奥山久美子の美と健康のワインライフ -6ページ目

Qunpue 薫風 @余市

余市のレストラン事情は6年前よりもかなり向上し、ワインを楽しめるお店が増えて嬉しいです

Misono Vineyard当主の松村宗雄さんが予約してくれたQunpueは、2022年2月にオープンしたワイン愛好家がこぞって集うワインバー

 

余市のワインに恋をしたというニセコでソムリエをされていた新居真美さんがワンオペで、お料理からサービスまで行っている

4人のために余市の旬の食材でフルコースを用意してくださり、松村さんには今後の活躍が楽しみな余市ならではのワイン3本をご馳走になりました

 

ハマダ・ヴィンヤード・シャルドネ2020

医学部卒のドクター夫妻が三笠地区に設立したワイナリーで、2021年に醸造所ができる前はタキザワ・ワイナリーや10Rで委託醸造、山崎ワイナリーに隣接する自社畑のシャルドネを野生酵母で発酵し亜硫酸ゼロで瓶詰めというナチュラルワイン

 

ドメーヌ・ユイ、A3区画ピノ・ノワール2023

東京から余市に移住した杉山夫妻が2020年に醸造免許を取得しワイナリーを設立、畑の開墾から栽培・醸造まで全て行う

A3区画には、木村農園が選抜したキムラ・クローン(自根)が中心に植えられていて、その若木から造られたワインは繊細でチャーミングな味わい

 

こことある・ピノ・ノワール2022

ココファームの取締役であり、10R(トアール)当主のブルース・ガットラヴが、木村農園の最上区画のピノ・ノワールを野生酵母で発酵して造る

ピュアで華やかさな果実味がなんともエレガントで、木村農園の高品質なブドウとブルースの高い技術と芸術性を堪能できる

 

貸し切り状態のQunpueでの余市の第一夜は楽しく過ぎ、翌日から苗木植え頑張ります

ドメーヌ・タカヒコへ

6年ぶりにドメーヌ・タカヒコに訪問し、ブドウ畑の作業を終えたばかりの曽我貴彦さんに近況を伺いました

醸造所の右手のブドウ畑に向かう斜面に、半地下の樽貯蔵庫を近々建設するとのこと

温度管理もさらに良くなり、益々ワインが美味しくなるはず

 

温暖化の影響を受け余市の自然環境も変化してきているせいで、6年前とはピノ・ノワールのクローン(13種育てている)の生育状態も少しずつ変化し

今までのような無農薬・亜硫酸無添加といったやんちゃな手法だけでは通用しないかもしれない

 

ドメーヌを設立した2010年、ブドウ栽培の北限であり寒さに魅力を感じて北海道の余市にやって来た

カナダのような寒い所では光合成率が高いので、糖度が上がる上にブドウ粒は水を吸わないから大きくならないという利点がある

 

15年前の余市よりは積算温度が高くなったとはいえ、余市は火山性土壌の豊かな土と柔らかい水に恵まれ、みずみずしさとお出汁のような旨味(日本らしさ)のワインが産まれるところ

フランスのような岩石の国とは違う地層なので、日本は表土と柔らかい水から日本らしさを表現できる

 

日本の森や里山の香りを表現した土瓶蒸しのような旨味のピノ・ノワールは、日本だけでななく世界的にも日本の象徴とされている

余市町は、2025年2月にブルゴーニュのジュヴレ・シャンベルタン村と親善都市協定を締結

ドメーヌ・タカヒコの国際的な評価の高まりがその実現の原動力となったことは想像に難くない、と谷宏美さんがワイナート北海道特集に記している

 

4.6ha,そのうち3.6haでブドウ栽培

理想的に管理された美しいピノ・ノワールのブドウ畑

 

余市で初めて本格的なドメーヌを起ち上げた曽我貴彦さん

その15年の間には、優秀な研修生たちが続々ワイン造りをはじめている

 

不要な芽を取り除く「芽かき」作業が行われていた6月上旬

 

醸造所内には100樽、3万本のワインが出来上がるが、これ以上増やすことはない

300万円で余市ではじめ、1千万円でワイナリーを設立したという

 

5万円で買えるプラスチックタンク(1000ℓ)の中に全房のブドウを入れて足で潰して発酵をうながす

畑仕事でワインの出来の90%が決まると言うが、このタンクで漬け物のように発酵してできるのだから奇跡のようです

 

一緒に訪問した町野さんは島根で2年前からブドウ栽培を始めたばかり、貴彦さんに様々な質問ができて大喜びだ

 

2024年のピノ・ノワールを樽から試飲すると、とても明るいルビー色、まさに森の植物を連想させる香り、味わいはMLFの途中なのでピリピリッとして酸が活き活きタンニンは繊細、旨味は徐々にでてくるのだろう

 

今回は、初めてリリースする超高級ロゼを試飲できて嬉しかった

4樽なので1200本、色は赤ワインと変わらないほど濃いロゼ色、香り味ともに赤よりもフルーティーさのボリュームがあるのが凄い

低温で早めにプレスしたと貴彦さんが仰った

瓶詰めしたら絶対に購入したいけれど、赤ワインよりもさらに入手困難になること間違いなく、、、

 

ブラン・ド・ノワールという貴腐菌が付いたピノ・ノワールから造られたロゼが1樽

試飲させて頂くと、濃厚ではあるが蜂蜜のような香りはまだ無くて揮発性の感じだったが、熟成によって蜂蜜風味になるという完成品を是非飲んでみたい!

 

饒舌で優しい貴彦さんのお話が沢山うかがえ、素晴らしいワインの試飲もできて楽しかったです

Y by YOSHIKI @余市

ロサンゼルス在住のYOSHIKIさんが、ドメーヌ・タカヒコとは目と鼻の先の距離に位置する「Y by YOSHIKI」の圃場にピノ・ノワールの苗木を植えた

余市川の右岸にある傾斜のきつい0.4haの区画だ

 

私が余市に行く直前に見た記者会見によると、YOSHIKIさんは「余市ならではの日本のお出汁の味で日本の美を表現したい。美食とワインで余市を世界的な観光地にしたい」と発言

ドメーヌ・タカヒコの曽我貴彦さんとフィールド・オブ・ドリームス(ホテルLOOP含む)が提携しているので、必ず成功することでしょう

 

エレガントなパンタロン姿で苗植えをするのもYOSHIKIさんらしくて良かったと思います

ワインは2028年に300本リリース予定

 

ピノ・ノワールのみ植えられた圃場

 

Y by YOSHIKIの向かい側に見える景色は、余市町登地区の豊かな自然