これは俺の実体験です。

あれは、おおよそ38年くらい前の古い話です。秋も深まる金曜日の夜の出来事です。
友人に山のコーナーを攻めるのが好きなヤツが二人いました。

もちろん安全運転でのコーナーリング、合言葉は「センターラインは壁だと思え!」

かっとびスターレット(「韋駄天ターボ」や「辛口ターボ」の異名を待つじゃじゃ馬)とスプリンタートレノ(ヘッドライトが上下に動くヤツ)で共に3点なのか?4点なのか?シートベルトを搭載していました。俺は車には興味が無いので詳細は分からない。
スターレット&トレノの2台で、ある山へ野郎だけで深夜のドライブに行きました。(俺ともう一名はKのマンション下の駐車場に自車の真っ赤なジムニーを停めた)


俺は同期のKが運転するスターレットに乗り込みました。他の後輩2名はトレノに乗り山のコーナリングを楽しみました。


そして休憩のために、山の中にある公園でトイレを済まして、自販機で缶コーヒーを飲みながら談笑していると、トレノに同乗していた後輩が「こっちに栗がメチャ沢山落ちていますよ!」って言うので行ってみると、林の奥の方に栗が沢山落ちていました。そして皆で落ちている栗を拾いました。


俺が何気に林の奥の方を見ると、何かがあるのに気が付きました。〝うん?何?〟暗くて見えにくいので、目を凝らして見ると、それは何かの祠(ほこら)でした。

その雰囲気が不気味で、少し気になったので皆に「この辺、あんまりウロウロしたらアカンのちゃう?」と言いましたが、皆は栗を拾うのに必死のパッチです。


ひとしきり栗を拾ったので、そろそろ帰ることになりました。それぞれの車に乗り、元の集合場所であるKのマンションの駐車場に向います。

しかし、なぜか道に迷ってしまいました。何度も行っている場所なので迷うはずが無いのですが、迷ってしまいました。道に迷いながら走っていると、急にスターレットが横滑りし、道の縁石に車が乗り上げてしまいました。4人全員で協力し、なんとか車を道に戻すことができました。

そうすると、スターレットの運転手であるKが「あ~栗のイガで滑ったんやわ!」と言いました。よく見ると無数の栗のイガが道に散乱しており、それをタイヤで踏んだ跡がありました。どうやら、それが原因でスターレットが横滑りしたようです。車をよく見るとスターレットのバンパーの左側が凹んでいました。(車好きなので可哀想ではあるが・・・)


更にスターレットが横滑りした場所は、先ほどの祠があった場所の傍の道でした。俺は、やはり何かに障ったのか?等と思いながらも気を取り直し、皆でKのマンションの駐車場まで何とか到着しました。そこで栗を4人で分配し、その日は各々の家へ帰宅しました。

そして数日後に、スターレットのKがこんな事を言い始めました。Kは20歳で結婚し奥さんがいます。あの金曜日の深夜にKが帰宅すると、奥さんは起きていました。そして、奥さんがKにこう言ったらしいです。「車が事故って、バンパーが凹んだらしいね。修理しないとね」って、Kは「え?何で知ってるん?」もちろん携帯電話なんか無い時代なので事前に連絡する事は出来ません。

奥さん曰く「サイサイ君(俺)が、部屋に来てKが事故ってバンパーが凹んだわ!」って言ったらしい。え?俺???、金曜日は駐車場で栗を分配し、そのまま解散して、それぞれ自宅に帰宅した為、俺はKの部屋には行っていない。俺の分身が部屋に行った?なぜKの奥さんは事故の事を事前に知る事が出来たのか?予知夢をKの奥さんは見たのだろうか?あれは何やったんやろう?未だに分かりません。この一連のことはあの祠が関わっているのか?今となっては知る由もありません・・・。

 

※追記
同期のKは昭和のドヤンキー、その奥さんは体が弱く、いつも病弱でした。でも優しい奥さんで、霊感が強く霊が現れた時の対処方法も俺に教えてくれた人です。
トレノの同乗者の後輩は、ラグビー部でスクラムにより耳が潰れて〝耳餃子〟の異名を持つ小粒なヤツ、トレノの持ち主もラグビー部で身長が182センチ、更にあそこがデカいので〝バズーカー〟と呼ばれていました。
以上