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満期保有目的債券の期末の評価の取引と仕訳(割引発行)

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満期保有目的債券の期末の評価の取引と仕訳についてお伝えします。

償却原価法(定額法)「例題」

当社(決算日は3月31日)は、×1年4月1日に満期まで保有する目的でA社社債を現金で取得した。その内容は以下のとおりである。

  1. 取得原価:960,000円
  2. 債券金額:1,000,000円
  3. 満期日:×5年3月31日
  4. クーポン利息年2%
  5. 利払日:毎年3月末日
  6. 取得原価と債券金額の差額は、すべて金利調整差額として認められる
  7. 償却原価法は定額法を採用している

これについて取得時と決算時の仕訳について考えてみます。

×1年4月1日(満期保有目的での債券の取得)

現金960,000円を支払っているので、『(貸)現金960,000』となります。

また、満期保有目的で債券を取得した場合、勘定科目は「満期保有目的債券」を使います。
売買目的有価証券と同じ、資産の勘定です。
金額は、支払った対価960,000円を使います。

よって、『(借)満期保有目的債券960,000』となります。

まとめると、

(借)満期保有目的債券 960,000/(貸)現金 960,000

となります。

×2年3月31日(決算1回目、利払日)

この日は利払日でもあるため、まずは利払いの仕訳を切ります。
債券金額1,000,000円の2%が利息になります。
よって利息金額は1,000,000×2%=20,000円となります。
債券の利息は有価証券利息勘定を使います。
よって『(貸)有価証券利息20,000』となります。

また、この有価証券利息は期限到来済みの公社債の利札にあたります。
これは簿記における現金で学習したとおり、現金になります。
よって『(借)現金20,000』となります。

まとめると、

(借)現金 20,000/(貸)有価証券利息 20,000

となります。

次は償却原価法の仕訳です。
「債券金額-取得原価」は取得日から満期日までの金利調整差額を表します
この金利調整差額のうち、当期の分を計算します

1,000,000円-960,000円=40,000円が取得日から満期日までの金利調整差額です。
取得日から満期日までは、×1年4月1日から×5年3月31日までなので4年間(48ヶ月)あります。
よって1ヶ月分の金利調整差額は40,000円÷48ヶ月=833.333…円となります。

当期の期首から保有しているので、当期の保有期間は12ヶ月になります。
よって、833.333…円×12ヶ月=10,000円となります。
これが当期の金利調整差額です。

この金利調整差額は有価証券利息と全く同じ性質のものなので、勘定科目も有価証券利息になります
金額は10,000円なので、『(貸)有価証券利息10,000』となります。

問題は借方です。
この10,000円という金額は、債券の取得原価に加えます。

償却原価=取得原価+保有している期間に相当する金利調整差額です。
そしてその償却原価を貸借対照表価額とするのです。
そう考えると、この10,000円という当期の金利調整差額を取得原価に加えることになることが納得できると思います。
よって、『(借)満期保有目的債券10,000』となります。

まとめると、

(借)満期保有目的債券10,000/(貸)有価証券利息10,000

となります。
また、上記2つの仕訳をまとめると、

(借)現金   20,000/(貸)有価証券利息 20,000
(借)満期保有目的債券10,000/(貸)有価証券利息10,000

となります。
これが×2年3月31日の仕訳となります。

ちなみに、この2つの仕訳を切る前の残高試算表は、

償却原価法1

このようになり、決算整理後残高試算表は、

償却原価法2

このようになります。
満期保有目的債券の帳簿価額が金利調整差額の金額だけ増えていることを確認しておいてください。

×3年3月31日(決算2回目、利払日)

考え方は「×2年3月31日(決算1回目、利払日)」と同じです。
仕訳も全く同じになります。

(借)現金   20,000/(貸)有価証券利息 20,000
(借)満期保有目的債券10,000/(貸)有価証券利息10,000

です。
ただ、決算整理後残高試算表の満期保有目的債券の帳簿価額がさらに10,000円増えるので、この点を確認しておいてください。

決算整理後残高試算表は、

償却原価法3

このようになります。

×4年3月31日(決算3回目、利払日)

考え方は「×2年3月31日(決算1回目、利払日)」「×3年3月31日(決算2回目、利払日)」と同じです。
仕訳も全く同じになります。

(借)現金   20,000/(貸)有価証券利息 20,000
(借)満期保有目的債券10,000/(貸)有価証券利息10,000

です。
ただ、決算整理後残高試算表の満期保有目的債券の帳簿価額がさらに10,000円増えるので、この点を確認しておいてください。

決算整理後残高試算表は、

償却原価法4

このようになります。
ちなみに、この時点でこの満期保有目的債券は1年以内に満期を迎えるため勘定科目を振り替える必要がありますが、償却原価法の理解とは関係が無いため、ここでは触れません(現時点ではこの文の意味が分からなくても構いません。分からない方は、スルーしてください)。

×5年3月31日(決算4回目、利払日、満期日)

考え方は「×2年3月31日(決算1回目、利払日)」「×3年3月31日(決算2回目、利払日)」「×4年3月31日(決算3回目、利払日)」と同じです。
仕訳も全く同じになります。

(借)現金   20,000/(貸)有価証券利息 20,000
(借)満期保有目的債券10,000/(貸)有価証券利息10,000

です。

ちなみに、この時点での残高試算表は、

償却原価法5

このようになります。

今回は満期日なので、社債を発行会社に買い戻してもらいます。
満期保有目的債券の帳簿価額は、満期日には債券金額になります
そして、この満期保有目的債券を売る(返す)ことになるので、『(貸)満期保有目的債券1,000,000』となります。

ここでは、現金で受け取ったことにしておきましょう。
というわけで、『(借)現金1,000,000』となります。

まとめると、

(借)現金1,000,000/(貸)満期保有目的債券1,000,000

となります。

また、上記の仕訳とまとめると、

(借)現金 20,000/(貸)有価証券利息20,000
(借)満期保有目的債券10,000/(貸)有価証券利息10,000
(借)現金1,000,000/(貸)満期保有目的債券1,000,000

となります。

  • 有価証券利息が社債の保有期間でおしなべられていること
  • 償却原価がその期の金利調整差額分ずつ債券金額に近付いていること

満期保有目的債券の期末の評価(7)の表と合わせて確認しておいてください。

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満期保有目的債券の期末の評価(7)

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この記事は、満期保有目的債券の期末の評価(1)(2)(3)(4)(5)(6)の続きです。
満期保有目的債券に償却原価法(定額法)を採用した場合の具体例を考えてみます。

償却原価法(定額法)「例題」

当社(決算日は3月31日)は、×1年4月1日に満期まで保有する目的でA社社債を取得した。その内容は以下のとおりである。

  1. 取得原価:960,000円
  2. 債券金額:1,000,000円
  3. 満期日:×5年3月31日
  4. クーポン利息年2%
  5. 利払日:毎年3月末日
  6. 取得原価と債券金額の差額は、すべて金利調整差額として認められる
  7. 償却原価法は定額法を採用している

償却原価法(定額法)「考え方」

6,7より償却原価法(定額法)で仕訳を切るということが分かります。
また、1,2より「債券金額>取得原価」であり、割引発行されていることが分かります。

この場合の利息と償却原価のスケジュールを表で表すと下のようになります。

年月日各期の利息配分額※3クーポン利息受取額※1金利調整差額償却額※2償却原価(帳簿価額)※4
×1年4月1日960,000
×2年3月31日30,00020,00010,000970,000
×3年3月31日30,00020,00010,000980,000
×4年3月31日30,00020,00010,000990,000
×5年3月31日30,00020,00010,0001,000,000
合計120,00080,00040,000

※1…債券金額×クーポン利息

クーポン利息は、取得原価ではなく、債券金額に対する利率で書かれます
そうしないと、いくらで発行するか(割引発行か平価発行か打歩発行か)で利息額が変わってしまうからです。

※2…(債券金額-取得原価)÷満期日までの月数×1年の月数

まず「債券金額-取得原価」と計算することで「満期まで保有している期間全体で受け取る金利調整差額」を求めます。
それを満期日までの月数で割ることで1ヶ月あたりで受け取る金利調整差額を求め、12をかけることで1年分の金利調整差額を求めます。

なぜ年数で割らないのかというと、会計期間の途中で社債を取得した場合は通常月割りしますが、月割りの場合にも対応できるようにするためです。

※3…※1+※2(クーポン利息も金利調整差額も利息と考えるため)

クーポン利息も金利調整差額も本質的には利息であると考えるため、各期の利息配分額と言われれば、これら2つの合計額となります。

※4…前期末の償却原価+金利調整差額償却額

償却原価は、前期末の償却原価に金利調整差額償却額を加えて求めます

この金額が貸借対照表価額になります
この金額が満期日には債券金額と同じになることを確認しておいてください。

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満期保有目的債券の期末の評価(6)

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この記事は満期保有目的債券の期末の評価(1)(2)(3)(4)(5)の続きです。

金融商品に関する会計基準16

「満期まで所有する意図をもって保有する社債その他の債券(以下「満期保有目的の債券」という。)は、取得原価をもって貸借対照表価額とする。ただし、債券を債券金額より低い価額又は高い価額で取得した場合において、取得価額と債券金額との差額の性格が金利の調整と認められるときは、償却原価法に基づいて算定された価額をもって貸借対照表価額としなければならない。」

これが金融商品に関する会計基準16となります。
このままでは分かりづらいので、少しずつ読み進めていきましょう。

償却原価法

「取得価額と債券金額との差額の性格が金利の調整と認められるときには償却原価法に基づいて算定された価額をもって貸借対照表価額とする」とあります。
では、この償却原価法とはなんでしょうか。

打歩発行を例に考えてみます。

期首に額面が1口100円の債券(満期5年・クーポン利息2%)を打歩発行で1口105円で10,000口購入した場合について考えてみます。

この場合、社債取得時に1.050,000円を支払い、5年後の満期日に1,000,000円を受け取ります。
そして、この差額50,000円の本質は利息でした(打歩発行の場合マイナスの利息になります)。

ということは、この50,000円というマイナスの利息は取得時から満期日までの5年間社債を保有していたことに対する利息ということになります。

この利息を、社債の満期日のみ仕訳を切ったとすると、各年の有価証券利息は、

  • 1年目の有価証券利息…20,000円
  • 2年目の有価証券利息…20,000円
  • 3年目の有価証券利息…20,000円
  • 4年目の有価証券利息…20,000円
  • 5年目の有価証券利息…利払い20,000円-マイナスの利息50,000円=-30,000円

このようになります。

これはまずいです。
この社債は5年間ずっと保有しています。
それなのに、1年目から4年目の有価証券利息が20,000円ずつで5年目だけ-30,000円というのはあきらかに不合理です。
これでは簿記の目的である『企業の正しい経営成績を明らかにすること』ができていません。
当期の収益は当期の収益としてきちんと計上しなければいけません

そこでこの5年間の有価証券利息の合計20,000円×4年-30,000円=50,000円を、この社債を保有している5年間でおしなべるのです。

  • 1年目の有価証券利息…10,000円
  • 2年目の有価証券利息…10,000円
  • 3年目の有価証券利息…10,000円
  • 4年目の有価証券利息…10,000円
  • 5年目の有価証券利息…10,000円

5年間でおしなべるとこのようになります。

このように処理する方法を償却原価法といいます。
償却原価法は当期の収益を当期の収益として計上するため、正しい期間損益を算定するために行います

ちなみに、この考え方は減価償却の目的貸倒引当金を設定する目的と同じです。

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満期保有目的債券の期末の評価(5)

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この記事は満期保有目的債券の期末の評価(1)(2)(3)(4)の続きです。

金融商品に関する会計基準16

「満期まで所有する意図をもって保有する社債その他の債券(以下「満期保有目的の債券」という。)は、取得原価をもって貸借対照表価額とする。ただし、債券を債券金額より低い価額又は高い価額で取得した場合において、取得価額と債券金額との差額の性格が金利の調整と認められるときは、償却原価法に基づいて算定された価額をもって貸借対照表価額としなければならない。」

これが金融商品に関する会計基準16となります。
このままでは分かりづらいので、少しずつ読み進めていきましょう。

償却原価法

「取得価額と債券金額との差額の性格が金利の調整と認められるときには償却原価法に基づいて算定された価額をもって貸借対照表価額とする」とあります。

では、この償却原価法とはなんでしょうか。
割引発行を例に考えてみます。

期首に額面が1口100円の債券(満期5年・クーポン利息なし)を割引発行で1口95円で10,000口購入した場合について考えてみます。

この場合、社債取得時に95円×10,000口=950,000円を支払い、5年後の満期日に100円×10,000口=1,000,000円を受け取ります。
そして、この差額1,000,000円-950,000円=50,000円の本質は利息でした。

ということは、この50,000円という利息は取得時から満期日までの5年間社債を保有していたことに対する利息ということになります。

この利息を、社債の満期日のみ仕訳を切ったとすると、各年の有価証券利息は、

  • 1年目の有価証券利息…0円
  • 2年目の有価証券利息…0円
  • 3年目の有価証券利息…0円
  • 4年目の有価証券利息…0円
  • 5年目の有価証券利息…50,000円

このようになります。

これはまずいです。
この社債は5年間ずっと保有しています。
5年目だけ保有していたわけではありません。
それなのに、有価証券利息が5年目だけ50,000円で1年目から4年目の有価証券利息が0円というのはあきらかに不合理です。
これでは簿記の目的である『企業の正しい経営成績を明らかにすること』ができていません。
当期の収益は当期の収益としてきちんと計上しなければならないのです。

そこでこの5年目の有価証券利息に計上されている50,000円を、この社債を保有している5年間でおしなべるのです。

  • 1年目の有価証券利息…10,000円
  • 2年目の有価証券利息…10,000円
  • 3年目の有価証券利息…10,000円
  • 4年目の有価証券利息…10,000円
  • 5年目の有価証券利息…10,000円

5年間でおしなべるとこのようになります。

このように処理する方法を償却原価法といいます。
ちなみに、この方法は定額法と言われている方法です。
もう一つ利息法と言われる方法がありますが、これは簿記1級で学習するのでここでは割愛します。

償却原価法は当期の収益を当期の収益として計上するため、正しい期間損益を算定するために行います

ちなみに、この考え方は減価償却の目的貸倒引当金を設定する目的と同じです。

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忘れるということ

満期保有目的債券の期末の評価(4)

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この記事は満期保有目的債券の期末の評価(1)(2)(3)の続きです。

金融商品に関する会計基準16

「満期まで所有する意図をもって保有する社債その他の債券(以下「満期保有目的の債券」という。)は、取得原価をもって貸借対照表価額とする。ただし、債券を債券金額より低い価額又は高い価額で取得した場合において、取得価額と債券金額との差額の性格が金利の調整と認められるときは、償却原価法に基づいて算定された価額をもって貸借対照表価額としなければならない。」

これが金融商品に関する会計基準16となります。
このままでは分かりづらいので、少しずつ読み進めていきましょう。

取得価額と債券金額との差額の性格が金利の調整と認められるとき

「取得価額と債券金額との差額の性格が金利の調整と認められる」とはどういうことか考えるために、平価発行と打歩発行を例に考えてみます。

平価発行の場合

額面が1口100円の債券(1年満期、10,200口あたりのクーポン利息20,000円)を考えてみます。

これを平価発行で1口100円で10,200口取得したとします。
取得したときには、1,020,000円支払って社債を手に入れることになります。

1年後には満期となり、額面で買い戻してもらえるので、社債を渡して債券金額1,020,000円と有価証券利息20,000円で合計1,040,000円受け取ることになります。

打歩発行の場合

額面が1口100円の債券(1年満期、10,000口あたりのクーポン利息40,000円)を考えてみます。
これを打歩発行で1口102円で10,000口取得したとします。
取得したときには、1.020,000円支払って社債を手に入れることになります。

1年後には満期となり、額面で買い戻してもらえるので、社債を渡して債券金額1,000,000円と有価証券利息40,000円で合計1,040,000円受け取ることになります。

平価発行と打歩発行の違い

  • 額面100円・取得原価100円(平価発行)・10,200口取得・1年満期・クーポン利息20,000円
  • 額面100円・取得原価102円(打歩発行)・10,000口取得・1年満期・クーポン利息40,000円

この2つの取引の本質は全く同じです。
どちらも「1,020,000円支払って社債を手に入れ、満期日に1,040,000円受け取っている」のです。

この2つの違いは、「平価発行か打歩発行か」と「クーポン利息20,000円かクーポン利息40,000円か」です。
これは「打歩発行」と「クーポン利息の増額」が本質的に同じだということを意味しています。
20,000円分高く発行することとクーポン利息を20,000円減らして平価発行することは同じということです。

これが「取得価額と債券金額との差額の性格が金利の調整と認められるとき」の意味になります。

社債の本質

社債というのは企業が発行する借用証書のようなものです。
借用証書と社債の違いは途中で第三者に売却できるかできないかの違いだけです。

借用証書は企業から返してもらうことしかできませんが、社債はたとえ満期前でも有価証券が取引されている場所(証券取引所)で第三者に売却できます。
このような違いがあるだけで、社債の本質は借入金なのです。

このような視点から上の取引を考えてみると、これは1.020,000円貸し付け、1年後1,040,000円返してもらっていることになります。
このように考えると、この差額20,000円はやはり利息だといえます。

額面金額と取得価額の差額の本質は利息なのです。

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満期保有目的債券の期末の評価(3)

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この記事は満期保有目的債券の期末の評価(1)(2)の続きです。

金融商品に関する会計基準16

「満期まで所有する意図をもって保有する社債その他の債券(以下「満期保有目的の債券」という。)は、取得原価をもって貸借対照表価額とする。ただし、債券を債券金額より低い価額又は高い価額で取得した場合において、取得価額と債券金額との差額の性格が金利の調整と認められるときは、償却原価法に基づいて算定された価額をもって貸借対照表価額としなければならない。」

これが金融商品に関する会計基準16となります。
このままでは分かりづらいので、少しずつ読み進めていきましょう。

取得価額と債券金額との差額の性格が金利の調整と認められるとき

「取得価額と債券金額との差額の性格が金利の調整と認められる」とはどういうことか考えるために、割引発行と平価発行を例に考えてみます。

割引発行の場合

額面が1口100円の債券(1年満期、クーポン利息なし)を考えてみます。
これを割引発行で1口98円で10,000口取得したとします。
取得したときには、980,000円支払って社債を手に入れることになります。

1年後には満期となり、額面で買い戻してもらえるので、社債を渡して1,000,000円受け取ることになります。

平価発行の場合

額面が1口100円の債券(1年満期、9,800口あたりのクーポン利息20,000円)を考えてみます。

これを平価発行で1口100円で9,800口取得したとします。
取得したときには、980,000円支払って社債を手に入れることになります。

1年後には満期となり、額面で買い戻してもらえるので、社債を渡して980,000円と有価証券利息20,000円で合計1,000,000円受け取ることになります。

割引発行と平価発行の違い

  • 額面100円・取得原価98円(割引発行)・10,000口取得・1年満期・クーポン利息なし
  • 額面100円・取得原価100円(平価発行)・9,800口取得・1年満期・クーポン利息20,000円

この2つの取引の本質は全く同じです。
どちらも「980,000円支払って社債を手に入れ、満期日に1,000,000円受け取っている」のです。

この2つの違いは、「割引発行か平価発行か」と「クーポン利息なしかクーポン利息ありか」です。
これは「割引発行」と「クーポン利息あり」が本質的に同じだということを意味しています。
20,000円分割引きして発行することとクーポン利息を20,000円つけて平価発行することは同じということです。

これが「取得価額と債券金額との差額の性格が金利の調整と認められるとき」の意味になります。

社債の本質

社債というのは企業が発行する借用証書のようなものです。
借用証書と社債の違いは途中で第三者に売却できるかできないかの違いだけです。

借用証書は借用証書を発行した企業から返してもらうことしかできませんが、社債はたとえ満期前でも有価証券が取引されている場所(証券取引所)で第三者に売却できます。
このような違いがあるだけで、社債の本質は借入金なのです。

このような視点から上の取引を考えてみると、これは980,000円貸し付け、1年後1,000,000円返してもらっていることになります。
このように考えると、この差額20,000円はやはり利息だといえます。

額面金額と取得価額の差額の本質は利息なのです。

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満期保有目的債券の期末の評価(2)

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この記事は満期保有目的債券の期末の評価(1)の続きです。

金融商品に関する会計基準16

「満期まで所有する意図をもって保有する社債その他の債券(以下「満期保有目的の債券」という。)は、取得原価をもって貸借対照表価額とする。ただし、債券を債券金額より低い価額又は高い価額で取得した場合において、取得価額と債券金額との差額の性格が金利の調整と認められるときは、償却原価法に基づいて算定された価額をもって貸借対照表価額としなければならない。」

これが金融商品に関する会計基準16となります。
このままでは分かりづらいので、少しずつ読み進めていきましょう。

債券を債券金額より低い価額又は高い価額で取得した場合

社債の額面は通常は1口100円です。
これを額面で10,000口買えば、取得原価は100円×10,000口=1,000,000円となります。

しかし、社債などの債券は額面金額より低い金額や高い金額で発行されることがあります
例えば、額面100円の社債を95円で発行したり、105円で発行したりします。
この場合、95円で10,000口買えば、取得原価は95円×10,000口=950,000円、105円で買えば、取得原価は105円×10,000口=1,050,000円となります。

それぞれ名前がついていて、

  • 社債を額面金額より低い金額で発行すること…割引発行
  • 社債を額面金額と同じ金額で発行すること…平価発行
  • 社債を額面金額より高い金額で発行すること…打歩発行

といいます。

ちなみに打歩は「うちぶ」と読みますが、これをそのまま読むと「だふ」です。
これはダフ屋の語源となっています。
定価より高く売っているのがダフ屋で、額面金額より高い金額で発行するのが打歩発行です。

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満期保有目的債券の期末の評価(1)

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この記事には改訂版がございます。改訂版は満期保有目的債券の期末の評価をご覧下さい。


満期保有目的債券の期末の評価についてお伝えします。

満期保有目的債券の期末の評価

満期保有目的債券の期末の評価については、金融商品に関する会計基準を読み解くことでお伝えしていこうと思います。

金融商品に関する会計基準16

満期まで所有する意図をもって保有する社債その他の債券(以下「満期保有目的の債券」という。)は、取得原価をもって貸借対照表価額とする。ただし、債券を債券金額より低い価額又は高い価額で取得した場合において、取得価額と債券金額との差額の性格が金利の調整と認められるときは、償却原価法に基づいて算定された価額をもって貸借対照表価額としなければならない。」

これが金融商品に関する会計基準16となります。
このままでは分かりづらいので、少しずつ読み進めていきましょう。

満期保有目的の債券は、取得原価をもって貸借対照表価額とする

満期保有目的債券は、取得原価をもって貸借対照表価額とします
これが原則です。
ちなみに貸借対照表価額とは、貸借対照表に記入される金額ということで、決算整理仕訳をしたあとの金額ということです。

売買目的有価証券では、決算整理仕訳で評価損益を計上し、その結果、時価が貸借対照表に記入されることになります(詳しくは有価証券の期末の評価をご覧下さい)。
つまり、売買目的有価証券は時価をもって貸借対照表価額とするということです。

では、なぜ満期保有目的債券は時価で評価しないのでしょうか。

満期保有目的債券を時価で評価しない理由

満期保有目的債券は時価ではなく取得原価で貸借対照表に記載するのが原則です。
では、なぜ満期保有目的債券はなぜ時価で評価しないのでしょうか。

それは、満期まで保有するのであれば、時価がいくらであっても関係ないからです。

満期日になればその債券の発行会社から額面で買い戻してもらえます(発行会社が倒産していない限り)。
これは、その社債がいくらで売れるかは決まっているということを意味します。

時価というのは、今この場で売ればいくらで売れるのかを表します。
しかし、最終的にいくらで売れるかは決まっているので、この場で売ればいくらなのかは関係ありません。
そのため、時価で評価する必要がないのです。

また、いくらで売れるかは決まっているのに取得原価と時価の差額を当期の損益として計上するのは合理的とはいえません。

このように同じ有価証券でも売買目的か満期保有目的かで評価の方法が変わります。

まとめると、

  • 売買目的有価証券は時価で評価
  • 満期保有目的債券は取得原価で評価

となります。

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売買目的有価証券の期末の評価の取引と仕訳

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この記事には改訂版がございます。改訂版は売買目的有価証券の期末の評価の仕訳をご覧下さい。


売買有価証券の期末の評価の取引と仕訳についてお伝えします。

売買目的有価証券の期末の評価(例題)

期末に保有している有価証券は以下のとおりであった。

銘柄帳簿価額時価保有目的
A社株式100,000円80,000円売買目的
B社株式100,000円110,000円売買目的
C社社債100,000円130,000円売買目的

この場合の決算整理仕訳について考えてみます。

売買目的有価証券の期末の評価(解答)

A社株式は帳簿価額(100,000円)>時価(80,000円)となっているので、評価損となります。
また、金額は100,000円-80,000円=20,000円となります。

B社株式は帳簿価額(100,000円)<時価(110,000円)となっているので、評価益となります。
また、金額は110,000円-100,000円=10,000円となります。

C社社債は帳簿価額(100,000円)<時価(130,000円)となっているので、評価益となります。
また、金額は130,000円-100,000円=30,000円となります。

よって、

  • A社株式…評価損20,000円
  • B社株式…評価益10,000円
  • C社社債…評価益30,000円

となります。
評価益(10,000円+30,000円)>評価損(20,000円)となっているので、全体としては評価益になります。
金額は10,000円+30,000円-20,000円=20,000円となります。

ここから先は簿記3級の範囲の売買目的有価証券の取引と仕訳と同じです。

(借)売買目的有価証券20,000/(貸)有価証券評価益20,000

となります。

ちなみに、社債だから満期保有目的だと決め付けないように注意してください。
売買目的と書いてあれば社債であっても売買目的です。

評価損益をいきなり求める方法

上のように考えなくても、慣れてくればいきなり評価損益(上の例で言えば20,000という金額)を求めることができます。
全ての売買目的有価証券の帳簿価額から全ての売買目的有価証券の時価を引くのです。
その結果、計算結果がプラスになれば「帳簿価額>時価」ということなので評価損に、計算結果がマイナスになれば「帳簿価額<時価」ということなので評価益になります。

上の例で具体的に計算すると、

100,000+100,000+100,000-(80,000+110,000+130,000)=-20,000となります。
マイナスなので評価益となります。

電卓で計算するときは、

100000+100000+100000-80000-110000-130000=

としてもいいですし、メモリー機能を使って、

100000+100000+100000M+80000+110000+130000M-RM

としても構いません。
ちなみに、メモリー機能を使う方法の考え方は、

  1. 100000+100000+100000M+と入力することで、帳簿価額の合計額をメモリーの箱に入れる
  2. 80000+110000+130000M-と入力することで、時価の合計額をメモリーの箱から引く(この時点メモリーの箱の中は「帳簿価額の合計-時価の合計」となっています)
  3. RMと入力することでメモリーの箱の中を表示する
という流れになります。

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