どうも、ドクロ家DEATH! -37ページ目

どうも、ドクロ家DEATH!

きゃっきゃうふふな日々をご紹介、かーちゃん達にはナイショだぞー(゚Д゚)ノ

小説「機械」


最終話「今 二人が空にむける機械は」 


中編







今まさに、このM王武道館の中に居る、ボクチンを含めた全ての人に向けて

にじさんは、「機械」を使おうとしていた








胸に埋め込まれた「機械」は、うなりをあげて回り続ける

機械から放たれている青白い光は、加速により変化し 輝く白色に変わっている









機械から、あふれだした力が、大きく開いた にじさんの両腕に伝わり

まるで、白鳥が広げた翼・・・のように闇の中を広がっていく

ステージ上に

力が

目では見えない力場が広がっていくのが、ボクチンにも分かる










そしてにじさんの体は、ゆっくりと上方にスライドし、床から

にじさんがはいていたヒールが、離れる


にじさんが・・・ふわりと

重力から解放されたように

M王武道館、メインホール ステージ上空に「浮き上がった」











「美しい・・・」

絶望的な状況と裏腹に、その姿は まさしく、機械によって召喚された


光り輝く翼の『天使』

そのものであった



どうも、ドクロ家DEATH!










「まさに・・・」

「天使を呼ぶ・・・」

「機械・・・」

ボクチンは、もはや あらがう気を失い

すべてをゆだねてしまおうと、ゆっくりと目をつぶった












「・・・・・・・ん」

「・・・さん」











なにか、きこえる




「・・・クロさん」




「ドクロさん・・・ダメだ」











声が

部長の呼ぶ声がきこえた










はっ!!っと

観客席の方をふりむくと 部長が刺された傷を片手で抑えながら

もう片方をホボクチンのほうへさしだし

立ち上がっていた










そんな・・・あのキズで・・・・

部長は、ありったけの気迫を込めて叫んだ

「だめだ!」ドクロさん!諦めないで!!」


「君なら・・・」

「ドクロさん、君なら だいじょうぶ」

「仲間たちを・・・にじさんを・・・君が救うんだ」










部長の口から血が・・・

部長は、かまわず

「自分を・・・自分を信じるんだ!!」










部長・・・・

部長

部長!!










ボクチンは、生まれて初めてかもしれない

部長の 

他人の言葉を一切疑うことをせず 従った

自分を信じたのだ










それは、ボクチンの中に居る「なにか」が

本能が?

外に飛び出そうとして、ボクチンの心を

そのように自分でしむけたのかもしれない










ボクチンは、にじさんの胸の機械から発っせられた波動に

正面から向かい合った









あらゆる種類の感情・・・の暴風雨が

ボクチンの頭に、脳に吹き荒れる

「ううううう・・・あああああーーーーーーーっ!!」

い、いたい!頭が!!

流れこんでくる!!










その感情の一つ一つに にじさんの記憶が織り込まれている



父親と行った釣り・・・大きな魚を釣って大喜びした時のこと

『彼』の曲に感動して、涙を流した時のこと

初めて機械でキノコ人間を作り出してしまった時のこと

『彼』が、にじさんの前から去って行った時のこと











あらゆる感情が 記憶をともない映像として ボクチンの頭へ

たえまなく雪崩のように流れ込んでくる


「うううう・・・あああああーーーーっ!」












だが、ボクチンは、あらがうことをしなかった



すべてを・・・受け入れる



にじさんを・・・受け止めるんだ!!











突然

本当に突然ボクチンは理解した



このためだったのだ



たまねぎさんの修行・・・

命ギリギリまで追いつめられた アヤさんの修行・・・



それは、ボクチンの精神を極限まで鍛え











この力・・・

「スタンド」に目覚めさせるように・・・だったのだ










「ボクチン」・・・


・・・いや


「オレ」の背中から


力が発現されるのが、分かる


何十年も前からの古女房の名前をよぶかのように


オレは、自分のスタンドの名前を初めて叫んだ















「ファットボーイ・スリム!!」
















体のすべての細胞が分裂して二つになるような

もちろん、そんな経験はしたことないが


俺の背後に、もう一人の

いや

本当のオレが立っていた


「そばに立つもの」

・・・「スタンド」













それは

ぴちぴちのTシャツにジーパンを着て

左手にたばこを

サングラスの目元の下に にやにや笑いをうかべ

じつに見苦しい 金髪の


・・・少年だった




どうも、ドクロ家DEATH!





ただひとつ目をひいたのが

そのふとっちょの子供の背中に

まっしろい、うつくしい翼があることだ











これが・・・オレのスタンド・・・

実はガッカリした

部長やゼータさんのスタンドはかっこよかったのに・・・










オレはスタンドに向かって言った

「いっしょに闘ってくれるか!?」











スタンドの少年は、それに答えた

「ボクチンにまかせなYO!!ボーイ!!」

ファットボーイは、にんまりと笑い 中指を立てた












こ・・・こいつ・・・・











だが、我がスタンド ファットボーイスリムの力は

この状況を打破するのに足りた









この物語において オレは、何度も何度も

殴られ

蹴られ

激突し

何メートルもの高さから墜落し

普通ならまちがいなく、死んでしまう打撃をうけ

それでも生き残ってきた

それも


子供のころから、打たれ強さを武器として ケンカにあけくれていた

それも




すべては、自分では気付かなかった

この

ファットボーイスリム の能力のおかげだったのだ










ファットボーイスリムの能力は

自分に向けられた、衝撃・熱・精神力・呪い

あらゆる種類のエネルギー

あらゆる種類のダメージを受け止め

吸い込み 食べつくし

無効化するのだ










オレは「行くぞ!!」と

二人の自分に気合をかけると

にじさんに向けて歩き始めた











凄まじいエネルギーの暴風雨の中を


「全てを破壊する サイコキネシスの嵐の中を傷つきながら 破壊されながら、フェニックスに歩み寄っていく ウルヴァリン」のように



どうも、ドクロ家DEATH!







一歩、また一歩と進んでいく!










にじさんもまた、その力の放出を強めた

機械に吸収され、増幅された感情のエネルギーは、まるで吹雪のように密度をもち

一気にオレとファットボーイにたたきつけられる








ファットボーイが無効化しきれなかったエネルギーが

オレの脳に変化をうながす








オレの体の端から

少しずつ

肌が・・・キノコの皮に変わっていく








「WOOOOOOOOO!!」

ファットボーイが叫んだ!

エネルギーを吸い込むパワーをさらにあげた

これなら・・・いける!









もう、お互いにあと一歩づつ踏み出し

手をさしだせば、届くほどの距離に

二人の天使が近づいた









「にじさん・・・もう、やめるんだ!」

「部長のところへ帰るんだ!!」










ニジさんはビクリと体を揺らす

その瞳から一筋の涙が










「私は、私はもう、どこにも・・・もどれない」

「もう、どこにもいくところがない」

「せめて、あの人の思いだけは・・・」

「私だけは、あの人を信じてあげるの!」












筋肉少女帯「機械」 *カバー










にじさんの涙のひとすじが、いきなり

音をたてずに 裂けて ひびわれにかわった




それは、『彼』がバンド時代に好んでしたメイクと同じだった




どうも、ドクロ家DEATH!









にじさんの体が、膨大な力の放出により崩れていく

体中に裂け目ができ

そこから、光がもれだしている









「や、やめろ! もういい!」

「もういいんだ!にじさん やめるんだ!!」









オレは、なんとかにじさんに近づこうと、スタンドのパワーを

最大限にあげようとする

一歩・・・もう・・・一歩

あと・・・すこし・・・・だ













にじさんの体から、あふれだすエネルギーは、さらに密度をあげ

形をかえる









それは、まるで

空から落ちてきた

天使の翼のように ふわりふわりと舞い踊った



どうも、ドクロ家DEATH!








これは・・・

にじさんが放つ感情は、さらにその強さをましたが

今までの物とはちがう










これは、にじさんが『彼』に向けた感情











愛!










人が人をここまで強く思うことができるのか!?

にじさんが発する 愛の感情は

発現したばかりのオレのスタンド ファットボーイスリムの力を超えて

吹き荒れた!










オレだって 負けられない・・・

仲間が・・・アナが・・・

「帰る場所があるんだーーーーーっ!!」











その時











武道館のメインホールにみちあふれた

にじさんが

機械が

発したエネルギーは





ゆっくりと

その流れを変えた




まるで竜巻がうまれるように

ゆっくりと渦を描いて

上昇・・・?していく










なにか・・・

なにかが

この武道館の上で動き出したことが

姿はみえないが

俺にも分かった

「な・・・なにが・・・?」










次の瞬間












武道館に満ちあふれた、全てのにじさんの想いは

哀しいエネルギーは

まさに一瞬にして

残さず、武道館の天井に吸い込まれてしまった











「きゃあああああああああっ!!」











にじさんが苦しみだした











にじさんの感情を生み出すスピードを

武道館の上?にいる「なにか」が吸い取るスピードが超えた










オレは、にじさんの元へ駆け寄って

にじさんを抱き上げる

「止めるんだ!にじさん!」

「機械を!止めるんだ!!」










にじさんの苦しみは増しているようだ

「と・・・とまら・・・」

「止まらない・・・の!」


にじさんの体の崩壊も進んでいく











「くっ・・・!」

オレは部長の言葉を思い出す

にじさんを

にじさんを救うんだ!!











オレは、凄まじいスピードで、にじさんの胸で回り続ける

機械に

回転する機械を

ガタガタ震えながら










掴み取った!!










ズババババババババッ

ギャッギャギャギャギャギャ!!

「うわああああああああああああああっ!!」










指が 手が 腕が

砕けて血が、肉がはじけ飛ぶ

だが、はなさない

はなすもんか!!

「うおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!」












ボギンッ!!

機械の・・・なにかの部分が折れる音がした

オレの腕の中で

機械は、とてつもない熱と煙を吐きながら・・・止まった

しかし

にじさんのエネルギーの放出は、止まらなかった










「あああっ・・・・・!」

「す・・・吸われ・・・る」

にじさんの崩壊が止まらない!!












「そ・・・そんなぁ!!」

「に、にじさん!・・・にじさぁん!!」










オレの背中に ぽんっと

なにかが触れた

オレは、ふりむく

すると、そこにいたのは

信じられないことに













それは・・・雨露部長だった















つづく


小説「機械」


最終話「今 二人が空にむける機械は」 


前篇








にじさんは、哀しい瞳で言った

「受け入れてくれたなら・・・なにも苦しむことはないのに・・・」

そして、その体に埋め込まれた「機械」を止めた









なんさん、ミコシさん、たまねぎさんは それぞれが持つ

常人を超越した力で、自身のキノコ化に抗っていた

その苦しみは、想像を絶するであろう

機械が止まった今でも、三人は横たわり頭を押さえ もがき苦しんでいた









にじさんは、ゆっくりと歩き始めた

ステージの階段を上り、ボクチンと部長の横をとおりすぎる









こんな・・・

こんな小さな女性が

たった一人の女性に

一万人の人間が、人知を超えた究極の力を持つ超人のような 三人が

なすすべもなく、その姿を醜いキノコ人間へと変えられようとしているのだ









ボクチンは、部長を運び ステージ前の客席に座らせ

そして にじさんと向かい合った









(小説「機械」プロローグより)

まさか、またこうして会うことなるとは、あの時は思いもしなかった









にじさんは、さらに深い悲しみの色をたたえた瞳で

ボクチンに向け 語った









「これでもう、だれにも止められない ・・・」

「あの人の・・・」

「哀しい あの人の思いを私が・・・私がとげてあげるの・・・」









ボクチンは、ごりっぺとの戦いで死力をつくしきり

立っているのもやっとだったが

それでも、向かっていくしかなかった


「こんなことをして、キミを愛した部長にまで手をかけて」

「何になるって言うんですか?」









にじさんの目に涙が浮かんだ










「あなたには分かりません」

「雨露さんは、私を止めてくれなかった」



「私の苦しみを救ってくれた『あの人』のために」

「私は、すべてを捧げたのです」




どうも、ドクロ家DEATH!









「でも!そのせいでキミは、あらたな苦しみに耐えなければ

ならなくなったじゃないですか?」










「私自身でも、おされられない この・・・あふれる感情」

「それもまた、今 こうして機械を動かす為に必要・・・」

「これもすべて、彼のために」

「かわいそうな彼のために 役に立ってあげられるの」












どうも、ドクロ家DEATH!


「私は 今・・・幸せなの」











にじさんは表情を一転させた

「雨露さんは私を止められなかった」

「止めてくれなかった」

「そのせいで・・・私は」









にじさんの中で、あらゆる種類の感情が乱れ舞う

「あなた・・・ ドクロさん、あなたの愛する人を手にかけてしまった」

にじさんの瞳から大粒の涙がこぼれおちた









「やはり・・・にじさん キミがアナをキノコ人間に・・・」









「ごめんなさい・・・ゆるせなかったの」

「気持ちが止められなかった」


「私には、もういないのに・・・」

「『彼』は もう、いないのに」


「あんなに仲良く 幸せそうに暮らしているアナタたちを見て」

「抑えられなかった・・・」









にじさんの瞳の色から

深く優しい青の色が抜け落ち



黒に変わった









「でも、安心してください ドクロさん」

「あなたも、雨露さんも みんな みんな」

「すぐに」

「アナさんと同じ」

「苦しみのない、安らかな世界に送り届けてあげます」










にじさんは、そういうと

両手を大きくひらき、目をつぶり

自身から嵐のようにうみだされる、すべての感情を解放した










それに呼応して、彼女の胸で回り始めた「機械」は

どんどん、そのスピードをあげ

にじさんの発した感情の渦を吸収し始めた










この「機械」がエネルギーの増幅を終わり


あらゆる負の感情の塊「マガツヒ」を放出したとき









ボクチンたちは・・・全滅するのだ











「や・・・やめろ!  にじさん」


「やめろーーーーーーーーーーーーっ!!」












つづく



罠・・・だったのだ・・・






ボクチンは部長を抱き上げる

「部長!! 部長っ!!」







ステージに広がる血の赤とは、逆に

部長の顔色は、真っ青になっていく

部長は、よわよわしい声で

「ド・・・ドクロさん」

「ごりっぺさんに・・・勝ったね・・・」








「部長! 今 そんな・・・

ボクチンは、花道の方をふりむき 必死の思いで仲間たちの姿をさがした

だが

その三人も様子が、おかしい

なにか・・・

もだえ苦しんでいる・・・ような?

いや、まちがいなく苦しんでいる!









ミコシさんの式神「御死子」は、その姿を消し

分身していた なんさんは、一人に戻っている

タマネギさんは、ホウキを取り落とし

全員が頭を押さえ 苦しんでいる









これ・・・この苦しみ方は・・・









『機械』?

機械から発っする波動をうけた人たちと・・・同じだ!


なぜだ・・・

機械は今

制御する人を失い、作動していないのに・・・









その答えは、すぐ分かった

ニジさんのフリをし、部長を騙し 刺したクッキー

クッキーが、ステージを降りていった先に

ステージ最前列の座席の前に









クッキーのとなりに

いつのまにか もう一人 女が立っていた










その女は、すらりと伸びた白い指を三人の方へ かかげあげている

よく見ると、女の胸の部分が、異様な形状で盛り上がり

蠢いていた








ボクチンの腕の中で、部長が言った

「カナ・・・さん  そこに・・・居たのか」









それは、ニジさんだった

クッキーとは逆に 真白なドレスをに身をつつんでいる










ニジさんは隣にいるクッキーに

「ありがとう・・・もう、大丈夫」

「ごりっぺさんの治療を、お願いします」

と、頭を下げた


クッキーは、その言葉を待っていたとばかりに うなずき

ごりっぺの巨体を抱えたまま、駆けだした









ニジさんは、ゆっくりとこちらを向き

哀しそうな瞳で部長を見て、言った











「すべては・・・罠」


「この機械は・・・ニセモノ」


「このステージも」


「武道館に集まってもらった 『あの人』のファンの皆さんも」


「すべて 雨露さん・・・あなただけを倒すために用意した」


「罠・・・なのです」











ニジさんは


「本物の『機械』は、此処にあります」


と言うと 自分の胸元に視線を移し


ドレスの胸元のボタンをゆっくりと・・・はずし


大きく開いた











そこには、ステージにある ニセ「機械」の中心部にあったのと同じ形状の


三つの円柱が、青白く光りながらくるくると回っていた



どうも、ドクロ家DEATH!










小型だが、これこそ本物の『天使を呼ぶ機械』・・・が











ニジさんの胸に

真白い肌に










直接「埋め込まれ」ていたのだ













ボクチンは、ゴクリと息をのむ

「そ・・・そんな・・・」









やはり、ボクチンは、あっていたのだ

「機械」は、持ち運べるほど小型化されていたのだ









今、部長が倒れ

誰も防御することも 抗うこともできない

悲しみや憎悪 怒りや寂しさ あらゆる感情を伴ったエネルギーの波動が


ニジさんの胸の「機械」から ボクチンの仲間に向けて発せられていたのだ









部長が倒れ

仲間たちが、波動にさらされ キノコ人間として変態を始めた今

もはや チーム「なんと」には・・・

ボクチンには・・・










ニジさんを









『機械』を止めるすべは・・・・残されていないのであった











つづく





次回

物語はクライマックス

「天使・降臨」を乞う ご期待