のうち、プロに昇格出来た選手と、出来なかった選手のフィジカルを詳細に比べたら差があるのかないのか?そういう面白いデータを見つけたのだ。データを取ったのが少し古い。2006年から2008年にかけて集められたデータを基に2010年に発表されたもの。筑波大の論文だ。

 

今30歳くらいの選手が対象だったんだね。その頃から世界のサッカーはもちろん、日本のサッカーも進化しているので100%現代に当てはまるとは言えない。チームによっても違うだろう。しかし現代サッカーにおけるフィジカルの重要性はむしろ当時より高まっているので(アスリート化の時代と言われているよね)昇格組と非昇格組のフィジカル差は更に開くことはあっても縮まることはないだろう。

 

また、当時の日本全体の学生平均と現代のそれを比べても体格、スピード、ジャンプ力などさほど大きな差はない。50mは少し速くなって、立ち幅跳びは少し縮んで、など細かく見ると差はあるが誤差の範囲だ。つまりこのデータは「プロになる為に必要なフィジカル要素」のおおよその基準とみなすことができるだろう。

 

この基準(プロ昇格した選手の平均値)をクリアしていれば、プロになれる確率は高まるし、基準を下回っているとプロになれる確率は下がると考えて良いと思う。一種の目標値と捉えても良いだろう。技術や判断に偏った育成論が多い中、プロを目指すなら50mは何秒以下を目指せ、などという記事は一度たりとも見たことがない。

 

でもね、重要なんだよ、恐ろしく。だってサッカーはスポーツなんだから。走るし、飛ぶし、ぶつかるし。フィジカル的な目標がない方がおかしいのである。そしてその目標を明確にしてきちんと努力しようとすると気がつく。日本の根本的な問題点にね。逆に言えばフィジカル的な要素を具体的に目標化出来ていない為に問題点が浮かび上がってこないのだ。

 

ちなみにサッカーで必要なのは5~10mのスプリントであって、50mは関係ないという意見もあるが、それも概ね間違い、50m走のデータは非常に重要である。なぜ間違いなのかもこのシリーズの中でデータを使って詳しく説明しようと思う。50mは関係ないとしてしまうと目標が失われてしまうからね。

 

技術も判断も大切だ。しかしフィジカルも重要だ。足の遅い子に「動き出し(判断)を速くすれば弱点をカバーできるよ」と言ってあげることは間違いではない。むしろ大切な事だ。しかしそれだけだとその子の中でフィジカルの重要性が失われてしまう危険性もあるよね?

 

技術も判断もフィジカルも、同時にしっかり育てないとならない。その為に必要なのが「体重」の持つ意味の理解、そして栄養学だったりするのである。

 

 

 

ではデータを見てみよう。この研究ではジュニアユースからユースに昇格した選手と非昇格選手、プロの中のベンチ入りメンバーとベンチ外のフィジカルデータも比べているが、まずはユースからプロ昇格組と非昇格組のデータを見てみよう。

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpehss/55/2/55_09032/_pdf/-char/ja

 

2006年から2008年にかけてこのJ1プロチームの下部ユースに所属した延べ人数は96人、そのうち19人がプロになり、77人がプロになれなかった。まあ落ちた選手のうちから大学経由でプロになった選手がいるかもしれないが、それにしても厳しい数字だねえ。

 

そして昇格組19人と非昇格組77人のフィジカルデータが下記になる。

 

年齢 17.4歳(昇格)17.1歳(非昇格)

身長 175.3cm(昇格)174.6(非昇格)

体重 68.9kg(昇格) 65.9kg(非昇格)

体脂肪率 11.1%(昇格) 10.5%(非昇格)

10mスプリント 1秒8(昇格) 1秒82(非昇格)

30mスプリント 4秒26(昇格) 4秒34(非昇格)

50mスプリント 6秒63(昇格) 6秒76(非昇格)

10m×5本ターンスプリント 11秒15(昇格) 11秒42(非昇格) 

ステップ50(アジリティ) 14秒27(昇格) 14秒73(非昇格)

垂直飛び 62.8cm(昇格) 59.0cm(非昇格)

5ステップジャンプ 12.4m(昇格) 12.12m(非昇格)

シャトルラン 132.8回(昇格) 130.2回(非昇格)

 

実に興味深いんだよね。次回はデータを細かく見てパパの考えたことを書いてみたい。例えば上記にはまだ記していないが、プロ選手のデータと上記を比べるとまた面白いのだ。当たり前だがプロの方が50mも速いし垂直飛びも高い。レギュラークラスとベンチ外でも差がある。しかし実はプロのレギュラークラスがユースに負けている項目があるんだよね。

 

そこが今回のシリーズのひとつの鍵になる。無酸素、有酸素だよね。ではではまた次回に。

 

 

歴史的、屈辱的な部活市大会1回戦負けを喫したボウズ達、自分達から申し出ての朝練がついに始まった。週2回30分程度だが、とても良いと思う。日が短くなり、夕方の部活の時間が少ない。パス練、鳥かご系など基礎的な練習メニューを朝やってしてしまい、夕方ゲームをたっぷりやる方針らしい。夕方ゲームのみになるこのスタイルはみんな喜んでいるそうだ。

 

いいねえ、練習量的にもムリがないし、何より子供達がやる気になっているし、楽しんでいるようなのですごく伸びそうな気がする。元々力はあるし晩熟寄りの子も多い。今後がめっちゃ楽しみになってきたのだ。