6月のベスト・レストラン
6月のベスト・レストラン「ラール・エ・ラ・マニエール」2010/07/06 1:39
昨年の秋にオープンした銀座のフランス料理店「L'Art et la Manière」は「芸術の正しい導き方(作法)」という意味があり、名前が仰々しいので二の足を踏みそうだけれど、行ってみるとファンシーな料理と温かいサービス精神に溢れるガストロノミック・レストランでした。
代表取締役ソムリエの吉岡慶篤さんは、3年間フランスでワイン修行後、丸の内の「サンス・エ・サヴール」、西麻布の「カフェビストロ・でフレール・プルセル」の総括支配人をした後、昨年独立した独身でハンサムな方。
清水将シェフは、スイス近くのアヌシー湖の3つ星「マルク・ベラ」、パリの「アルページュ」等で7年間修行したそう。そのわりに、随分と若々しいこと。
マルク・ベラに数年前に2晩泊まりましたが、”ハーブとスパイスの魔術師”と呼ばれるベラ氏の料理は、天才らしく独創的。清水シェフはそれを進化させた形。
日本の最高の旬の野菜や魚介類をふんだんに使い、今回はブルゴーニュ地方の「ドンブのカエルの腿肉フリット」
そして、ロワール地方近くの「シャランの鴨肉のロースト」が絶品でした。
デザート
食材に関しては、あまりにも複雑で緻密なので、一緒に行ったD美ちゃんのようにジャーナリストさながら熱心にメモを取るべきでした、、。素晴らしいワインと会話に酔いしれると忘れちゃいますね。
吉岡さんが選んだメインのワインはDRC ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティの「ラ・ターシュ」La Tâche 1983
ラターシュ
ラターシュのグラス
当時は樽から直接ボトルに入れていたので、樽の上澄みの部分は色が薄く、下の部分はエキスが沈殿しているので濃い色でした。その後、バラツキをなくすために、5樽を混ぜて瓶詰めするようになったわけですが。
今回は、まさに色、香り、味ともに褪せていたので残念でした。。
代わりに持ってきたDRCの「エシェゾー」Echézeaux1999
エシェゾー
グラス比較
1999年は20世紀最後の傑出したヴィンテージ。
若々しい外観と香り、味わいも11年経ったとは思えないような果実味があでやかでシルクデシンのタッチでした。
お料理とワインの品揃えは、東京では最も楽しいレストランのひとつだと思います。
1930年 エシェゾーDRC
1930年エシェゾーDRC@アッピア2010/01/15 13:26
久しぶりに麻布のイタリア・レストラン「アッピア」に行ってきました。
店内は相変わらず満席で、賑やかなお客の話し声がバックグラウンド・ミュージックのように響いている点は、
ローマ辺りにいるような錯覚をおこさせるほど。
アッピアの魅力は、ワゴンで運ばれる20種以上もある前菜を何種類も選べることですが、全部が美味しそうなので困ってしまいます。
友人が持ち込んだワインは、保存が完璧なパリのトゥール・ダルジャンで入手したという「1930 Echezeaux Domaine de la Romanee-Conti」!
1930年といえば、今から79年前。世界大恐慌の翌年の超不景気に加え、悪天候によりブドウは悲惨な状態であったことで有名な年です。
マイケル・ブロードベントのバイブル本「The New Great Vintage Wine Book」によると、「ドクター・バローレでさえ手の尽くしようが無かった1930,1931,1932」と書いてある。
悪い年のワインは寿命が短いので、早く飲まなければならないというのが通説とはいえ、スーパー生産者の
DRCだから大丈夫かも、、、、。
コルクを見ると70年もの年月は経ていない、リコルクされたこともあり、ワインは意外と若々しくて本当にビックリしました。
外観はロゼのように明るい色調ではあるけれど、ガーネット色で宝石のような輝き。
香りは非常に官能的なバラの香水やクリームの甘さが強烈にグラスからたちあがります。
そしてシルクのシフォンのようなくちあたり、優美で甘いというか、余韻はいつまでも甘く官能的。アミノ酸からくる旨味の甘さ以外にも、残糖分の甘さがあるから長持ちしたという理由もあるのでしょうね。
79年前、しかも天候不順のヴィンテージでも、パリの超一流店で最近まで大切に保存されていた、世界一の生産者のワインだから輝きが失われないのですね。
天からワインの神様が降りてきたような穏やかな喜びを感じることができました。
ナルカミ
新日本風フランス料理@ナルカミ2010/01/15 13:26
銀座で地下にあるミシュランの星つきフレンチレストランはナルカミだけ。
アピシウスとレカンは老舗の豪華レストランなのに、フランスには地下にレストランが無いということで星がない、、、、。銀座ナルカミ☆の実力が気になります。
そのナルカミが銀座に別れを告げ、10月に西麻布でスケールアップしたお洒落な店をオープンするとのことなので、移転前のナルカミに行ってきました。
2003年に独立された鳴神正量シェフは出身地が兵庫赤穂でルーツがイタリア料理。
そして、魚介類・野菜・肉の産地に強いこだわりを持っています。
自ら改造した包丁で新鮮な魚を調理するという、独特のナルカミ・ワールドを展開。
ワインリストには超人気生産者の贅沢なフランスワインが並んでいるけれど、お値段は高め。独立前に「エスペランス」というバブリーなワインレストランにいらしただけあって、ワイン愛好家のコレクションアイテム的なものが揃っています。
お料理は3コースが用意されていて、今回は一番品数が多い8品コースを頂きました。
富山県 岩ガキ バジル風味のカッペリーニ カキのコンソメ
岩ガキが小さくカットされて、細いパスタに和えてある和・伊・仏のコラボという感じ。
アジのモンブラン見立て
生のアジが山芋のモンブランに包まれ、クリームをまとった刺身風。
家島ハモの舞茸巻き
香り高く旨味十分の絶品
ノドグロのグリエ サフラン風味のあんかけ
赤むつのグリエがエキゾチックに。
蝦夷アワビ シャンパン蒸し 肝ソースで
洗練された新フランス料理の極致のよう。
佐久青山椒のソルベ
シェフ自ら育てている山椒がピリリと辛く心地よくシビレて美味しい。
シャラン産鴨 ロティ トリュフのソース
フォアグラ付きで非常にリッチな味わい。
デザートはフロマージュにしました。
鳴神シェフは、シュヴァリエ・デュ・タストヴァンに昨年叙任されたほどのチーズ愛好家。チーズのセレクションはさすがであり、エルベ・モンス熟成の上品なエポワスは特に素晴らしい。
美しく繊細且つダイナミックなお料理でした。