予告編

 

YouTube動画の解説はここ

 

 

 

〇あらすじ

料理教室で講師として働いている松岡卓司。ある日のレッスン中に、生徒のひとりである田代一郎が「チャイムのような音で、誰かがメッセージを送ってきている」と不思議なことを言い出す。事務員のあいだでも田代は少し変わっていると言われているが、松岡は気にせず接していた。しかし別の日の教室で、田代は「自分の脳の半分は機械に入れ替えられていてる」と言い出し、それを証明するために驚きの行動に出る。これをきっかけに松岡の周囲で次々と異変が起こり始め……。
2024年製作/45分/R15+/日本

 

〇感想

お盆の真っ最中ということで黒沢清監督のSF・ホラー的な映画を京都シネマで鑑賞しました。ミニシアター系で少しずつ様子を見ながらの全国拡大上映なので、やっと関西でも8月に入って映画館で観ることができました。

 

京都シネマは、COCON KARASUMAにある映画館。3スクリーンのミニシアター。

 

前評判が凄く良くて「CURE キュア」「回路」「ドッペルゲンガー」を越えるか?!というくらいです。しかし、個人的には黒沢清監督の最高傑作は1999年の関西テレビ製作のTVドラマ「降霊〜ウ・シ・ロ・ヲ・ミ・ル・ナ〜」だと思っています。出演者は、役所広司、風吹ジュン、草彅剛、石田ひかり、きたろう、岸部一徳、大杉漣、哀川翔などの個性派キャスト陣で撮影された秋の特番TVドラマ。(DVDタイトルは「降霊 ~KOUREI~」)

テレビドラマと言う勿れ、日常に潜む真の恐怖を描いている作品では群を抜いていると感じます。昔は一部のサブスクでも鑑賞できましたが、現在は、調べると配信していないようです。DVD化していると思われるので機会があれば鑑賞する価値はあると思われます。

 

現段階では鑑賞がやや困難ではあるが、機会があれば観てくれ🎵

 

ところで映画「chime」の映画の尺は45分の中編映画、今回は特別上映っていうこともあり、水曜日は鑑賞料金が一律1,300円なのですが、この映画は1,500円でした。(価格は「ルックバック」と同等またはそれ以上)それでも90席のうち約70席は埋まっており、女性ファンも多く見られました。やはり前評判が良く、お盆休みなので観客が多かったようです。

 

この映画の舞台は〝料理教室〟で流石、黒沢清監督だと思いました。無機質なステレンスの同じような調理台が同じ間隔で整然として並んでいる風景はライティングにより不気味に映ります。またそこには料理教室なので包丁類も沢山あり、既に不穏な状態がセッティングされています。更に、料理教室の男性生徒の一人が「人の叫び声のようなチャイムの音が頭の中でずっと鳴っている」、「脳の半分は機械になっている」等と病的な発言をし、行動も他の生徒とは混じらずに独りで料理をしています。彼の周辺には包丁が沢山あり、いつ何をしでかすか分からない〝キモいヤツ〟です。

この映画はいきなり幽霊や、猫、鳥が突然出てきて驚かせるような怖がらせ方はしません。黒沢清監督の独特な手法で怖がらせてくれます。例えば、何かが見えるような、見えないような、「あれ?あそこに何かいる?」みたいに観客をジリジリと、追い込む怖がらせ方で楽しませてくれます。ある意味、清水崇監督とは好対照かもしれません。

「chime」で言うなら何かが居た〝痕跡〟で観る者を追い込んでいきます。遺体をひきずった跡が道路に長く伸びているシーン、亡くなった者がついさっきまで座っていたと思われる椅子など、実体は出てきませんが、そこには何かが居たという痕跡を映画のエッセンスとして効果的に使っています。

 

映画に登場する料理教室の面々、その講師として働いている松岡卓司と、その家族など全員が、何か怪しく思えてしまうのも映画の見どころです。料理教室という環境と、怪しい人々に常に恐怖にさらされる45分間。この映画も〝考えるな!感じろ〟な映画かもしれません。。。

 

※追記

映画を観終えた人々のロビーの会話を聞いていると「あれはどういうこと?」「意味不明なんやけど?」という発言が多かったように思います。逆に、この映画の真意を理解できる人の方が怖いかも???

以上